第60話 新婚旅行する近衛騎士団長
冒険者になるに当たって、事前知識はない。ほぼ無い。
「と、言うわけで我等が愛弟子3号でありサムライちゃんことお江ちゃん」
フルネームは五月雨江とかいて、サミダレ・ゴウと言うそうな。
前世にそんな名前の大河ドラマやってたよね?
「何でしょう!」
「冒険者って何すんの?」
「冒険者登録すると良いです!」
目隠しをしたお江ちゃんが私とは若干違う位置を見ながら答える。
何処に向かって話してんだろ?
「私はこっちよー?」
「そっちでしたか師匠!」
行き過ぎ。大雑把だな。
「ここだって」
木剣で頭を軽くて叩く。
「むぅ?難しいですな」
「サムライネーチャンはセンスねーな!」
ユーリが笑っていた。
「センスは無いなー
修行がんばれー」
「はい!」
「取り敢えず、冒険者は何が出来るの?」
「さぁ?
依頼を受けて、魔物を狩り、報酬を受け取る。あとは帝国に行くなら帝国の法律を守れば良いかと」
帝国に法律あんの?
「なるほどねー
じゃあ、私はエリザベートと一緒に行ってくるからお江ちゃんは他の2人と一緒にマスターしといてー
2人もしっかりと目隠しでまー私に勝つのは無理だから私の攻撃避けれるようになれれば良いなーって感じでー」
じゃーがんばーと3人に指示を出し荷物を支度しているクリスティーナを見る。荷物はカバン一つで良いという考えは無いらしくドレスを何着も詰めようとしていた。
「そこの可愛らしい尻で鞄をお閉めになっているお嬢さまぁー
荷物は1人カバン1つでお願いしまーす。何十台も馬車を連れて行くつもりはありませーん」
カバンにヒップドロップを決めていたので抱き上げて、ベッド脇に降ろす。
「でも、半年以上の旅行でしてよ?」
「仕事でしてよ?」
「まぁ、実家が近いから服はそちらで準備しましょう」
「舞踏会とかには出ないのでそこ等辺は理解して下さいねー?」
「あら。冒険者はお父様の開く舞踏会によく出てましたわ」
それは貴族と仲良くなってパトロンになりたいからですわー
「どっちにしろ舞踏会には行かないよー?
仕事で行ってるだけなのでーはい」
「なら、もし舞踏会に行くと言う時は置いて来たお古で我慢ですわね」
帝国の貴族って言うか、貴族ってスゲえ。そう思った。
それから着替えと日用品を旅行カバンに二つに詰めて準備が完了。2つになったのはクリスティーナの荷物が二つにしないと入らなかったからだ。
「じゃ、行ってくるねー」
馬に跨り、月血斬血や荷物を再度確かめる。
クリスティーナも馬に跨って準備完了といった感じだ。商業ルートが確立したので街道が整備され、そこを行けば大体2週間位で着く。
馬でパッパカパッカ。ある程度まで行くと後方から早馬が飛んで来た。
「サブーリン団長!」
見るとペンドラゴン団長だった。
「あー団長。どーしましたー?」
「せっかく帝国に行くんだから冒険者以外でも貴族や商人、その他陛下と王国に有益に働きそうな人達のデータを上げて来て欲しい。
君が直々に連れて来ても良いよ」
「はーまぁ、探してみまーす」
答えると団長がにっこり笑って背後に乗せていた袋を私の馬の背に置く。
「当面の軍資金だ。
あと、君の動向を監視する密偵も付けさせる。何かあったら金か黄色の布を頭に巻いて暫く居てくれ。
こちらからコンタクトしに行くから。サブーリン夫人も覚えておいて下さい」
「わかりましたわ!
黄色い帽子があるので、何かあったらそれを被りますわね」
団長はそれだけ言うとそれじゃあと帰って行った。
「あの方、何時も何かしてますね」
「諜報部担ってるからねー
団長はいい人だよー陛下の事大好きだし」
そんな話をしながら出発。移動間は特に何かとかしたするような事項は無かった。
前回の帝国に来た際最初に議員と遭遇した街にたどり着く。いつ見てもデケェ。
「冒険者ギルド探して、冒険者にならないとねー」
「それなら帝都でやりましょう!
活動拠点は帝都にある私の別宅で!
それより、私はお風呂に入りたいです。水浴びと拭くだけでは」
クリスティーナは洗濯もしないとと体の臭いを嗅ぎながら顔を顰める。
「じゃー陛下が泊まった宿行こうか。
この町で1番のホテルだし」
ホテルに行くと、何時かの支配人とばったり出会した。
「お、王国の近衛騎士!?」
「あーどーもーその節はー
部屋一つお願いしますー3日ほど」
「ほ、本日はどの様なご用件で?」
「部屋無いのでー?」
支配人は手を揉み揉みしながら尋ねるので無視。
「うちの嫁さん、疲れてるのでー早く返答お願いできますかー?」
「スイートルームに案内致します」
支配人は直々に案内してくれた。
それからクリスティーナが一緒に風呂に入ろうと言うので風呂に入り、服をクリーニングに。
風呂から上がり食事を部屋に運ばせた。
クリスティーナ曰く新婚旅行みたいとのことで好きあらばイチャイチャしたり、その更に先にいったりする。
3日はあっという間に経ったが、その間ホテルから一歩も出なかった。
金はたんまりあったので幾らだ?と聞くと代金は結構ですと冷や汗と恐怖で固まった支配人に言われた。
支配人の後ろには多分このホテルの上役とか全員揃っているのだろう。
それから、しっかりと毛並みを手入れされた私達の馬がやって来た。蹄鉄すらも交換されている。
至れり尽くせりで、また今後ともお贔屓をと深々と頭を下げられる。
「タダで泊まれてラッキーでしたわね」
「ねー」
帝都までは更に1週間だ。旅はまだまだ始まってばかりである。
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