第52話 斯くして姉妹は仲良くなった。

 話し合いの場は砦の私の部屋でやることになった。何でぇ?

 私の部屋には第一近衛騎士団の騎士達がやって来てあらゆる調査していた。盗聴や盗撮の魔術や道具などの痕跡探し、隠し通路とか。もちろん全部無かった。

 ついでに部屋の掃除もしてくれた。


「めっちゃキレー」


 部屋の綺麗さに感心していると脇で見ていたユーリ達が首を振っていた。


「サーシャはそもそも掃除するまでも無く部屋綺麗だったけどな」


 ユーリの部屋は何か物置みたいになっている。よく分からんおもちゃとか武器とかいっぱいで男の子の部屋って感じだ。あと、何かエロ本みたいな奴と私の部屋に忘れていったエリザベートのエロい下着が隠してあった。無くしたと思ってエリザベートがしょんぼりしていたのだが、まぁ、見つかったから後でこっそり教えてやることにした。


「私の私物を抜けば剣や盾も無かったですし」


 エリザベートが誰の部屋かわからないと首を振っている。部屋にはエリザベートが置いた匂いの出る蝋燭とか香水とかぬいぐるみとか置かれているが、それはエリザベートが置いたものだ。

 女子ってこういうの好きよねーって感じの小物。


「師は奴隷よりも物が少ない」


 そう言うのは元奴隷のサルーン。


「サルーンの部屋は森みたいになってるけどな」


 植物置きまくってる。観葉植物とか鉢植え凄い。毎日しっかり水やって世話してるらしい。私には無理。

 居ない時は誰かに頼んでやってもらってるそうな。


「ミュルッケン団長の部屋もサルーンの部屋みたいになってんのかな?」

「白エルフは我々とは違い精霊そのものを信仰しているので、草木を育てることはないな。

 我々は草木を通して精霊を信仰しているので、私の様に身近に植物を置く事が多い」


 なーほーね。


「へーエルフは肌の色の違い以外にも宗教感も違うのか」

「ああ。

 お前達普人種は肌の色も同じなのに宗教が違う。肌の色が違うだけで戦争をしている。まぁ、そこに関しては我々も被差別対象になっているが」


 サルーンが嘆かわしいと首を左右に振った。

 まぁ、確かに。


「私の部屋にもお花を飾ろうかしら?」


 エリザベートがサルーンの部屋を見ながら首を傾げる。エリザベートの部屋はお嬢様の部屋みたいな部屋だ。天蓋付きベッドになんかよく分からない高そうな水差しとかある。

 身の回りの世話はメイドがやってる。凄いお嬢様なのだ。


「そろそろ陛下が御着きになります」

「りょーかーい。

 じゃー出迎えに行ってくるから皆部屋でじっとしててなー?」


 要塞の外に出ると、遠くから騎馬の一軍がやって来ているのが見える。


「姉様がここに来るのは砦が完成した時以来だ」


 そんな事を言いながら殿下がやって来る。誰も連れていない。

 騎馬は第一近衛騎士団だ。ペンドラゴン団長が要塞の前まで来ると馬から降りて扉を開ける。

 そして、私の前に来た。


「帰りは君の団が護衛を頼むよ」

「りょーかいでーす。

 お任せをー」


 私は護衛を引き受け、陛下と殿下は私の部屋に。私は部屋の隅で椅子に座って2人の話し合いを眺めていた。

 結果から言えば陛下は殿下の前でも椅子に座るし、士官学校は設立され何故か私も教官の1人として教壇に立つことになった。

 何でぇ?

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