第101話 エッチなのはいけないと思います。

 ユーリの童貞に付いてはどうでも良いが、

恋愛の一つや二つ経験しておいて欲しい。ユーリもそろそろ恋の一つや2つしてもおかしくない年齢なのだから。

 ユーリの目標は私を殺す事だろう。故に、それまでの道のりを全てそこに注いだ場合、私を殺す事に成功した後、彼の人生は虚無になる。

 当たり前だが、今の所、ユーリは物凄い勢いで成長している。しかし、私がそれを上回る速度でレベルアップしてしまったので、相対的に見てユーリの成長はプラマイゼロなのだ。

 この現実に聡明な彼は気が付いているだろう。ユーリには是非とも心を挫けずにいて頂きたい。


「さっきから珍しく難しい顔をしてますが、お腹でも痛くて?」


 クリスティーナがベットから這い出てくると私の隣に座る。


「ユーリも恋愛を知れば強くなるんじゃないかと思ってね」

「オホホホ!

 傲慢ですわね」


 クリスティーナが笑いながら私の首筋に歯を立てる。そして、血を吸う。


「うっ……」


 吸血鬼に血を吸われても痛くは無い。蚊に刺されるのと一緒、と言うとぶん殴られるそうなので言わ無いが、唾液とかになんかそう言うのが有りそう。


「恋愛を知れば強くなるなんて、驕り昂りですわ。

 そもそも、貴女。恋愛によって強くなったわけじゃ無いでしょう?」

「やーまーそーなんだけどさー

 ユーリも良い年なんだし、女の子の1人や2人関係持っても良いでしょー?」

「貴女、ユーリと同じくらかの歳に何をなさっていたかおっしゃてみて」


 戦場でアホの様に戦っていたわ。


「ほら」


 人のこと言え無いでしょ、とクリスティーナは笑う。


「まぁ、私やコルネットさんの様に美人な嫁を手に入れて自慢したいのは分かりますわ」


 この娼館、いやこの世界で最も美しい女の1人はそう笑った。

 まったく持って良い女だ。


「成程、ふむ。

 じゃあ、ユーリに自慢しよう」


 クリスティーナを抱き上げてユーリとカタリナのいる部屋に向かう。

 扉を蹴破る様に開けると、ユーリとカタリナが何やら手を繋いでベッドに腰掛けていた。


「あら、何子供みたいな恋愛ごっこなさってるので?」

「あ、恋愛マスター」


 ユーリがいい所に来たと言う顔でクリスティーナを見る。


「何かしら?」


 クリスティーナは私の手から降りて、2人の前に。


「人を好きになるってどんな感じなんだ?」


 ユーリがカタリナの手を離すと腕を組み、難問を前にした学生の様な顔をする。

 難しい質問やな。私も普通に考えてしまう。


「そんな事、好きになら無いと分かりませんわ。

 それを理解する事が強くなるステップですわ。まぁ、それが貴方の強さに貢献するかどうかは私には分かりませんけども」


 オホホホと笑うとクリスティーナは私にキスをしてきた。


「貴方、この人とずっとキスしたり手を握っていたいと思う人を探せば良いのですわ」

「はぁ……良くわかんねぇけど、別に俺はクリスティーナもサーシャも、カタリナも全員とキスしたりずっと手を握ったりしてたいぞ。

 王国に負けるまで、俺の母さんも姉ちゃんも俺にキスしたりしてくれたし」


 成程、前提がそこか。

 クリスティーナを見るとクリスティーナはオホホホと笑いながら私にディープキスをした。


「こう言うキスですわ」


 ユーリは勿論、カタリナは顔を赤らめていた。


「それは、無理だ。破廉恥だ」

「破廉恥ですわ」


 オッホホホとクリスティーナは高笑いをすると出て行った。


「因みに、クリスティーナにあのキス出来る人間は私とコルネットだけだぞ」

「知ってるよ」


 お前たちの惚気は聞き飽きたと言う顔をしてきやがる。生意気になって来た。


「生意気な弟子め。

 お江ちゃんにも聞くと良い。あの子もユーリよりは年上で私よりも世界を見て来た」


 てかお江ちゃんどこ行った?


「お江ちゃんは?」

「隣の部屋にいるはずだぞ」


 ふむ。

 隣の部屋を見ると素っ裸のお江が娼婦の前に座り、股をガン見していた。


「何してんの?」

「お師匠!

 お師匠の股も見せて下さい!」


 直後、クリスティーナがお江ちゃんの背後に現れ、喉を鷲掴みにして持ち上げる。


「私の物よ?」

「ぐっ!がっ!」


 お江ちゃんの首を折られる前に辞めさせる。


「辞めなさい」


 全く。

 クリスティーナを私の後ろに下がらせ、お江ちゃんを見る。


「で、いきなりなんで貴女は人の股を見たいと?」

「其処の娼婦は股の技なら師匠にも勝ると言うのです!

 股の技が何かわかりませんが、師匠は負けません!」


 クリスティーナを見るとクリスティーナはオホホホと笑い出した。


「子供ばっかりですわね」

「股の技は私よりクリスティーナの方が強いよ。そして、それはお江ちゃんの国で言う……なんだ?」


 何だろう?

 クリスティーナを見るとクリスティーナは任せなさいという顔で私を追い出した。


「ユーリとカタリナも連れてらっしゃいな」


 私はクリスティーナに性教育を任せる事にした。

 それから二時間ほどして満足した顔の中隊長と顔真っ赤な弟子達に錬金術師、満足気なクリスティーナを引き連れて帰る事となった。

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