第二章 嫌忌 2

 朝比奈由衣はとある商業ビルのトイレの中にいた。


「そんな……、死ぬなんて。体調が優れなくなるだけって言っていたのに。違う……、私のせいじゃない」

 

 ガタガタ震える手にピルケースを握りしめて心の中で呟いた。


「アイツ、私を騙したの?もしかして、昨日届いていた郵便物ってアイツが送ってきた物?裏切られた?」


 朝比奈由衣はトイレから飛び出すと早足で地下鉄の駅に向かった。


「アイツ、許さない」


 そう小さく声に出して言うと手に持っていたピルケースを駅のゴミ箱に投げ入れた。

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