第64話 森のクマさんの方がまだマシ
さてはて、ドブ攫いを終えましたと言う報告をしに行くとギルドの受付が困った顔をしていた。
「あの、依頼を受領していないので、えっと、本日の依頼は無効となります」
「あ、これ剥がすだけじゃ駄目なのねー」
「本当ですの?
まぁ、そんな事もありますわ」
残念ですわねとクリスティーナが肩をすくめた。まぁ、クリスティーナは今日ほぼパパティーナと共に居たからな。
私的にも別に金に困ってない。
「じゃ、帰ろっかー」
スコップとバケツを担いで帰還。
翌日はクリスティーナが仕事をしたから休みましょうと言うので、クリスティーナはおやすみ。私は冒険者ギルドに向かう。
もう夜明けでもないので閑散としている。
「お、来たぞ」
中に入るとそんな声が聞こえる。声のした方を見ると爺さんや筋骨隆々、クソデカおっぱいに犬タイプの獣人たちが座っていた。
全員やる気満々で此方を見ていたが、一瞥してから依頼掲示板に。案の定まだゴートデーモンの依頼は残ってる。
参加資格はBランク以上。場所は変わらずインドゥーラ。此処行ってみるかなぁ?
今日はしっかり月血斬血をしっかり持って来た。インドゥーラは馬でなら2時間ほど。うむうむ。
ギルドホールから外に出ると連中もついて来た。そのまま2時間付き纏われつつインドゥーラに辿り着く。
「ここがインドゥーラか」
脇に冒険者らしい人だかりが私を見ている。
「あの、此処は今、ゴートデーモンが出てるので入らない方が良いですよ」
「あー、大丈夫大丈夫。
危なくなったらすぐ帰るから」
馬繋ぎに馬を繋いで水筒と軽食、双刃刀を持って森に。全員付いてくる。
暫く歩くと、雰囲気は殿下直轄領に近くなってきた。
「直轄領よりは明るいなー」
取り敢えず、見回すとリンゴの木があった。リンゴやん。近付くと、ガサリと何かが落ちてくる。クソでかい蜘蛛だった。
「うわー、キッモ」
死の刃を投擲すると即死。キモー、ギーって感じ。
死の刃を回収してリンゴの木を見る。近付くとなかなか高いな。しかも、リンゴデカくね?スイカくらいデカい。
木に登るのはちょっと面倒くさい。ダガーを投げ付けとリンゴをゲット。
「おーでっけぇー」
双刃刀で切り分けて齧ってみる。普通に酸っぱい。
「うえーこれ、まだ酸っぱいなぁ!?」
まぁ、青リンゴだし。まだ熟れてないのだな。
「まーまた今度クリスティーナ連れてくるかな」
更に奥に進む。奥に進むと周りを赤い帽子を被った魔物に囲まれる。
「おーなんつったっけ?
ちょっと強い魔物達」
普通に弓矢射掛けてくるが、弓矢はそうやって使うもんじゃない。何百人が固まって一斉に射つんだ。和弓の様に最早狙撃銃と言うか対物ライフルクラスの弓ならまだ分かるが、冒険者が使ってる様な、所謂ロングボウは狙って射つものではない。
故に簡単に避けられる。故に叩き落とせる。
「雑魚よな」
笑っていると剣や槍で武装したゴブリンやサテュロスが現れる。
「おー、雑魚が逃げずに立ち向かうかー」
故に雑魚。そう笑うと相手は激昂。おーおー簡単に手の上に乗る。
「なんか怒ってて笑う。
ザコい奴ほど怒るんだよなー」
「手を貸すかね?」
包囲の中にはいた、ストーカーの皆さんの内、爺さんがそんな事を尋ねてくる。
「いや、目を瞑って相手をしても勝てるのでー」
目隠しを取り出して付ける。一対多。本気の相手。中々に修行になる。
得物は双刃刀。
「いやはや、雑魚にこんなチート武器を使用してしまいただの虐殺になってしまうな。弱いものイジメをするつもりは無いんだ。自分より弱いモノを圧倒的な力で蹴散らして満足する、つまりは子供が虫を捕まえて足を千切るみたいな行為になってしまうのは、ひとえに私が準備をサボった事が原因。
気を悪くしないで欲しい」
レッドキャップ共にも聞こえるように声を張り上げる。最高に煽った所で全方位からの同時突撃。大人数になると数が多い方の攻撃は雑になる。
槍を繰り出されるが、双刃刀でその穂先を全て切り落とす。気配が強過ぎて見えてないはずなのにはっきりとその輪郭まで分かる。
つまらん奴等だ。
「ふん」
そのまま二回転目で周りにいる雑魚の腕と手首を切り落としてやった。
槍を繰り出しているので必然的に右手は肘先、左手は手首辺りを綺麗にすっぱりやれる。
「さぁ、次は剣だ」
こいよ、と敢えてストーカー集団の方を向き、剣を持ってる奴らに背を向ける。
「後ろだ!?」
「ああ、知ってるとも。
この程度の誘いになるような連中だ」
肩を竦めて、この程度の些細になった雑魚共の首を刎ねてやる。
レッドキャップは全滅した。
「ふむ、やはり何故コイツ等が強いと言われているのか理解出来ないですねー」
目隠しを取ろうとしたら直上から凄まじい殺気が降って来たので3歩前に。ドズンと凄い衝撃と小石が飛んできた背中や後頭部に当たる。
「いてて、何落ちて来たぁ?」
振り返って、目隠しを外すとゴートデーモンだった。
「おー、ゴートデーモン。山羊頭の悪魔だー」
「戦いを拝見していました。
どうぞ私と手合わせを。貴女の武勇は知っています。最初から全力で」
「はー?では」
ダガーを投擲。その後すぐに死の刃。
「その攻撃を知っていまぁ?」
「まぁ?」
ダガーを意気揚々と杖で弾き、隠して投げた死の刃には突き刺さる。腕だったけど、普通に身体中の穴から血が噴き出て、ゴートデーモンは倒れた。
「不意打ちに、気付かなかないとは……」
「はーい、自身の慢心を呪ってくださーい」
死の刃を回収。
これでクリスティーナも安心してこの森に来れるな。
「よし、帰ろう」
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