続・クールな彼女は今日もかっこいい
私の彼女が二人の男にナンパされている。
百兆歩譲って私の彼女はめちゃくちゃ可愛くて見蕩れるのは仕方ない。まつ毛が長くて、いい匂いがして、無口な私を気遣ってくれて、心に思っていることをすぐに察してくれて、彼女からの愛が溢れて惚けてしまいそうになる。
だが、彼女を奪おうとするハエ野郎は私の鉄拳を制裁させなければ気がすまない。
「お前ら、私の彼女に何の用だ?」
せっかくのショッピングデートで私服姿を最初にコイツらに見せるだけでも反吐が出る。
二人の醜い顔がこちらに向いて、少し困惑の色をみせるもおちゃらけた笑顔で私の横に並ぶ。
「ヘーイ! 君すごくカワイイネ!」
「モデルさんしてるぅー!? 体ピシッとして海外の美人さんみたいでいい感じ!」
「俺らとお茶にHere we go!」
男二人はすっかり私にハエのように集る。
正直、蹴飛ばしてやりたいが暴力沙汰は今後彼女との交際に関わるので我慢する。
すると一人の男が私の素肌に手で触れて、悪寒が背中に走り恐怖が心に混じる。
いつもなら背の高い私の眼光にビビって逃げるはずなのに今回はそう上手くいかなかった。
「あ……あ…………」
言葉が詰まり、頭がぐしゃぐしゃになって何をどうすればいいのか思い浮かばなくなって、その場で硬直しいたら……
「警備員さん! この人達セクハラしてます!」
彼女の大声に男二人は顔を青ざめてすぐにその場を去った。すると彼女はニコッと笑い、私の手を握って告げる。
「早く行きましょう」
小さくて可愛い彼女のはずなのに今日は一段とかっこよく見える。
「……すごくかっこよかった」
その言葉に反応して彼女は頬を赤らめる。
「そ、そうですか。突然、大声出した変な人みたいに思われているかと不安でした」
「私は君といるだけで幸せだから」
「むぅー、いつもそうやって私を垂らしこみますね」
「そんなつもりは……」
「ふふ、冗談です。いつもクール気取りな彼女に少しかっこいいところ見せれて浮かれてました」
「……浮かれるのは私とのデートのあとで」
「あーまたそうやって私の心を鷲掴みにして! もう大好きになる選択肢しかありません!」
「はは、今日の彼女はかっこよくて可愛い」
私と彼女は恋人繋ぎをしながらショッピングモールを回った。
クールな彼女は今日も可愛い 冬油はこ @Toyuhako
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