エンシェントドラゴンの感想

 あのクソ生意気な下等種が、人間の姿なら俺に勝てるとホラを吹くので、下等種を纏めている劣等種に場所を貸せと言ったらコロシアムとか言う建物を寄越してきた。

 そこで、あのクソ生意気な下等種をぶち殺してやるのだ。


「まぁ、死ぬ直前に私が眷属にするから」


 そして、控え室にてサブーリンにそんな事を言うのがあの唯一俺を恐れず俺との殺し合いに生き延びた、神祖の吸血鬼たるツェペシュの娘だ。


「抜かせ、貴様が止めに入る前に殺してやる。

 この前の様にはいかん」


 この前はトドメを刺す前にツェペシュの娘に止められたが今回はその邪魔も無い。


「えーもーそーなったら眷属でも何でもどーぞ」


 そして、相変わらず隙を作り俺を挑発してくる下等種は答えた。此処で手を出すと返り討ちに会うのは目に見えている。

 此奴はそう言う存在だ。


「準備が整い次第、競技場へ」


 案内の下等種が声を振るわせ告げた。皆俺を見るとそう言う態度を取る。それが正しい。ツェペシュの娘ですら、居住まいを正す。

 そんな俺を見て椅子にふんぞり返っているのはこの世に2人、ツェペシュとこのクソ生意気な下等種だ。


「俺はいつでも良い」

「じゃー行きますかー」


 サブーリンが立ち上がり、脇に置いてある双刃刀と腰に二振りの剣にイージスの鱗から作った盾に呪具を見に纏う。


「その呪具を置け」

「嫌でーす。

 これ無いと神祖殺せないなら私はこれ使いまーす」

「抜く前に素っ首刎ねてやるわ!!」


 怒鳴り付けると案内の下等種が悲鳴を上げて逃げてしまった。


「落ち着きなよー」


 サブーリンに案内させながらコロシアムの中央へ。血の匂いが満たされていた。


「ほう、此処は刑場か何かか?

 血の匂いがするな」

「ここは殺し合いを見る場所だよー」


 サブーリンはそう答えて周囲を囲む様に居並ぶ下等種や劣等種を見回した。


「俺よりも劣る者が俺を見下すか?」

「そーゆー器の小さいこと言わなーい。

 あ、陛下と殿下じゃん」


 サブーリンが手を振る先を見るとこの国を治める劣等種が下等種とともに座っている。


「じゃ、いつでもどーぞー」


 サブーリンはそう笑う。実に実に楽しそうに笑う。ツェペシュの奴と全く同じだ。不愉快にも程がある。


「そのにやけたツラを2度と出来ない様にしてやる!」


 ブレスを吐くために口を開くと同時にサブーリンが前に詰めてくる。馬鹿が、今度はイージスの鱗を考慮したブレスに決まっている!

 顔より大きなブレスが形を成し、吐き出す寸前にずるっと足元が滑った。ブレスは観客席の一部を破壊して上空に。

 何が起こったのか?地面に腕を突こうとして、出来ずに顔から崩れる。見れば、右腕と右足の太もも、左足の膝から下が無くなっている。

 左手で起きあがろうとするその腕も切り落とされ、顔を向ける前首を刎ねられた。


「馬鹿奴。

 自分の視界を塞ぐアホが何処にいる。ああ、此処にいるか」


 俺の頭を持ち上げたサブーリンは死の刃を抜いた。


「よ、止せ!

 俺を誰だと思っている!」

「自惚れの酷い馬鹿かとー」

「黙れ!

 その忌々しい物を今すぐしまえ!」

「お断りしますぅー」


 サブーリンが死の刃を俺の体に突き付けようとした瞬間、ツェペシュの部下であるヘルシングが杖で突き刺さる直前の腕を止めた。


「あ、危なかった」

「いーや、アウトだ」


 イカれ下等種はあろう事か手のひらを開く。

 死の刃は俺の心臓に突き刺さる直前、飛んで来た鉄の礫によって弾かれた。


「ユーリ!!」


 サブーリンの奴は観客席を睨み付ける。そこには何やら煙の出た筒を持った下等種の幼体。その脇には神祖のエルフが作った新種と下等種がいる。


「そこまで!!

 勝者はサブーリン!!」


 そして、ヘルシングはそう宣言しやがった。


「キサマァ!!」

「貴女の負けですオイレンシュビーゲル様!

 ハンデを与えたのは貴女の判断です!そして、この下等種は貴女を完全に殺す事ができた!2度も!

 それは全て今まさに起こった事!故に貴女の負けなのです!!」


 唸って見せたが、怯みもしない。


「クソが!

 体を戻せ!」


 サブーリンは俺の頭を体にくっつけると体が元に戻る。


「この屈辱、二度と忘れん!!」


 竜体型に変わり、ツェペシュの娘を睨み付ける。


「俺は先に帰る!

 いまいましい!!いつか貴様を殺してやるからなぁ!!」


 途中で森にいた劣等種供を焼き殺しても腹の虫が収まらん。腹が立つ!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る