第13話 大丈夫、大丈夫

 7時。

 目覚まし時計の音で俺は目覚めた。布団から這い出て、すぐさまスマホを手にする。あの人からメッセージが来ていないか、を確認するためだ。しかしメッセージは届いておらず、軽い失望感が俺を襲う。

 朝食を食べ、車で仕事に向かう。30分ほどして仕事場に到着。気分は晴れないが、仕事を始める。



 12時。

 昼休み。俺は昼食をとりながらスマホを確認する。すると1件のメッセージが届いていた。あの人からか? と期待しながら確認するが、服屋からのメルマガだった。セールの予定を見、メッセージアプリを閉じる。あの人も社会人だ、平日の日中にメッセージを送るなんてことはしないだろう。そう自分に言い聞かす。



 19時。

 残業が終わり自宅に到着する。家に帰ってもネット以外取り立ててすることもない。食事をし、風呂に入る。そして手元にスマホを置き、パソコンをつけ、ネットの海に飛び込む。色々なサイトを巡り時間をつぶす。気持ちだけは、いつメッセージが来てもすぐ返事ができるよう準備して、だ。



 21時半。

 あの人もそろそろ家には帰っているかな、という時間。「こんばんは。今日も一日お疲れさまでした」という短文を、メッセージアプリであの人に送る。返事が来て欲しい、と頭の中で何度か願う。



 23時。

 あの人から返信は来ない。やはり来ない。あの人も忙しいのだろう、と自分を無理やり納得させる。



 その時、俺のスマホがメッセージを着信した。期待をし、メッセージを確認する。しかしそれは、男友達からのメッセージだった。「今度の週末暇? 酒でも飲みに行こうか」という内容だ。「うん、暇だから飲みに行こう」と返信をする。



 あの人と知り合ったのは2ヶ月前ほどか。以前はメッセージももっと頻繁にしていた。しかしだんだん回数が減っていき、今ではこの有り様だ。俺の気持ちだけが取り残された。もちろん、あの人に非は無い。それは分かっている。



 0時過ぎ。

 俺は寝ることにした。明日の朝になれば、メッセージが届いているかもしれない。その可能性は0じゃない。素敵な朝になりますように、と願いながら、俺は。

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