第35話 母性に目覚めちゃったみたいな
少女漫画のヒロインか! ってくらいに相変わらずキラッキラのお目々で見てくる
ほっぺたを真っ赤に染め大きな目でジーッと見てくる
これは教育上どうなんだろうか……
「チューじゃないよ。アイリに味見してもらってたんだ」
苦し紛れの言い訳かもしれないが『うん、チューしてたよ』って言うのも何か違う気もする。
「陽菜ちゃんと結菜ちゃんも、味見してみる? 」
「食べたい! 」
双子ちゃんは頷くと近付いて来たので、ボウルから溶かしたチョコをすくう。
双子ちゃんが口に入れると「おいしーー! 」と言いながら手を頬に当てる陽菜ちゃんと、それに頷く結菜ちゃん。
「もう少ししたらパンケーキ出来るから待っててね」
リビングへと戻っていく双子ちゃん。ちんまりしてて後ろ姿もぷりちーである。
って、アイリはまだ口にチョコ付けたままだし
「アイリも一緒に待ってなよ。あと、口にチョコ付いてる」
「
「はっ? まだ寝ボケ」
アイリの柔らかい唇を押し付けられた。しかも唇以上にやわらか〜い胸まで押し当てて来てない?
さっきのベロチューが強烈だった分、まだ俺の心にも余裕があるが。
積極的なアイリはいつも通りだけど、それは性的な意味ではない。
「なんかあったのか? 」
いったん俺から引き離すと俯きながらモジモジとしだすアイリ。 やっぱり普段とどこか違う。
「どうしようアタシ……」
こんどは俺の手を握ると上目遣いしてくる
「よ よ……欲求不満かも……」
「はい? 」
耳まで真っ赤に染めたアイリは、握っていた手を離すと髪の毛を指でグルグルし始めた
「なんか……さっき眠ってて変な夢は見ちゃうし、今も心と身体がふわふわしてて、トロンとしてるし。ふわとろだよ」
最高なオムライスじゃねーか
「夢ってどんな? 」
アイリさん? グルグルしてるスピードが早くなってるよ。
何かフォークに巻き付くパスタみたいに髪の毛なっちゃってるよ
「い……言えない」
サキュバスでも来ちゃったか??
って、アイリ自体がサキュバスっぽいけど。
寝顔は普通に可愛らしい感じだったけど、あんな天使みたいな寝顔してて、こんなに照れるほどエッロい夢でも観てたの?
なにそれ? めちゃくちゃ興奮するんですが
あとで、画像チェックしとこ。
チョコレートは媚薬とも言うが……これなら取り締まらなきゃいけないレベルだぞ。
双子ちゃんも待ってることだし、とりあえずパンケーキを焼き始める
「人間の3大欲求とも言うからな睡眠欲、食欲、性欲って」
「そうなの? 」
「そうだよ。だから普通の事だし、気にしなくて良いでしょ」
「睡眠欲はさっき眠ったし、食欲はパンケーキ食べて満たされるでしょ。性欲は……」
独り言のように呟いて、勝手にまた赤く照れてるけど、こちとら童貞なんじゃい!!
ヤりたいけどヤリかた知らないし、ヤルまでの流れも知らんから、どうしていいかが分からない。
アイリとそんな関係にはなりたいけど……
「焼けたのから、皿に重ねるから持っていって」
「あ、うん」
こんがりと綺麗に焼けたチョコパンケーキ。間にはバナナとイチゴをカットして入れておく。
仕上げにチョコソースを上から掛けてっと。
見た目も匂いも我ながら最高の出来栄えだ。
パンケーキは双子ちゃんには大絶賛だった。
あまりに美味しく食べてくれるので、俺の分まで食べてもらった。
小さい可愛い子が、可愛い食べ物を可愛らしく食べている。それを見るのは凄い心が洗われる気分だ。
ギャルなんてエッロい事で頭がいっぱいらしかったからな。
人のこと言えんけど
午後も四人でTVゲームやカードーゲームをして楽しく過ごした。
アイリも双子ちゃんへの接し方は、どんどん上手くなってたしアイリ自身が本当に楽しんでそうだ。
楽しい事は全力で楽しめるアイリがいると、落ち込んでようが悲しんでようが、こっちまで楽しくなってくる。
午後のティータイム。コーヒーを飲んでると「ヤバっ。アタシ子ども欲しくなっちゃった」
アイリの言葉にコーヒーをリバースした。
「アタシ16にして母性に目覚めちゃったみたいな」
ウェットティッシュを取り出し俺の口周りを拭いていく
「ダメよ。そーた君ちゃんと拭きましょうね」
陽菜ちゃんも真似して一緒に拭いてくれているが、結菜ちゃんだけは冷静に引いた目で見てない?
野々宮さんが俺を罵る時の目と同じだよ。
そんなこんなで本当に楽しかった時間は、あっという間に過ぎていった。
18時にはアイリのお母さんと双子ちゃんのお母さんが帰ってきたので、ついにお別れすることになった。
「陽菜も結菜も。お兄ちゃん困ってるでしょ」
玄関で双子ちゃんのお母さんが1番困ってそうだけど
双子ちゃんは俺の足にガシッとしがみついたまま動こうとしなかった。
「よほど若生君が気に入ったみたいね。さすが女の子を
「辞めてください誑かしてないですから」
アイリのお母さんはなんつー事を言ってくるんだ
「陽菜、結菜。わがままだと、また会うときに、お兄ちゃんが嫌がっちゃうでしょ」
双子ちゃんのお母さんの言葉にビクッとすると、俺をおそるおそる見上げてけくる
「そーたお兄ちゃん。また、会ってくれるの? 」
「もちろん! いつでも良いよ!! 」
「ホントに? 」
「ほんとにほんと。約束」
両手の小指で双子ちゃんらと約束した。
こんな可愛らしい双子ちゃんなら大歓迎だ。
最近の芽郁が可愛くないからな!
「ヒナ。おっきくなったら、そーたお兄ちゃんのお嫁になる」
きたあぁぁ 小さい女の子あるある。芽郁も幼稚園の頃に言ってくれてたけど
クイッと結菜ちゃんにズボンの裾を引っ張られる
「ゆ ユイナも……」
きたあぁぉ!! 最大のモテ期がきてしまった!
「あらあら。愛梨、強力なライバルが一気に2人も出来ちゃったわね」
「ダメえぇぇ! 颯太は絶対ダメ!!」
腕にガッシリと抱き着いてくるアイリだが、何回子どもと張り合うんだよ
そんなアイリに陽菜ちゃんが不思議そうに聞いてくる
「アイリちゃん。赤ちゃん出来るの? 」
全員が凍りついた。
「な なな なんで? 出来ないよ! 」
「お昼にユイナと眠ってたら、アイリちゃんと、そーたお兄ちゃんしてた」
2人のママたちの鋭い視線よ。
万引きGメンなら一発で見付けられそうな目をしてやがる。
娘さんらのハートを盗んだのは確かに俺だがな!…………ほんとどうしようこの雰囲気?
「あれは味見だって言ったじゃん」
「味見? 」
アイリの言葉をそのまま繰り返すアイリのお母さん。
「うん。颯太が味見して欲しいって言うから……」
その言葉と雰囲気で、お母さん方は感じ取ったのか、それ以上は突っ込んで来なかった。
「じゃあ。また遊ぼうね陽菜ちゃん結菜ちゃん」
泣きそうになってる双子ちゃんの頭を撫でた。
「絶対だよ、絶対だからね。そーたお兄ちゃん」
「ありがと。バイバイ」
「若生君。本当にありがとう御座いました」
双子ちゃんのお母さんにも丁寧に俺を言われたし
最後は可愛らしい笑顔を双子ちゃんは振りまいてくれた。
「タクシー呼んでるから下まで私も行ってくるわ」
アイリのお母さんも一緒に出ていく。
「ふぅ。嵐が過ぎ去った」
アイリは心から安堵のため息をはいてるように見えた。
「楽しかったし、たまには良いと思うよ」
「たまにはね。でも……」
言葉を区切ると耳元に手を添えてきた
「子どもは最低でも2人は欲しいかも」
天使のささやきor悪魔のささやき
そんなの天使のささやきに決まってるし、俺は競馬やりながら主夫になる!
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