スキル大罪の悪魔で世界最強〜この7分で無双します〜

DEKO

第1章 憤怒の悪魔

第1罪 〜大罪の悪魔〜

 スキル鑑定の儀

それは、自分の持つスキルが何なのか鑑定される儀式である。15歳になると国民皆同様に受けることになる。貴族であろうと、平民であろうと。


 僕の家グリモワール伯爵家は、父様が1代で魔法の腕を認められ伯爵にまで上り詰めた。そんな父様もこの鑑定の儀を楽しみにしていた。次期当主である僕が、どんなスキルを手に入れるか期待しているからだ。父様の期待もあり、僕ゼロ=グリモワールも自分がどんなスキルを持っているのか楽しみだった。会場のみんなも楽しみなのか、ちらほらこんな声が聞こえた。


 「俺は絶対剣を使うスキルがいいな」


 「私は、魔法系のスキルがいいかな」


すると奥から、片目にルーペをかけた人が歩いてきて、みんなの前に立ちこう言った。


 「静粛に。これより、スキル鑑定の儀を始める。皆の者一列になって並ぶが良い」


と鑑定士の人が言うと賑やかだった会場が静まり返った。そうすると、着々と鑑定が進んで行った。


 「お主は剣士だ」


 「お主は炎魔法使い」


 「お主は騎士」


ここまでは皆、自分の欲していたスキルを手に入れていた。ここまで来た途端、賢者が一旦言葉に詰まった。


 「お主は……。な、なんと!?賢者だと!?」


 「おい、賢者だってよ!!」


賢者。かつて勇者と共に先代の魔王を討伐したスキルだ。勇者と賢者のスキルの出現は、魔王復活を示唆していると言われている。ここ100年賢者のスキルを持つものは現れなかった。去年勇者のスキルが確認されたのだ。賢者の出現により、会場中が再び騒がしくなった。そんな会場を他所に、鑑定士が口を開いた。


 「し、至急国王様に報告を!私は続きをしている。」


 「は、はい」


後ろに構えていた鑑定士の護衛が走って去っていった。


 「では続きをしていく。お主は火、水、風の3属性魔法使いトリプルマジシャン


 「やった!三属性魔法使い《トリプルマジシャン》だって!」


いいなぁと思いつつ、僕の番が来た。父様も見ているから、凄いスキル来てくれと祈っていた。


 「……くま」


静まり返った会場がまたもやざわついた。僕はちゃんと聞き取れず聞き返した。


 「えっと、なんて言いました?」


 「お主は大罪の悪魔ペッカートゥム・デーモニウムだ」


大罪の悪魔?なんだそれと思っていると父様が鬼の形相でこちらに歩いてきていた。


 「大罪の悪魔ペッカートゥム・デーモニウムだと!?なんだそのスキル。ましてや大罪だの、悪魔だの気味が悪い。魔法のスキルでは無いのなら、私の子ではない。お前はもう勘当だ。二度とグリモワールの名を口にするな」


 「……えっ?父様何かの間違いです。僕がそんなよく分からないスキルなはずありません。鑑定士さんもう一度鑑定してください」


 「何度見ても結果は同じだ。大罪の悪魔。それがお前のスキルだ」


鑑定士の言葉の後に父様も


 「鑑定士の言う通りだ。間違ってるわけないだろ。お前はもううちの敷地に入ることも許さない。早くこの街から出ていけ」


悔しかった。意味のわからないスキルのせいで、父様に勘当されたことに。それと同時に怒りが湧いていた。今まで15年間反抗などしたことなく、父様の言われた通りに生きてきたのに。こうして僕はグリモワール伯爵家から追放されたのだった。僕に残ったのは、多少のお金と、大罪の悪魔というスキルだけだった。


――後にグリモワール伯爵家はゼロを追放した事を後悔する事になるとは、この時はまだ誰も知らなかった。

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