第2話 チートスキル「完璧の知恵」
遠い昔、戦で死んだ若者は異世界の女神から「馬括」(ばかつ)という名前をもらいました。
さらに、女神は若者に語ります。
「あなたにスキルを上げましょう、あなたに付加する能力は・・・」
「そうね、完璧の知恵を授けましょう!」
馬括は不思議そうに尋ねます。
「完璧の知恵とは何ですが?」
女神は「完璧の知恵とは完璧の知恵です!あなたが異世界に行く前にはあなたはその力を理解することでしょう」
馬括は疑問に思いながらも女神の話を聞く姿勢を保っています。
彼は恐ろしい体験をした後なので、前の世界にいた時の傲慢さをこの場ではひそめていました。
女神はそうした馬括の心を見透かしたかのように、挑発する言葉を告げます。
「馬括はずいぶん丁寧に私に接していますね、それは感心です!」
「でもまた悪い癖が出るといけないので勉強する機会を与えましょう」
女神の上から目線の発言に不快感を持ちつつも、馬括は慎重さを保つべく質問します。
「私はこう見えても、優秀な人間です!いったい何の勉強をする必要があるのですか?」
女神は笑いながら諭します。
「馬括も少しは元気が出てきたようね、でもあなたの優秀さがどのような結果を出したか、もう忘れたのですか?」
馬括は「うっ」とうなだれます。
彼は過去を思い出すたびに強烈な心身の痛みを感じる体になっていました。
女神は続けて「あなたがもし自省をするなら、これからあなたに知識と仲間を与えましょう」
「でも、もしあなたが過去の結果を認めないなら私はあなたに興味を持つ理由がなくなります」
「あなたは新たな道を歩みますか?それとも過去に囚われ未来を捨てますか?」
体に痛みを感じつつ、馬括は首を横に振り、それから跪いて礼をしつつ
「私は生まれ変わります、そのために自省が必要なら痛みと共に受け入れます」
女神は満足そうに笑みを浮かべつつ話を続けます。
「あなたはまだ若いようですね、でもそれで良いのです、あなたには今、完璧の知恵を授けましょう」
女神は両手を広げました。
すると周りが虹色に染まり、光が馬括に降り注いでいきます。
数秒の後、風景は元に戻りました。
女神は説明します。
「今あなたに完璧の知恵を授けました、これはあなたの良く知る人物が持っていた能力で、慎重さと大胆さを判別し、正しい行動が選択できる能力です」
「これであなたは今までのように傲慢で思慮の浅い行動を制御することが出来るでしょう!もちろん、あなたが自らを制御できればという条件付きですが」
「さて、馬括よ!あなたには前の世界の神々の所に一度戻ってもらい、勉強をしてもらいます、それはあなたの生まれた時代より約2000年後の世界」
「そこであなたはあなた自身と仲間について学んでくるのです、それが終了してからもう一度私の所に仲間と共に来るのです」
「そうしてはじめて転生の準備が整います」
馬括はさしあたりの道筋が見えて安心したのか
「女神様、よく分かりませんが今度はきちんと勉強して優れた者となり歴史に名を残して見せましょう!ではまた後日」
こうして、馬括は自分の世界の神の空間に送られていきました。
馬括がいなくなった後、女神は馬括の世界の神々と連絡を取りました。
「あと3人ほど、え~、以前審査して合意した彼らを送ってください、恐らくそれで私の世界の天下泰平を築く物語が始められそうです」
馬括の世界の神々がその言葉に対して「あなたももの好きですね、わざわざ敗軍の将を集めて天下泰平を築かせようとは!」
「確か彼らを送る世界の年代設定は我々の世界で西暦2000年前後の文明だとか、さすがにムリゲーではないですか?」
女神は「人間はダメな時はとことんダメですが、覚醒すれば素晴らしい働きをする生き物です」
「それを証明するのが私たちの楽しみではありませんか?」
と問いかけつつ微笑みました。
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