もう一人の許嫁?!
翌日、いつもと変わらず真音と一緒に学校に登校した。
教室内を周りを見渡して許嫁が誰か必死に探した。まだ登校してない人が多いにも関わらず、騒がしかった。ざわついてる理由が、知りたくなり真音の顔へ視線を向けた。
「何で、皆んながこんなに騒がしいのか真音知ってるか?」
「ふうちゃん。多分それはね〜今日転校生が来るからだと思うよっ!」
「転校生?」
「そう!転校生!!しかもその転校生は、すっごく可愛い女の子なんだってっ!!早く会いたいな〜ふうちゃんもそう思うでしょ!?」
「うん、そうだね...早く僕も会いたいな〜..」
本音を言えば、その転校生と会いたくない。何故なら、その子が許嫁の可能性があるからだ。元から学校にいる人ならまだしも、転校生となると完全に初対面だ。
「そうだよね〜。あっ!ふうちゃん、可愛いからって変なことしちゃダメだよ!」
「しないよ。まず僕が、そんなことしないって幼馴染である真音が一番わかってるだろ。」
「もちろん分かってるよ!ふうちゃんが、私以外の女の子と話ている所見たことないし大丈夫だよねっ!」
「一言余計だけど、否定できないのが悔しい。」
そう言えば、いつものように話しているけど真音は、僕の許嫁なんだよな...
真音は僕のこと、どう思ってるんだ?
許嫁だから、いつも僕のそばにいてくれるのか
それとも、許嫁とか関係なく僕のことを異性として好きでいてくれるからか...
真音に聞こうか迷ったけど、そんな勇気はない。
その後もずっと真音と話していると登校してくる人も増え始業ベルが鳴りそうな時間になっていた。
「もうそろそろ、チャイム鳴りそうだから席に戻るねっ!また、後で話そう、楓ちゃんっ!」
「そうだな。また後でな」
窓際で一番後ろにある僕の席に戻ると、隣に今まで無かった机があった。
「この席に転校生が座るのか...どんな子なんだろう?」
始業ベルがなり担任が、教室に来ると皆んな話をやめ自分の席に戻って行った。
「みんな座ったね。いつも通り出席を取ろうと思いますが、その前に転校生を紹介します。」
「おぉ〜!転校生のうわさは、本当だったのかっ!」
「やったぜ。早く転校生の顔を見てー!」
先生が、転校生のことについて話し始めるとクラスの中でも特に陽キャな男子達がうかれた声音で話をしていた。その一方僕は、早くこの転校生の紹介が早く終わってほしいと思った。
「分かった分かった落ち着いて男子諸君。転校生のことを今すぐ紹介してあげるから。お〜い、入ってきていいわよ〜」
先生は、廊下の方に向かって呼びかけると転校生らしき女の子が教室の中に入ってきた。
その子は真音には劣らない、可憐な美少女だった。教卓の前までくると、先生と話し手を交代して自己紹介を始めた。
「初めまして。私の名前は、
乃空という名前は、どこかで聞いた覚えはあるけどどこで会った日の出来事を何ひとつ覚えてない。
乃空が僕の許嫁かもしれないと言う緊張感からか、偶然目が合ったとき、すぐに窓の外を見て目を逸らした。
目を逸らしたものの、乃空がどんな性格の子なのか知っておきたくて、耳だけでもいいから傾けて話を聞くことにした。
「突然で申し訳ないのですが、このクラスに一条楓希ってお名前の方っていらしゃいますか?」
「ふうき...?あぁー楓希ねっ!ほら、窓際の一番後ろにいるのが楓希だよ」
「あっ!あの方が、楓希君なんですねっ!」
「あのー...乃空さんって楓希の知り合いか何か?」
「えーっと、知り合いというか...私、楓希君の許嫁なんです。」
「.......えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!」
乃空が僕の許嫁だと言うと、クラス全員が僕と乃空の顔を交互に見ながら叫んでいた。
みんなが叫んでいる中、僕は驚きのあまり言葉が出なかった。今ここで、彼女が二人目の許嫁であることが分かったのは嬉しいけどその分代償が大きすぎる。許嫁である真音には、乃空のことを内緒にしておくはずだったのにバレてしまった。僕は、乃空から真音にいる方へ恐る恐る視線を傾けると、真音は笑顔だった。でも、その笑顔にはとても怖い圧を感じる。僕は、何も見なかった...そう言い聞かせ乃空の方に視線を戻した。
「私の自己紹介は、これまでかな。何か聞きたいことあったら何でも聞いてください。」
自己紹介が終わった後、クラス全員が乃空に向かって拍手をした。そして、話し手が乃空から先生に交代した。先生も、僕と乃空のことについてはもちろん知らない。だから先生は、少し動揺しているようにも見えたがそのまま話し始めた。
「えー...今日から一緒のクラスになる乃空ちゃんです。皆さん仲良くするようにね。」
「はーい。」
それぞれが返事をした後、先生は教室の内を見渡して何かを探していた。そして、誰も座ってない机を見つけた先生は乃空ではなく僕に視線を向けてニコッとした。先生からしたら、許嫁同士が隣の席になるのは嬉しいかもしれないけど僕からしたら最悪だ...ホームルームが、終わったら真音から何を言われるか分からないし、乃空と何を話せば良いかも分からない。
「乃空ちゃんの席はねー。楓希君の隣よっ!良かったわねっ!」
「はいっ!楓希君の隣になれてとっても嬉しいです!」
「何か分からないことがあったら先生にいくらでも聞いてね。」
「分かりました。分からないことがあったら先生に聞きますね。」
先生との話が終わった乃空は、僕の隣の机に向かって歩いてきた。クラス全員が、乃空から目を離さないまま僕の席の前まで来ると彼女は軽く手を振ってきた。
「久しぶりだね、楓希君。私のこと覚えてるかな?」
「......ごめん...君のこと覚えてないんだ...」
「まぁー覚えてないのも当然だよね。だってもう12年前のことだし...」
12年前か...つまり僕と乃空が初めて出会ったのは、5歳の頃。その当時、僕が何をしてたか思い出そうと頭を抱えていると乃空が、不安そうな顔をして僕の顔を窺ってきた。
「楓希君、大丈夫?頭抱えてどうしたの、もしかして頭痛い?」
「いや、君のことを思い出そうとしてるんだけど、思い出せないんだ...」
「無理に思い出さなくても、大丈夫だから。あと、私のことを君じゃなくて乃空って呼んでよね。」
「分かったよ。これからよろしく、乃空。」
「こちらこそ。よろしくね、楓希君。」
お互いの挨拶を済ませ乃空は、自分の席に座った。乃空の紹介も終わりいつも通りのホームルームに戻った。
...と思ったのも束の間。出席確認をしている時、乃空はずっと僕のことを見ている。授業中もこのまま見られると集中できなくなる。
「どうしたの...乃空?僕の顔に何かついてる?」
「ううん...楓希君の顔には、何もついてないよ。私は、楓希君の顔を見てただけなの。久しぶりに会えた君の顔を少しでも長く見てたいって思ったから...」
乃空は、頬を少し紅潮しながら答えてくれた。でも、さっきより近くで乃空の顔を見ると何故か懐かしい気持ちになる。乃空や母さんが言うように以前会ったことがある気がする。でも、12年前のことをそう簡単には流石に思い出せない...
乃空に12年前のことを聞いて思い出したいけど、今はホームルーム中だ。
「あのさ、乃空。今じゃなくても良いから、12年前のこと聞かせてくれる?」
「本当にっ!後で話してあげるね」
二人で約束をした後すぐにホームルームは、終わった。
僕は、隣にいる乃空に話しかけようとした瞬間クラスの皆んなが彼女の周りに集まっていた。
「ねぇー本当に楓希の許嫁なの?!」
「あのっ!乃空さんって呼んでいい?!」
乃空に質問しようとしている人達がいっぱいで、僕の入る余地はひとつもなかった。なので、次の授業に備えて教材をバックから出そうとした瞬間見慣れた人物が僕の前に立っていた。
「乃空さんが許嫁ってどう言うことなの、楓ちゃん!?」
真音は、大きな声で僕に質問してきたせいで隣にいた乃空やクラスの人達に今の発言が聞かれてしまった。
あっ、これもう修羅場確定な気がするよ...バレないようにするって母さんと父さんに言ったのに...一限目が始まる前にもう全部バレてしまった。
これからどうなるんだろう。僕の高校生活...
今言えることは、ただ一つ。昨日までの高校生活には絶対に戻れない...
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