第6話:魂
俺の一先ずの見の振り方と言うか行き先が決まった。その姫様と言う奴が例えば俺に敵対したとしてもどうにかなるだろうとの予想もあったが何よりも知りたかった。
姫様の能力は何なのか。魔法なのか超能力なのか。異世界人なのか現地人なのか。
何よりも
もしも姫様が俺と同じ超能力者だった場合、ナッズ達の記憶の一部を改変し新たな疑似記憶を埋め込み意のままに操る事が出来るだろう。
そして姫様の能力がもしそういう類のものならば
俺の脳にアクセスして来ようものなら返り討ちにする自信がある。と言うかそれしか無い。そこに一片の憂慮も無い。
ただ、仮に姫様の能力が超能力では無く
魔法と言うぐらいだ。何でも出来てしまうのかもしれない。
それこそ俺なんかが及びもつかない超常的な何かの力が働き、理屈抜きにその人間を操ってしまう事があるかもしれない。
其れよりも何よりも俺が恐れ憂う事態が一つだけ存在する。 其れは俺の能力でも成し得ない一つの
もしも――
もしもの話――
魔法が――
ハッキリとぶっちゃけて言ってしまえば実際は心なんてモノは俺は結局は脳からの電気信号が根源だと思っている。
好きや嫌い、甘いや辛い、痛いに気持ちいい、悲しいに楽しい、恋だの愛だの全て等しく脳からの電気信号、分泌物の賜物だ。
その分泌物も脳からの指令により分泌される。だから脳を操れる俺は心さえも支配できる。
ただ、あっちの世界に居る時からずっと考えて来た。
魂があったのならば俺の能力で干渉出来るのだろうか
実際、幾度となく試して来た。だが、魂の存在すら
認識出来ないから能力も空振る。
つまりは、魂なんてモノは存在しない又は俺の能力では扱えないのどちらかであろうと結論付けている。
ただ、ここは
魔法なんて空想でしか有り得ないと思っていた代物までもが存在するこれまた空想上の産物でしか無いと思っていた異世界なのだ。
だったら魂だってあってもまるで可笑しく無い
だから姫様がもし魔法使いで、その魔法が
俺では魂を認識出来ないから、魂に作用する魔法を防ぐ手立ても当然ながら無い事になる。
ここまで考えて俺は空を見上げた。
雲一つ無い正に晴天。その晴天の真ん中に堂々と鎮座する
ん…?
太陽?
異世界なのに何で太陽があるんだ?
まあそりゃ、生物にとって太陽は無くてはならないモノだし、太陽が無かったら俺は今ここで暖かいと感じて目を細めながら天を見上げている事なんて出来やしないのだろうが、太陽系の太陽と同じ様に見えるモノを見て何だか訳が分からなくなった。
同時に何だか可笑しくなり、笑いが込み上げて来て仕舞いにはケラケラと声を出して笑った。
「ハハッ!アハハハハァッ!んなのどぉぉぉぉおおっだっていいよなぁぁあ!!」
笑い過ぎて涙まで出る始末だった。
「ほんっっとにどうでもいい!姫様が魔法使いだろうが、魂が在ろうが無かろうが、どぉだっていいんだよッ!」
いきなり声を上げて笑い出し、そして叫び出した俺に幌を前に整列する全員が目を剥いて此方を見ていた。
だが、それすらもどうでもいい!
姫様がどうとか関係無い。この世界の理と俺の能力、どっちが上かそれだけ分かれば十分だ。
うん、姫様で試そう
そうしよう
そうと決まれば善は急げ。こんな所で油を売ってる暇なんて買う奴も居ないんだ有りやしない。
「倒れてる奴等はどうだい、まだ生きてるか?」
村人グループのリーダー格の短髪に声を掛ける。
「駄目そうだ…皆死んでいる。」
皆と言う程の人数でも無いだろうと思った。それにお前等は狩人や門兵なんてのをやってる奴も居るだろうが村人だろう。
ナッズ達は曲がりなりにも
それを三人程度の犠牲で済んだんだ。喜ばしい事なんだと思うのだが――と思ってナッズからその辺りを読み取ってみるとどうも極力穏便に抵抗があった場合も殺さず無力化する方針だったみたいだ。
ナッズは●そうとしてた気がするが…
村人の方もちょっとばかり記憶を読み取るが大半が農作業に従事している若者達の集まりだ。自警団的なものなんだろうか。
まあこれもどうでもいいか。
姫様のところに向かう訳だがまずはこの村人達をどうするか。
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