第11話
行き帰りの集団登下校だけの付き合い。
それが地区子供会なのだと思うと寂しくなる。
知ったかぶりして言わせてもらえば、学校に到着しても、家の周りのご近所さんだけの集まりの、地区子供会同士だけで遊ぶような狭い人間関係では、社会性は生まれない。
だから、確かにこんな風に学校に着いてしまったら、後は、それぞれの昇降口にダッシュしてそれぞれの教室でみんな違う友達と遊ぶことは当たり前に大事なことだ。
教室に入ってしまえば「日常」が始まるから、寂しさなんてすぐ忘れてしまう。
昇降口の下駄箱は、三色に分かれている。
背中合わせに低学年が緑。
中学年が白。
高学年が青色。
職員玄関と呼ばれるものが昔はあったらしいけれど今は、児童の下駄箱の壁際に白木の職員下駄箱が張り付いていて、反対側の壁際には、同じように白木の来客用下駄箱が張り付いている。
由緒正しい名足小学校だけれど、新築校舎にしてからまだ二年目の新校舎だから、下駄箱もぴかぴかで床も木の香りが残っている。
バリアフリーの昇降口もフローリングの床もすべての教室の扉を取り払えば一つの大きな多目的ホールになる。
図書室に置いてあるパソコンは、ゲームはしてはいけないことになっているけれど、検索閲覧は自由だし、新聞作りや会議の資料、プレゼンテーションの準備もできるようになったから、高学年になって一番出入りが多くなった場所でもある。
図書室は、ほぼ私の居場所かな・・・。
五年一組岩石佳惟。
青色の下駄箱の左端上から三段目。
ご丁寧に「一組」なんて書かなくても、全学年一組しかないのだから、おかしいといつも感じているのに、習慣って変だ。
歴史的に二組が存在したこともあるだろう。
もしかしたらこの先、急にこの町に大挙して人が押し寄せて、三組とか四組が必要になるかもしれない。
だから今は、一クラスしかないけれど、もしも、まさかの事態を想定して、現存する教室は、「一組」と名付けて置こう!みたいな大人の考えは、やっぱりやめてもらいたい。
過疎化だってことくらい、子どもの私にもわかる。
この先、三組、四組が必要になる未来は、たぶん、やってこない。
少子高齢化社会だって、受け止めるところから始めればいいと思う。
「五年生」とか「五年」で割り切っていい。
その方が潔いと思うのは、私だけかな?
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