第3話 趙謖誕生と丞相の勤勉!
馬括 (ばかつ)が自分の世界に帰ったころ、異世界の女神はもう一人の人物を召喚していました。
彼も馬括同様、強烈なトラウマを抱えていました。
彼の死間際の走馬灯を紹介します。
時は約1800年前、とある大陸のとある陣営に若き大将とことばがたどたどしい副将がいました。
副将曰く「将軍、いけません!ここは山ではなく街道沿いに陣をしき、丞相の名に従うべきです」
若き大将「だまれ、学のない愚か者よ、そなたは兵法を知らぬからそのようなことを言うのだ、私の命令に従え!」
副将「ではわたしは丞相の命令に従い街道沿いに陣をしきます!」
ここから若い将軍、すなわち女神の召喚する人物の走馬灯となります。
部下の将曰く「将軍、もはや兵糧も水もありません、いかがいたしますか」
若い将軍曰く「よし、わしが丞相の元に行き、援軍を要請する!そなたらは待機せよ」
部下の将曰く「それでは、将軍はわれらを見捨てるおつもりですか?」
若い将軍「だまれ!もはや猶予はない、そなたらはこの山で援軍が来たら挟撃せよ!」
そして舞台は変わって丞相の陣
丞相曰く「そなた、なぜ我が命に従い街道に陣を取らず、しかも今この場にいるのか?」
「他の将兵がそなたを見てどう思うか想像も出来なかったのか!この愚か者!!」
若き将軍曰く「お待ちください、丞相!」
丞相「もう何も申すな!そなたが命令違反し兵を置き去りにして自分だけ助かろうとしたのはいかんともしがたい情勢だ!斬れ!」
若い将軍の断末魔「丞相!じょう~しょ~~~」
そして己の首が落ちる光景をこの若い将軍はこの時見ることになりました。
これが有名な「泣いて〇〇を斬る」です。
この若き将軍もまた、異世界の女神の元に送られてきました。
彼の瞳は涙で潤んでいて、頬には多くの涙の後がありました。
そして彼もまた衰弱した状態で女神と相対することになります。
女神が若き将軍に声をかけます。
「趙謖、ちょうしょくよ!」
若き将軍はどこかで聞いたようなことを言います。
「わたしは✖謖だ、あれ、名前が出てこない!」
「あなたは今日から趙謖 (ちょうしょく)です、大事な事なので私の前ではその名を大事にしなさい!」
若き将軍は尋ねます「あなたは誰ですか?」
女神は質問を返します。
「周りを見渡しなさい、あなた方の朝廷と似ているでしょう、ここは天、私はあなたの世界とは別の世界の神です!」
「あなたに汚名返上する意思がもしあるならその願いを叶えましょう!」
趙謖は尋ねます。
「私の名を封じた理由をお聞かせ願いたい!」
女神は笑いながら
「やはりあなたは理屈っぽいのですね」
「あなたは優れた才能がありましたが、自省が足りませんでした、しかしあなたはまだ若い」
「もし己の傲慢さを克服して汚名返上する気があるのでしたら、その手助けをしても良いと考えています」
「でもそれはあなたが自らの名を捨て、己を鍛え直すことが条件です!どうしますか?このまま眠りにつきますか?それとも」
趙謖は少し考えた後「もう一度やり直しが出来るというのであればやり直したい!このまま歴史に汚名を残すのは丞相にも家族にも申し訳ないからな」
女神は笑いをこらえながら趙謖にこの後のことを告げます。
「あなたには新しい世界に行くための準備をするため、いったんあなたのいた世界の神々から教えを受けてもらいます」
「そこにはあなたも知っている先輩がいます、せいぜい仲良く勉強してくださいネ」
「あ、そうだ!あなたにも特殊な能力を与えましょう、その名は!ジャーン 丞相の勤勉!です」
趙謖は大きな声で「丞相ですと!それはどのような能力なのでしょうか」
女神はニヤニヤしつつ
「ホントは秘密なんだけど、せっかくなので教えちゃう!この丞相の勤勉は仕事を投げ出さず、他の事に浮気せず、与えられた仕事をキチンとこなすための思考力と体力と計画性を兼ね備えた能力!」
「もっともあなたに細かく説明しなくても分かるわよね!」
趙謖は女神にからかわれたのではないかと少し不満でしたが丞相の能力を授かるのであれば願ったりということで大人しく女神の話を聞きました。
そして、女神が「さあ、元の世界に戻り知恵と知識と仲間を得なさい!」
「と宣言すると周りが神々しく光り、趙謖は元の神々と馬括の所へ行きました」
さて、馬括と趙謖 名前を並び変えると!?
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