第42話 無敵の近衛騎士団
国1番の騎士と言う称号に近衛騎士団長になり、一千人規模の部下を従え、美人な奥さんを手に入れた。これだけ聞けば順風満帆な人生だろう。
「問題はぁ!!アンタが女だって所だよぉ!!!」
その指摘をしたのは他でも無い。我が母親だ。
流石に実家に顔を出さずに数年過ごして居たら母親が我が部隊にやって来たのだ。その怒鳴り声は思わず外で訓練をしていた部隊が一時中断して、控えが飛び込んでくるほどだった。
「何でもないから戻ってー」
「なんでもないことなんか無いよ!
女だてらに腕っぷしばかり強くたってしょうがないじゃない!
アンタの仕事はお婿さんを連れて来て私に孫を抱かせる事だよ!」
「そーゆーのはさー
まだ早いってー」
「早いわけあるかい!
アンタ今年で何歳だい!」
何歳だ?ひーふーと指を折っていると母親がズバンとテーブルをぶっ叩く。
「21だよ!!」
21だった。
「嫁き遅れてんだよ!!あんたは!!」
「嫁さんいまーす」
「そうですわお母様!」
クリスティーナを指差すとクリスティーナも前に出る。母親はクリスティーナの手を取ってにっこり笑う。私の時とは打って変わって猫撫で声。
「別に貴女がダメってわけじゃないのよ?
寧ろ、こんなとーへんぼくな子に嫁いでくれて本当にありがとうございます。でも、それとこれとは、別!」
キッと母親は私を睨む。何だこの母親。ヤクでもやってんのか?
「んーじゃーユーリがもう少ししたらお婿にするから良いでしょー?」
めんどくさいから脇で珍しく大人しくしてるユーリを指差すとユーリは巻き込むなと言う顔で私を睨む。
「アンタねぇ!」
「失礼します!」
扉をノックされて返事をする前に開かれる。フル武装の兵士は伝令だ。助かった。
「報告します!
セルベリア協商国が我が国に宣戦布告!我が国の穀物地帯への侵攻を画策中!陛下は近衛竜騎士団に国境沿いに展開せよと命令しました!」
「よーし!出陣!
それじゃあ母さんまた今度!父さんにもよろしく言っておいてね!」
出陣と一言声をかければ我が騎士団の第一陣は30分で外征する用意が出来る。そうなる様訓練した。
出陣の命令に合わせて出発する旨を知らせる伝令が街を走り、非番等で街にいる騎士達に帰ってくる様命令を出す。
私も部屋を飛び出て身支度をしてから馬に飛び乗る。
「クリスティーナは二陣以降で合流!
サルーンとユーリは母さんを街の宿に送ったのちに二陣と合流!」
馬上で指図をしてから母親にまた今度と挨拶をしてから後は号令だけを待っている第一陣の前に。第一陣は参謀連中含む団本部と即応待機してる一個銃兵中隊に一個砲兵小隊と一個騎馬小隊。
「セルベリアの商人連合が戦争を仕掛けて来た!
我々は国境沿いに布陣をし、行商人共から通行税を巻き上げる事とする!
出陣!」
ラッパ手がラッパを吹き鳴らし、鼓笛隊が歩調の為のドラムを叩き出す。それにあわせて前進を開始した。
その三週間後には第一陣たる私達が国境沿い到着する。途中で第二陣も合流して来たので残るは兵站基盤と砲兵達だ。
「じゃーいつも通りに布陣。
国民軍が着くまで待機」
それだけ下達して丘の上に展開している本陣のテントに。
「きょーしょー国ってー強いんですかねぇ?」
地図を広げて敵の侵攻ルートを考えている参謀陣に尋ねる。
「雑魚ですな」
「金だけはあるので立派な装備や馬を揃えていますが商家の集まりかつ、商人なので連携もせず戦争が長引くと勝手に瓦解します」
「取るに足らない相手です」
全員が笑っていた。協商国すげー舐められてて笑う。何でそんな連中が喧嘩売ってきたんだろ?なんかあるよなー
「じゃあ、ガッチガチで対策取って1人残らず皆殺しにするレベルの作戦考えておいてー下さーい。
戦場では意気地のない指揮官が軍を弱くしまーす。戦争では楽観主義が軍を弱くしまーす。
敵が来るまで有りとあらゆる事を想定しておいて下さーい。
もし貴方達の想定外のこと起きたら私が貴方達を死ぬ程恐ろしい訓練しまーす」
睨み付けると全員が姿勢を正す。
「戦争で百戦百勝する武将とは何ぞや?」
参謀達はお互いの顔を見合わせ、代表として参謀長が答えた。
「敵を知り、我を知る将です」
「ならばそうせよ。
虎はね、兎を狩るにも全力を尽くすと申してね。相手はウサギでもドラゴンと思って戦うんだよ。
そもそも、敵は恐れ多くも女王陛下に喧嘩を売った。幸いにも我が部隊が一番乗りだ。他の近衛騎士団に一番槍を奪われるわけにはいかん。
密偵の情報を元に戦術を考えなさい。
煮詰まったら外に出て地形を見て見方を変えなさい」
何で商人共は喧嘩を仕掛けて来たのだろうか?
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