第72話 チーム分遣隊
さて、未来の土下座案件より目の前のダンジョンだ。
「剣を4本も携えて如何しましたか?」
ホールの壁に掛かる地図に移動したらそう声を掛けられる。声の主はマイビスだ。
「剣を買ったのでーまーその試し斬りですねー」
因みに一本は火かき棒。
「成程、どちらに向かう予定ですか?」
どこ行くー?とクリスティーナに尋ねるとクリスティーナはサーシャの好きなところにどうぞとにっこり。
「特に決まっていない様でしたら、ドラマガ洞窟とその付近にあるマグルナ平原の調査を、如何でしょうか?」
特別依頼と書かれており、指名冒険者は誰でも良いのか書かれていない。
「これはー?」
「何でも、其処には存在する筈のないオーガやオークが居ると報告があがりまして。
なので、貴女様に見てきて欲しいと言う事です」
「成程ー偵察って訳ですかー」
「そうです。
出来ますか?」
まー明日の朝から出て昼頃に着いて、一泊して帰ってくるか。
距離だと往復で半日だし。
「えーまーいーですよ。
明日の朝出て一泊してから帰ってきますねー危なかったらその段階で帰りますしー」
「それで構いません。
手続きはこちらでやっておきますので、サブーリン様とクリスティーナ様の2名で申請しておきます」
そう言うと待ったが掛かる。掛けたのはツェペシュ2世。
「私もパーティーに入れてくれよ」
「ツェペシュ2世様は冒険者登録しておりません。登録なされますか?」
「それしないとダメなの?」
めんどくさそう。
「はい。
ギルドの制度ですので」
「じゃ、やって」
ツェペシュ2世はそう言ってのける。
身元の証明はするまでも無く、あとは実力だが多分Sは余裕で取れる能力あるだろうな。
「分かりました。
立ち合いの方ですが……」
私に視線が来る。
「Sランクでいーのでわー?」
「Sランクはそれ相応の功績を残さねばなれないのです」
貴女の様に、と言われる。
「じゃーAで良いのでわー?」
「そうですね。
ツェペシュ2世様はAランクからスタートとなります」
マイビスが深々ーとお辞儀をした。お辞儀をするのだマイビス。
「本来はどうやって決めるの?」
「実際の冒険者と立ち会って決めます」
「えー?私も立ち会いたい」
マイビスがコチラを見る。
「私と立ち会う事になりまーす」
今の所完全装備なので問題ない。
今日行く気満々だったし。
「あ、じゃあいーです」
私が両手に剣を持つとツェペシュ2世が直ぐに意見を引っ込めた。
「良いのですか?」
マイビスが驚いた顔をする。
「だって、サブーリン殿は本気出さないと相手出来ないもん。
人間なのが勿体無い!」
だから眷属なってよーと話を繋げるので嫌ですがと断っておく。
「いけず」
「じゃあ、また明日の朝、ギルド来るのでー
ツェペシュ2世の冒険者証登録よろしくでーす」
「はい、お待ちしております」
こうして明日の一泊二日のキャンプのために帰還。家に帰ると当然の様にツェペシュ2世もくっついてくる。
「自分の宿に帰ってドウゾ」
「無いので泊めてください」
「構いませんわよ!」
クリスティーナが頷いた。まぁ、クリスティーナの家だから良いんだけどさ。
家に帰り、クリスティーナが明日は泊まり掛けで冒険に出るわと執事に告げた。執事は畏まりましたと頭を下げて去って行く。その際此方を一瞥したので適当に手を挙げて答えておく。
まぁ、クリスティーナの安全は私が守ろう。
装備品は私はアイギスと剣4本に月血斬血と死の刃。アホみたいに嵩張る。
ちなみにクリスティーナは何色の服を着て行くかとそれに合う帽子や日傘を持って行くかと悩んでいた。
クリスティーナはもはや完全にピクニック気分だ。
それから翌日、クリスティーナとツェペシュ2世に執事1、メイド3、荷物持ち役の下男2と言う編成で完全にお貴族様のキャンプ然とした編成で冒険者ギルドに。
朝ごった返すギルド前に並ぶお貴族様(公爵家レベル)の馬車は実に実に人目を引く。
あの朝喧しいギルドが誰もいないかの様に静かなのだから。
「今日はとても静かですわ」
クリスティーナがなーぜなーぜ?と原因を理解していない顔で首を傾げ、ツェペシュ2世は基本殆ど人がいない時に来たのでそれが当たり前と言う顔だ。
「ギルドの前に逆らったら首刎ねても何ら問題レベルに権力牛耳ってる貴族の家紋が入ってる馬車が止まり、其処からクリスティーナが出て来たからだねー
私とは別の意味でベレッタ家は帝国の市民から恐れられてるってー話」
私達が行く先はモーセの様に割れて行く。
そして、受付まで行くとマイビスが待っており、ツェペシュ2世の冒険者証と私達への依頼を差し出す。
「それで、パーティー名は如何なさいますか?」
どうするか、と言われれば困る。
「えー?
クリス何かいい案あるー?」
「そうですわねー
歌に登場させるならかっこいいかつ、分かりやすい物で誰もがつけた事の無い名前が良いですわね」
これは長くなりそうだ。
「近衛竜騎士団帝国分遣隊で」
そう告げるとマイビスが分かりましたと頭を下げる。
我々のパーティー名は近衛竜騎士団帝国分遣隊となった。
それか、馬車に乗り込み3人で完全にピクニック。いや、キャンプか。
「相手はオーガ含むオーク、か」
「サブーリン殿はオーガと戦った事ありますか?」
「第二近衛騎士団長こと不死身のドラクロアしか無いでーす」
まぁ、殺せたから余裕っしょ。オーガはドラクロア団長よりデカいらしいけど。デカいのは意外に弱いんだ。
そして、誰かが言った。
血が出るから殺せる筈だ、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます