第73話 サンドイッチ2世

 目的地につき、私達は取り敢えず辺りをうろうろする事にした。

 馬を借り、3人でパカらっている。目的も無く、綺麗なところをうろうろ。

 昼頃になり、宿営地に戻るとメイドさんと執事さんがオーク達とバトっていた。


「おー!?ヤバいよ!!」

「クリスはツェペシュと一緒に。

 行ってくるわー」

「分かりました!」


 一足先に掛ける。オークは2体、メイド3人、執事2人が剣や杖で戦っている。脇にオークが1匹死んでおり、メイドさんの1人が負傷している。

 召使強くね?

 馬で駆けて背後より剣を頭に投げる。後頭部に突き刺さり一撃死。もう一本で駆け抜け様に首を落とす。


「おーし、だいじょーぶ?」

「サブーリン様!助かりました……」

「サブーリン様達は大丈夫でしたか!?」


 後から来たツェペシュ2世に怪我人を治癒させ、剣を回収。


「こっちは平気。

 コイツ等が調査対象?」

「そうだと思います。

 1匹、逃しました」

「おーどうすんかな?」


 敵の目的が分からない。人間じゃ無い分余計に分からない。


「多分、敵の狙いは食べ物です。

 食料と馬を狙っていました」

「ほー、何故食べ物を狙うんだろ?」


 オークは集団で暮らしており、狩猟として大型の生物を狩って行くらしい。また、メスのオークと言うものは居ないらしく、他種族のメスを襲い孕ませるので繁殖期は人間の居住区にやってきて女を攫って行く。

 クソデカちんぽ故に強姦された女性は場合によっては死ぬそうな。怖すぎる。一度も会った事ないけど。


「取り敢えず、君等はクリスティーナ連れて帰るよーに。

 クリスティーナも帰る様に。

 ツェペシュ2世はどっちでもいいよー」

「残る!」


 らしい。


「食料は全部置いて行ってー」

「は、はい!

 サブーリン様はどうなさるので?」

「残って取り敢えず見た分は討伐しまーす。

 ツェペシュもいるのでー明日までにまた来てくださーい」

「分かりました。

 ご武運を」


 そっちもねーと食料を置いた馬車は去って行く。クリスティーナが此方に手を振っていたので振り返しておいた。

 取り敢えず、お昼を作る事にする。パンと野菜にハムとかチーズがあるのでサンドイッチを作ろうと思う。


「ツェペシュサンドイッチ作ってよ」

「えぇ!?私が作るの?」

「だって、チーム帝国分遣隊の新人じゃん。新人は先輩の食事の準備だよー」

「わ、分かったよー」


 ツェペシュ2世にサンドイッチを作らせつつ、武器の準備。剣は後一振り使ってない。使った二振り共刃毀れ等の損傷無し。使える。丈夫な剣だ。

 月血斬血もあるし、アイギスもある。盾懐かしい。盾は基本防御であるが同時に攻撃の要でもある。

 強いぞー盾は。


「サブーリン殿!サンドイッチ出来ました!」


 見るとまー不器用なサンドイッチだった。


「神祖の吸血鬼ともあろう方がサンドイッチすら満足に作れないのか」


 食べれなくはないが、余りにも酷い。トマトなんか力ずくで切ってるので潰れてるし、ハムも肉がいっぱい食べたいと言う気持ちの表れか凄い太い。


「ご、ごめん」

「いーよいーよ。

 食べれるし」


 一口齧ると同時に木々が薙ぎ倒され、オークとオーガと思われる存在が現れた。


「おー、もう来た。

 さっきの今じゃん」


 オーガは何か知らない言語でオーク達に命令を下し、此方を睨みつけ、それから隣に立つツェペシュ2世を見ると目を見開く。

 それから何か逡巡し、より一層睨みを効かせる。


「何したー?」


 ツェペシュ2世を見るとツェペシュ2世は首を傾げた。


「何もしてないよー?」


 あー何もしてないではなく、自身の行動によって周りに何かを及ぼしたんだろうな。つまり、彼等は被害者だ。


「まー敵対するなら殺すけど」


 剣を抜いて肩に担ぐと、オーガが吠えた。

 それと同時に5頭のオークが走って来る。


「あーあ、どーすんのさ?」

「お任せをー」


 ツェペシュ2世がどこから等取り出したのかステッキを右手で回し、ビッとオーク達に向ける。すると、驚いた事にオーク達は一瞬で燃え上がる。


「はー?」

「神祖の吸血鬼は、こんなこともできるのです」

「サンドイッチは作れないけどねー」


 ドヤ顔を晒すので言ってやるとすぐに仏頂面に戻った。


「あれ、どーします?」


 あれとはオーガの事だろう。最早ブチギレまくっているのでどうする事も出来ない。対話も出来ないだろう。そもそもあいつ等の言語知らんし。

 まだ使ってない剣だけを残し、アイギスと共に前に出る。一般騎士の装備と同じ。尚性能って奴。

 右手で剣を回し、切先を突き付ける。


「オマエ、コロス!」


 あーしゃべったァァァって奴だ。我々人間の言語も喋れるのでつまり、かなり知能は高い。因みにゴブリンは基本喋らない。喋る奴もいるらしいが非常に稀らしい。

 体のデカさ、というか頭のデカさが知能の高さらしい。


「何で此処いるの?

 君等ここら辺の魔物じゃないって話じゃん?」

「シラジラシイ!!」


 オーガはそう言い捨てると同時にドンと地面を蹴って此方に跳躍し、側面から飛んできた何かによって腰から上が無くなった。


「はぁ?」

「へ?」


 何かはかなりデカい。空を飛び、凄まじい速さで上空を飛び去った。何だ?と空を見上げるとクソデカいワイバーンが飛んでいる。


「んん?ん?」


 普通に、デカい。遠近法狂ってる。

 このボス見たことあるわ。裏ボスだわ。


「あれー?」


 ワイバーンは上空を旋回し、此方を見ると一気に急降下。


「危ない!」


 ツェペシュ2世が叫び、私はこの世界か初めての冷や汗と興奮と最高潮のアドレナリンを感じる。ローリング避け出来るかしら?

 いや、やるしかない。

 いや、普通にデカい。肩にジープ乗ってんのかいとかそう言う次元じゃない。普通に背中に戦車乗せれるんじゃね?って感じ。

 たぶん自分の後ろ側に行かれると更に角度付いて引き起こし出来なくて死ぬだろう。そう言うわけで尻尾側に向かって全力で駆け出す。


「ちょっ!?」


 ここ最近猛ダッシュする機会増えた気がする。


「ウハハ!!」

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