第100話 純情少年一番弟子

  屋敷に帰ると、第3王子が殿下や見知らぬヤクザみたいなやつを連れて待っていた。


「サブーリン殿」

「殿下、申し訳ありません。

 ヤクザ如きに遅れを取りました」


 頭を下げておく。


「今後の方針としては、チンピラの息が掛かってない娼館と契約して、我が騎士団はそこを使う様指示したいと考えています」

「あ、う、うん。

 その事なんだけど」


 殿下が隣に座る第三王子を見る。


「この人は、私と仲の良いヤクザです。

 ソーパンの頭領です」


 ソーパンの親玉が立ち上がって頭を下げる。


「初めまして、月の騎士様。

 ソーパンの頭領をしておりますリョーメンと申します」

、サーシャスカ・サブーリンでーす」


 言うとリョーメンは頭を下げる。


「申し訳ありません、様」


 ふむ、話はできる様だ。

 リョーメンから視線を外し、陛下を見る。


「陛下、貴方はどう思う?」

「ぼ、僕かい?」

「我々の代表は貴方ですわ、殿下」


 スルリとやってきたクリスティーナが告げる。

 私もクリスティーナも誰も何も言わずに殿下を見る。殿下はこの時点で漸く事の重大さに気が付き、何をどうしなければなら無いのか理解した様だ。

 殿下は私を見た。


「殿下、この程度の選択で悩んじゃダメですよー

 まぁ、今回は我々がケツモチするのでご安心をー」


 殿下は私を見て頷いた。


「うん。僕は最初から良い案だと思った。

 サブーリン殿、どうかな?第三王子の息のかかったの娼館を君の部隊の行きつけにしては?」


 にっこり笑っておく。


「良い案ですね。

 直ぐに各中隊長を呼びましょう」


 クリスティーナを見るとクリスティーナはハイハイと指を振った。すると何処からともなくクリスティーナの声で各中隊長は今すぐ談話室に来なさいと聞こえた。


「これ、ユーリ覚えれる?」

「かなり難しいらしいので、成人するまでに覚えればラッキー、ですわね」

「じゃーよろしく」


 5分も経たずに全員が集合した。


「殿下が君等が使うエッチなお店よーいしてくれましたー

 今から将校偵察に行くので私服でシューゴー」


 言うと同時にクリスティーナの凄まじい殺気と共に鋭い指突きが私の脇腹に突き刺さる。思わずグゥッと声が出る。


「え、エッチな事し無いから!

 クリスも連れてく!」


 グリグリと指を捻るのやめて欲しい死ぬほど痛い。てか、一回死んだ。

 ホント的確に肝臓突くのやめて欲しい。

 指を抜いて着いた血を舐め取りながら私を見つめている。


「ほ、ホントだって……」


 クリスはよだれのついた人差し指と中指を私の口の中に押し込む。


「知ってますわ。

 これは私の嫉妬ですもの」


 何か言おうにも指はしっかりと私の舌を挟みもにゅもにゅしてる。私は指をぺろぺろ。


「サーシャと行くのはよ。

 序でにユーリと江さんにカタリナを連れて行きましょう」

「ふぁい」

「皆さんは早く準備なさい」


 クリスティーナの命令で全員が行動開始。

 フガフガしていると、クリスティーナは第三皇子を一瞥し私の口から指を抜き取った。そして、片付けをして私の膝の上に座る。


「準備しに行くのでわ?」


 尋ねるとクリスティーナは第三皇子を一瞥してから私にキスをする。


「行きますわよ」


 そして、普通に手を引かれて連れて行かれる。服は第三皇子みたいなザ・創作のチャイニーズみたいな服を着させられた。


「これ、男物でわー?」

「サーシャに似合いますもん。

 私はこれですわ」


 これですわでムチムチボインなチャイナ服。

 胸元のスリットに指を突っ込む。すると、ぽゆんと指を挟まれてフミフミされる。うむうむ。

 名残惜しいながら時間も無いので、部屋を出る。

 玄関先に出ると私服に着替えた指揮官クラス、便宜上中隊長と呼んでいる者達が揃っており我々の格好を見て互いに顔を見合わせる。

 ユーリとお江ちゃんは殿下達やカタリナと既に待っており、私を見た後にクリスティーナを見た。

 時計を見ると30分は経っていた。可笑しい。オッパイに指挟んで貰ってただけなのに。


「良い女達を待つのは光栄な事よ」


 クリスティーナは悪びれもなく扇子で口元を隠して高笑い。

 私は取り敢えずこのおっぱいが悪いと言ったらユーリが何か言いたそうにクリスティーナの胸元を見てから諦めた様に首を振った。

 何だよ。文句あるか?

 それから花街に馬車で移動。馬車は花街の外れに近い場所に止まる。王家の家紋付きの馬車は目立つので花街の住人が何事かと眺めている。

 そんな中に私が降り立つので花街の警戒度は一気に上がる。用心棒達が慌てて中に入り、増員して現れたり、店の入り口を閉じたりした。


「此処が殿下のオススメで?」


 腰に手を当て店を見上げると中から支配人と思しき老婆がやって来た。

 老婆の相手はヤクザがやる。それから我々は店に入る。


「さて、やる事は簡単だ。

 この館の隅から隅まで調べろ。従業員は仕事の内容些細問わず全員此処に集めろ。

 クリスティーナ、従業員の尋問。

 各中隊長とユーリ、お江に序でにカタリナは館の捜索。その後はお楽しみの時間をやる。

 遣り手婆は私の元に来い。

 質問」


 やる事を指示する。有無を言わさ無い。殿下も何か言おうとした様だが、私の考えが分かったのか黙った。

 婆は私の前に座ると頭を下げて自己紹介した。ターマオと言うらしい。ターマオの前で腕を組みターマオの言葉を聞く。じっと見つめ、一切喋ら無い。

 ターマオは最初は私を褒めていたが次第に何を話して良いか分からなくなり気まずそうに黙ってしまう。取り合って何かしようと言う魂胆は見え無い。ふむ、ある程度は信頼して良いだろう。


「失礼します」


 一時間程婆と対面で座っていると中隊長達が戻ってきた。


「怪しい構造物は有りませんでした」

「よし、全員好きな嬢を1人選べ。

 どの程度の店かを調査せよ」


 婆の前に金貨を入れた袋を置く。

 私達がロビーに戻り、中隊長達は並んでいる娼婦達を吟味し始めた。


「性病は誰も居ませんでしたわ。体調不良者は月の物。また、内通者は居ませんでしたわね」

「分かった。

 ユーリも好きな娼婦と遊んで良いよー」


 ユーリを見るとユーリは難しいそうな顔をした。何ダァー?


「俺は、良いや」

「なんでー?」

「何か、そう言うのは違うと思う」


 ユーリの言葉にクリスティーナはクスリと笑った。


「純情さんなのね。

 良いわ。貴方はカタリナと一緒にいなさい。お江は好きになさい」

「分かった」

「承知!」

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