第69話 伝説の盾と新たな依頼。
数日程家でゴロゴロイチャイチャしていたら当たり前の様に皇帝が遊びに来た。はーい。コイツも暇人。
「ほれ、アイギスじゃ。
探すのに時間かかった」
「どーもー」
アイギスの盾、ゲームではどんな攻撃でも100%カットしてくれる。攻略にしろ対人にしろ、特に理由が無ければアイギス持っとけと言われる程には優秀な盾だ。
欠点を探すなら、エンチャントが出来ないのと入手難易度がアホほど高い事だろう。
エンチャントに関してはぶっちゃけ全てのカットが100なので盾殴りで毒や火、魔術と言った属性付与が出来ない。もちろん、そんなマゾプレイは一部のネタ動画投稿者くらいしかしてなかった。
入手難易度は同じデータで偶数回目の周回プレイでラスボス一歩手前の脇道を進むと現れるラスボスよりも強いボスに一回勝負で勝たなければならない。
懐かしい。滅茶苦茶頑張ったもんな。6周目で入手した時は脳汁ヤバかったなー
「何じゃ、そんなに嬉しいのか?」
「ええ?まぁーそーですねー」
懐かしい気分だ。
「それと、貴様は大丈夫だろうが近頃何やら血を吸われる事件が多発しとる。吸血鬼だと言われとるから気を付けろ」
吸血鬼、前に一回やって来たな。名前忘れたけど、滅茶苦茶偉そうな美人さん。
「吸血鬼が犯人なら吸血鬼に文句を言えば良いのでは?」
「あー、神祖共は所謂劣等種と呼ばれる通常の吸血鬼には全く興味を持たん。ワシが貴様等凡種を相手にするのと一緒だ」
「なるほどー
じゃあ、何年か前に山羊頭の悪魔を殺して際に神祖の吸血鬼が来たのはすごい事なんですねー」
「そんな事あったんか!?
そりゃ、まぁ、確かにお前の勝利は偉業ともいえるからなぁ。誰が来た?」
名前なんか覚えてねーよ。
「えー?黒髪でー何か女の人でーツペシ様の使いとかなんとか言ってましたー」
「ヘルシングか?」
あ、そうだ。褐色でも眼鏡もかけてない方のヘルシング。
「そうそう。そうですねー
ヘルシングさんですねー」
おふざけが過ぎたので一命を賭して殺そうとしたんだった。
「吸血鬼は強いイメージありますが、どうなんですかねー?」
「山羊頭のに比べれば弱いぞ。
神祖は死なぬが、吸血鬼は普通に死ぬ。首を刎ねたり心臓を潰したりすればな」
「はー、了解ですー
会って襲われたら殺しますねー」
「うむ。
それじゃあ、ワシはそろそろ帰る。今日は大事な会議があったが、もう終わったろう」
「はぁ?」
じゃあなと皇帝は帰って行った。何だあいつ。大丈夫かこの国?
「そう言うわけだからー
クリスティーナは外出する時は、私と一緒ねー」
「分かりましたわ。
しかし、怖いですわね」
吸血鬼はニンニクと十字架が弱いと聞きましたわ、とどこで聞いたのかそんな事を言い出した。こっちの世界でも効くわけ?効かないわなぁ。
「何それー?
兎に角、変な事せずに逃げるよーに。私が相手するからダメだよー?」
そんな事を言っても翌日から料理にはニンニクが毎回出る様になった。
「まーいーんだけどねー」
2、3日家に篭っているとサボってないで働けと言う黄色い紙の手紙が投函された。
「えー冒険者飽きたんだけどー」
仕方ないのでクリスティーナには家から出ない様にと厳命してからギルドに向かう。ギルドに入ると相変わらず閑散としている。酔っ払いすらいない。
依頼板を見ると普通に殆ど残ってる。
「へーこんな依頼あるのかー」
依頼を見ながらそれをメモ。
暫くそんな事をしているとギルドマスターがやって来た。
「どーしましたー?」
「吸血鬼の噂をご存知で?」
「あー何か色々襲われてるらしーですねー」
皇帝は討伐する気は無い。
「冒険者には特別依頼が課せられます」
「と、言うと?」
「ギルド側が指定した人物に依頼を出して遂行して貰うと言う物です」
「はー」
「貴女はこの前の件でSランクに昇格しました。冒険者証を」
差し出されるのは丈夫そうな板から装飾華美な板にチェンジした証明証だ。
「はー、成程。
それで私にその吸血鬼退治を手伝えと」
「はい。
他のAランク以上の他の冒険者と共に吸血鬼を討伐して下さい」
「普通に面倒臭いので嫌なのですがー?」
まだ森に行って方が良い。
「特別依頼は拒否権はありません」
「えー?」
コイツ、自分が言っとる意味を理解しとるんかな?
一国の首都に於いて連続殺人が起こってるから他国のたまたま居合わせた近衛騎士団長にその討伐を頼むとか、治安ガバガバですと言っとるようなものだぞ。
そんなので叛乱とか制圧とか起こされないのかね?まぁ、良いか。うちの国じゃ無い
しかし、どこにいるとも知らん奴を探せとはまた適当過ぎる依頼だ。
「取り敢えず前金に金貨10枚。
成功したらプラス40枚で真剣にやりまーす」
払える?と言う笑みを浮かべるとギルドマスターはひくついた笑みを浮かべて、ドンと私の前に金貨の入っているだろう皮袋をおいた。試しに開けてみると、中には15枚入っている。
「前金15で、後金35です。
必ず見つけて討伐して下さい」
「りょーかい」
皮袋を受け取ってそのまま情報屋に。
「やっほー
君より優秀な情報屋の情報か吸血鬼の最新の情報教えてー」
皮袋を情報屋の前に投げる。
情報屋は飲んでいたジャッキを下ろし、中から5枚抜き取るとアイシャと反対側の隅にて水晶玉を撫でくりまわしている魔族に声を掛けた。
アイシャというらしい魔族はマイビスと同じ種族だ。
「貴女の探す者はこの水晶が指し示す場所に居ます……」
水晶を覗くと普通にウチの嫁さんが歌っていた。
「クリスティーナが見えるが?」
「其の方と共にいるのでしょう」
「なんでぇー?」
取り敢えず帰って来た皮袋をアイシャに投げ渡しながら家にダッシュ。久しぶりの本気ダッシュ。
家に辿り着き、扉を蹴破りながら抜剣。
「クリス!!」
「はぁーい。中庭でしてよ!」
元気そうな声が聞こえた。中庭に走ると、見たことの無い少女がクリスティーナの向かいに座って紅茶をシバいている。
「おーい、お前最近噂の吸血鬼だろぉ?」
クリスティーナの腕を引いて私の後ろに回す。吸血鬼は嬉しそうな顔をして立ち上がった。
「初めましてサブーリン殿!
私はヴラディスラウス・ユウ・ツェペシュ2世です!」
聞いた事ある名前だ。
「ツェペシュって、あの?」
「はい!
私の父は神祖の吸血鬼を取り纏め、魔王軍だと辺境伯を与えられています!」
魔王の側近、ヴラド公爵の娘らしい。
「あのー……つかぬ事を伺いますがぁー何故、ウチに?」
「ヘルシングの話を聞いて貴女に会ってみたいと思いまして!
近くに放った山羊頭の悪魔も気が付いたら狩られていたので、貴女を探していたのです!
会えて光栄です!」
どーすんのさ、これ?
クリスティーナを見るとニコニコしていた。あらー可愛らしいねー
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