第38話 ロリとアラサーとティーンと

 帝国の首都に突入する。私は陛下の馬車で揺られているがケツが痛い。


「馬車の旅はどうだ?」

「二度とごめんですねぇ〜

 お尻がさらに割れそうですー」

「そうか」


 私の回答に陛下はフッと笑う。


「いやー月血斬血貰えるといーですねー」

「そうだな。

 ダメだった場合はどうする?」


 副案はないのである。


「んー……また考えますぅー」

「分かった」


 陛下は困ったように笑うと窓の外を見る。

 帝国の王、皇帝の居城が見えて来た。凄い数の衛兵が並び出迎えてくれる。おーケンタウロスが居る。お出迎えはケンタウロスの騎兵部隊。

 亜人種と呼ばれる連中だ。獣人も亜人だしエルフも亜人ただし、その地位身分は国や時代によって違う。


「ケンタウロス族は珍しいな」

「ですねー

 私も初めて見ました」

「勝てるか?」


 ゲーム時代は最序盤に出て来る素人キラー用のボス。小ボス。中盤どころか序盤の最後の方になると雑魚敵と同じ顔して出て来る。

 まぁ、広大なステージでボス戦になるので普通に厄介だが雑魚敵として出て来る場合は狭い場所とかにも出て来るので余裕で勝てる。


「場所によりけりですねー」


 街中なら余裕で勝てる。


「広い草原とかはめっちゃ苦戦しそうですねー

 街中なら余裕ですねー」

「負ける事は考えないのか?」


 驚いた顔をされた。


「えぇ?

 普通に負けるビジョンが無いですけどぉ……

 多分、ミュルッケン団長とかそもそも勝てますか?って聞いた時点で鼻で笑われますねー」

「成程。

 頼もしいものだ、我が国の近衛騎士団は」


 陛下はそう笑うと終始余裕のある感じだった。

 城に着き、私が最初に降りる。スゲー数の衛兵が非常にピリピリとした空気を出して整列する姿は凄い迫力だ。

 あ、大臣っぽい奴の鼻から鼻が出てる。笑いそうになった。


「どうぞ陛下」


 陛下に手を差し出して馬車から降りる際の手助けをする。そして、陛下が降りると同時にラッパが鳴る。

 出迎えのそれだ。

 それから大臣っぽいおっさんがやって来て皇帝がお待ちしておりますと告げて案内。この大臣は宰相らしい。

 陛下の後には政治関連の御付きが付く。私もその人達のすぐ後に同行。めんどくさそうな話は嫌だが仕事だから仕方ない。

 それから謁見の間に着くと亜人というより魔人が座っていた。背は低いが肌は青く黒い角の生えた魔人のロリだった。


「よう来たステンノ女王!」


 ロリはピョンと椅子から飛び降りると広間に降りて用意されていた椅子に腰掛ける。それに倣って陛下も椅子に座った。

 そこからはお政治の話。帰って良い?

 あと5分遅かったら完全に寝落ちするぞと言うタイミングで不意に私の名前が出る。


「貴国が我が国に対して友好の証を見せるのであれば、貴国が保有する月血斬血が欲しいものですね」

「あの魔双刀を?何故?」

「そこに居るサブーリンが欲しがるので」


 全員の視線が集まった。


「サブーリン、貴様があのサブーリンか!

 ヤギ頭の悪魔を単騎で討ち取り15人勝ち抜きをした王国の英雄!」

「英雄かどうかは知りませんが、そのサブーリンでー御座います」


 立ち上がって一礼。


「成程、お前はなぜアレが欲しい」

「えー?

 カッコいいから、ですかネェ?」


 カッコええ武器は良い。


「なるほどな。

 だが、幾らお前程の者とは言えはいどーぞと与えるには些か惜しい。

 故に、我が国の志願者5名と戦いその戦いぶりを見て譲渡するかどうかを決めたいが、それでどうだ?」


 ロリ皇帝は陛下を見る。陛下はフムと顎を手に当てそれから私を見た。


「欲しければ自分の力を見せろとの事だ」

「異存はありません。

 陛下には無理を言い、私に宝箱の鍵を渡して下さいました。ならば後は私が鍵を差して開きましょう」


 頭を下げると陛下は良いと返答をした。

 それから時間と場所を整えるとかで詳しい日取りを決めることになった。

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