第34話 チョコキス
テキパキと片付けするアイリを見て、双子ちゃんは負けじと連携して片付けていく。
それを手渡された
行動は速いが雑な陽菜ちゃん。
行動は遅いが丁寧な結菜ちゃん。
互いのダメな所を補い、良い所を全面に押し出した連携プレイだ。
双子ちゃんの活躍もあって片付けは早めに終わり、延長戦でリビングの掃除もすることになった。
『キレイキレイして、帰ってきたママたちをビックリさせよう』
俺が言った言葉に『アタシのママが1番ビックリしそうだよ』とアイリは返してきた。
なんとな〜く 分かってはいたが、アイリは生活力がないと言うか、家事などは苦手なタイプだ
あとから知ったがピクニックの時の美味しかった弁当も、結局はレンチンばかりだったし……
もうそろそろ、みんなが掃除してるあいだに行ってくるかな。
「アイリ。少しコンビニ行ってくる」
玄関から声を掛けると「いってら〜」とだけ聴こえてきた。
コンビニから戻ると洗濯をするどころだったのか、洗面所にアイリがいた。
「アタシ、洗濯は得意なんだよね」
「洗濯に得意ってある? ボタン押すだけじゃん」
「でも、色々と服によって洗い方変えたりするじゃん。今は洗濯機替えたから、ほとんど自動でやってくれるけど」
芽郁も気にして洗濯してるけど、女の子は着る服の素材と色が付かないようにしたり大変だな。
「タワマンだとベランダで干せないよね? 」
「そうだよ。風が強すぎるし、そもそもベランダないからね」
「じゃあ、乾燥機か」
有名な家電メーカーの高そうなドラム式が置いてあるもんな。
やっぱ、乾燥機付き良いよなぁ
時短も出来そうだし便利そうだし俺も欲しい!!
ドラム式洗濯機欲しがる男子高校生ってどうなんだろ?
ってか、アイリが洗濯機に放り込んでるの下着もあるじゃん!
水色のやつ、めちゃくちゃセクシーすぎん?
後ろとかほぼ縦線だけじゃん!!
ケツ丸出しになるだろ!
こんな童貞を星にしてやりそうな殺傷能力高いのはいてるの?
「これ、ママのだから」
「べ 別に何も思ってないけど」
気まずくなったので洗面所からリビングに戻った。
「そーたお兄ちゃん。遊ぼ」
芽郁も昔はこんなふうに言ってきたのになぁ
時の流れはなんて残酷なんだ。
この双子ちゃんたちは天使のまま育ってほしいよ。
そんな双子ちゃんは、お絵描きしてたのか画用紙には……画用紙には……なんか分かんないグチャグチャ。ってしたのが書かれてる
アイリも戻ってきたので四人で、それぞれが書いた絵を当てたり、絵でしりとりをした。
俺と陽菜ちゃんは絵心がなかった。という悲しい事実だけが浮かび上がった。
「陽菜ちゃん。眠いの? 」
画用紙にクレヨンを立てたまま、眠そうにしている。
「双子ちゃんたち、朝早かったからね」
そういうアイリも欠伸しちゃってるけど
結菜ちゃんも眠そうだし、お昼前だけどお休みタイムかな。
「アイリも朝早かったでしょ。双子ちゃんたちと休んでなよ」
「颯太は? 」
「キッチン借りていい。なんかキッチンもピカピカしたくなった」
「そこまでしなくて良いよ」
「俺が勝手にしたいだけだから」
性格的に1度気になると、それをやらないと気がすまないタイプなんだよ。
眠そうにしてるアイリを置いて、リビングから続いてるキッチンへと向かう。
さてと、まずはピカピカにしますか。
使わない歯ブラシやタオルも借りてキッチンにこもること1時間
もとからそんなに汚れてはなかったが、まるでモデルルームみたいなキッチンに仕上がった。
そのうちまた汚れるだろうけど、ピカピカのキッチンを見るとなんか清々しい気分だ。
ふと、リビングに目を向けると端っこの方で、3人寝転んで眠ってるのが見える。
ヤバいもっと近くでみたい!
起こさないように静かに向かうと、アイリを真ん中に3人は仰向けで眠っていた。
エアコンの柔らかい風が届くたびに3人の前髪もかすかに揺れ動く。
3人ともめっちゃ可愛いよ!
1枚のタオルケットを掛けて可愛い子が3人並んでるこの尊さ!!
スマホで撮りたい!!
撮って良いかな? 良いよな?? 彼女だし!
ナチュラルメイクってのもあるんだろうけど、アイリの寝顔が子ども過ぎる。双子ちゃんとそんなに変わんないじゃん
何枚か撮って保存したけど後でロック画面にしとこう。
ずっと見てられる寝顔だけど、お掃除を頑張ったご褒美上げないと。
コンビニで買ってきた板チョコを半分にして生クリームと一緒にレンジで溶かす。
むかし何回も芽郁に作ってたから懐かしいな。
ご褒美の甘い美味しい食べ物は、みんなが大好きパンケーキチョコに決めていた。
溶かしたチョコをボウルに入れて、もう半分の板チョコを砕いて入れて掻き混ぜる。
もう、この時点で甘い匂いがしてくる。
「そーたぁ。良い匂いするぅ」
ってか、ホントに子どもか!
眠そうな目をこすりながら、トコトコとアイリがやってきた。
「匂いにつられて起きたか? 何枚か焼いたら持ってくから、それまで寝てたら」
「ん、ここで、見てたい。アタシ家事とか苦手だし」
「別に良いんじゃね。俺は得意だし」
双子ちゃんを見てて思った。互いの欠点も補っていけば良いだけだ。
何も全部を一人ですることはない。
「何か良いね」
「なにが? 」
「こういう時間? 雰囲気?? 」
「なんだそれ。まだ寝ぼけてんじゃね」
ボウルでチョコを掻き混ぜてると後ろからアイリが、くっつくように抱き着いて来た
「ちょ こぼれる! 」
「アイリは寝ぼけてなーい」
ふだん『アタシ』言うくせに、自分を名前呼びすんのは完全に寝ぼけてるだろ!
後ろを振り向くと、抱き着きながら俺を見上げるアイリと目が合った
「なんかぁ、そーたの背中見てたらぁ」
背中に顔をうずめてくるアイリ
「ギューって。したくなっちゃった」
一気に鼓動が早くなる。
こんなん反則級に可愛すぎる
「お絵描きゲームも、双子ちゃんばっか相手してたし」
「そんなことねぇよ」
「あるのっ! 」
普段ならめんどくせー言っちゃうけど、吉沢愛梨が寝ぼけながらのジェラシーとか、クラスメイトが見たら、5回はひっくり返りそうだな
「ほら、これ食べて機嫌治してよ」
スプーンですくったチョコをアイリの口元に持っていくも、すぐにパクっと食べてしまった。
「甘くて美味しい」
「だろ。これのパンケーキだか」
突然チョコの甘さが唇から伝わる。
ってか。口の中が甘さでいっぱいだし、柔らかいし温かいのが入ってきてる?
ベロチュー?? 寝ぼけ過ぎてキスがベロチューになってる!?
アイリの舌の柔らかさと溶けたチョコの甘さに理性を失いそうになる
酸素も思考もなくなっていくのに、もっと甘さを柔らかさを味わいたい……ボウルを置いてアイリを抱き締めた
背中に爪を立てられてるけど、この痛ささえ気持ち良いし
「っん……」 漏れる、アイリの吐息さえも愛おしく感じる。もっと深くまで
ってか、ホントにチョコみたいに溶けそう……
「あー! チューしてる。ユイナ見てみて、チューしてる」
キスしながらアイリと視線を横に移すと陽菜ちゃんが、キラッキラのお目々で俺たちを見ていた。
パッと離れたものの心臓のバクバクは消えないし
アイリの唇についたチョコがエロすぎて
いらぬ妄想をしてしまう……
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