神祖の吸血鬼の感想
ヘルシングから話を聞き、直ぐにサブーリンと言う人間を探しに行くとこれまた直ぐに出会えた。私は何と運の良い吸血鬼だと惚れ惚れしていたら危うくサブーリン殿に殺されかけた。
彼女はヘルシングの言う様に人間の中でも飛び抜けて頭がおかしかった。
神祖の吸血鬼と言うのにお父様が仕事を前にした時以上のダルそうな態度で最早それが殺意だと気がつくのは切られてからと言うレベルまでに練り上がった殺意を纏って対峙する。
ボーケンシャギルドとか言う組織で事情を説明しろと言われて説明する際に手っ取り早く切ってもらったら、死の刃を用いて本当に殺そうとしてきた上に体を細切れにしたら痛みで発狂するのか?とか私を死なない実験動物か何かと思う様な発言をしてくる。
因みに、彼女のお嫁さんであるクリスティーナもサブーリン殿同様に頭が少しおかしい。助けを求めたら神祖の吸血鬼と戦うサブーリン殿の歌を考えだした。
是非とも聞いてみたいが、私がその狩られる方の吸血鬼なので、是非ともやめて欲しい。
それからギルドマスターと呼ばれた下等種は当てにならない。やはり育てた人間以外はゴミだ。
でも、サブーリン殿とクリスティーナは頭はおかしいが是非とも私の眷属にしたい。此処まで強い下等種は見た事ないし、歌の上手い下等種も初めてだ。この2人をセットにしておけば私はずっとサブーリンの歌を生で聞けるのだから。
「と、言うわけで2人とも私の眷属になりなよ」
諸々を済ませてサブーリン殿の家に戻り本題に入る。
「普通に嫌ですがー?」
「えー!?何で!?
サブーリン殿やクリスティーナは下等種でしょ!?欲しくないの?永遠の命とか若さとか」
眷属になると主人が死ぬまで眷属も生きている。
下等種はその条件を聞くと殆どの者が二つ返事で頷くのに。
「別に、永遠の命とか興味ありませんしー?」
「私も別に興味ありませんわね」
サブーリン殿は椅子の後ろ足二つでバランスを取り始め、クリスティーナは手帳に何やら歌詞のフレーズを書き出した。
「何でぇ?」
「何でぇ?と言われましてもー」
「君達下等種は皆欲深く、不死に興味があり我々の様な神祖の者達と同列とは言わないが近しい存在に成れる事を渇望しているとお父様やヘルシングが言っていたのに」
「どんだけ偏った思想の連中としか付き合いなんですかねぇ、吸血鬼の皆さんは」
サブーリン殿が呆れた様な顔で首を振った。
なんと、驚いた事だ。
「あ、もしかして他の魔族に呪いでも掛けられてますか?
その強さの引き換えに」
解呪を掛けるが反応が無かった。クリスティーナもだ。そして、何故か私の目にはサブーリン殿が投げ付けたフォークが突き刺さっている。
「あのー何故、今フォークを?」
「そりゃーあーたが、いきなり何か魔法使ったからですねー」
「解呪の奇跡ですよ」
フォークを引っこ抜くと目玉が付いてきたのでそれを食べる。視界は直ぐに復帰。
「あら、吸血鬼の方も奇蹟を扱えるのですね」
クリスティーナが驚いた顔をして私を見た。
「え?うんそうだよ。
何なら教えてあげようか?」
「私別に神をそこまで信じていませんが……」
クリスティーナが良くわからない事を言い出す。
「神?奇蹟は別に宗教関係ないよ?
強いて言うなら私達が神みたいな物だけど」
言うとサブーリン殿が頭おかしいのか?と言う顔で首を振っていた。
あー、そうか。
「君達下等種だと神は超常の存在として捉えてるんだっけ?
私達の指す神ってのは、口伝やそれを纏めた物にのみしか存在しない先祖の事を指すんだよね。
神祖のって言うのは文字が出来る以前からしっかりと種族として残っていたって言う意味だね。
だから神祖の吸血鬼とか神祖のエルフ、君達はヒイエルフだったかハイエルフだったかって言ってるね。
因みに、君達下等種が差別してるブラックエルフは神祖のエルフがあらゆる環境に適応できる様に自分達を作り替えたエルフだから実のところ神祖に最も近い存在なんだよ」
面白いよねー
ホワイトエルフはその失敗作だ。しかし、下等種達には黒より白の方が受け入れやすかったのかホワイトエルフの必死の情報操作で今やブラックエルフは悪の手先のように嫌われてるし、ブラックエルフも自身の生まれを知らずに生きている。
「え、なにそれ」
「ブラックエルフとホワイトエルフの話だよ?
お父様の所にいる神祖のエルフ、シュタイン博士に聞いたんだよ。彼女も肌は黒いよ?
何か良くわからないんだけど、黒い肌の神祖のエルフのランサ?ランセ?兎に角卵みたいなものと白い肌の神祖のエルフのランサとか色々使って実験した結果偶々うまく行ったのが黒い肌の卵みたいなものだったらしいで、実験に成功して色々あってブラックエルフが産まれたんだよ。
ま、そんな事よりクリスティーナは奇蹟覚えたい?覚えたいなら普通に教えれるよ?」
クリスティーナを見ると是非と目を輝かせていた。
「じゃあ、私の知ってる事全て教えてあげるね!」
取り敢えず、暫くは2人と一緒にいれるな!
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