第37話 王国最強のボディーガード
夕方前には宿のある街に来た。街は先ほどの街とは比べ物にならないくらいデカかった。
「こっちが本命の街だったのか」
「ここ王都よりデカいな!!」
「確かに。
此処、警備だるいぞー」
帝国初心者たる私とユーリでキャッキャしながらホテルの前で近衛騎士に指示を出す。
「大砲は主要道路に向けてー
銃隊は道路に面して配備。出発までは三交代制ねーホテルの中は第一近衛にやって貰うからねー
近付く不審者は怒鳴っていいよー威嚇しても銃知らないからやっても良いけど一人でやらないようにーてか、一人で行動するの禁止ねー
銃を撃つ時も二人同時で撃っちゃダメねー
1人撃って避けられたら増援呼ぶ事ー相手は魔物と思って戦ってねー」
後は各部隊長で調整して報告!と告げて解散。第一近衛の先行班がホテルを捜索しているよでロビーのソファーに腰掛けると偉そうなおっさんが話しかけて来る。
「部屋を荒らす騎士をお止めください!」
「誰ー?」
「支配人です!」
支配人らしいおっさんが私の前に立つ。
「別に辞めても良いけどーもし万が一にでも暗殺者とか来たら陛下に危害ある無しに関わらず貴様を殺すぞ。
首を切り落とし、ホテルの前に掲げて我々は帝国と戦争をする。第一近衛は陛下を連れて王国に帰るが、我々は殿として帝国で暴れ回るぞ。
手始めにこのホテルには火を掛ける。
それから街に火を放って陛下が無事に城に着いたと言う連絡が来るまで帝国軍相手に暴れ回るぞ?」
それでも良ければ私が近衛竜騎士団団長の名を持って止めようと告げるとお好きにどうぞと答えられた。
なのでソファーに座ったママ。
部屋の準備も終えたので私は外に出る。すると護衛のペンドラゴン団長と馬車が見えた。時間通りだ。
馬車は私達の前で止まるので私はペンドラゴン団長に異常なしの報告をする。団長のは頷いてから馬車の扉を開くと待機していた鼓笛隊がプカーと笛を鳴らし周囲の騎士が敬礼。
同時に警戒度もマックスに。
「サブーリン、お前は帝国にいる間は常に共にいろ。部屋も共にしろ。
その間の部隊の指揮はペンドラゴンに預けよ」
「了解ですー」
脇に控えるローデリアを一瞥するとローデリアは深く頭を下げてこの場を去っていく。ペンドラゴン団長も私の隣に下がる。
「陛下を宜しく」
「我が命に代えても」
ペンドラゴン団長もローデリアと共に去っていき、私は陛下と共にホテルに。それから近衛騎士に案内されて部屋に向かう。
議員も支配人も近衛騎士に阻まれて同じフロアには入らない。
「何故、私がお前を連れて来たか言ってみろ」
部屋に入ると陛下は来ていた服を脇に投げ捨てながら聞いて来た。
「まずは銃と言う新兵器を改めて帝国に示威するため。
次に私と言う存在を使って帝国との交渉を有利に進める為。
最後に私がめっちゃ強いからですかねぇ?」
「そして、お前が女だからだ」
「なるほどぉー」
よく分からん。
「まー我が命に代えてもお守りするのでーご安心をー」
脇に差した火かき棒を撫でる。
「それはそうと褒美は何が良いか決まったか?
救国の英雄とまで持て囃されるお前に何も褒賞を与えないとなると流石の国民も騒がしくなる」
「あーそうでしたねー
ツキチザンチ?とか言う武器ほしーんですけどー大丈夫ですかねー?」
何だそれ?と言う顔をされたので鞄に入れてた世界の武器名鑑を取り出してそのページを開いて陛下に差し出す。
「ふむ。
双刃刀と言うのか。誰が持っている?」
陛下は持ち主を見てから私を見る。
月血斬血という名称の双刃刀は帝国の宝物庫にあるそうだ。どんな奴かと言えば、柄の両方に刀が伸びてるビーム薙刀だ。
モーションもゲルググれる。手首グルングルン。くるくる回って踊る様に敵を斬る。素の攻撃力は低いが一発当たるごとにツーヒットする換算なので出血や毒、睡眠といった属性ダメージ増し増しで戦える武器だった。
スタミナと攻撃速度を早める装備にして属性攻撃マンとかいたな。懐かしー
「良かろう。
交渉してみよう」
やったー
それから部屋に行き陛下の身の回りの世話をする。と言っても自分の事は自分でやると言って着替えから何から全て自分でやってしまった。まぁ、着替えをするので私は部屋から出るのだが。
うーむ、女王陛下とは思えないほどに優秀だ。ふと考えると同行するメイドはめちゃくちゃ少ない。
部屋の外に出るとメイド達が立っており私に深々と礼をする。
「陛下はお着替えになられる」
それだけ告げて扉の脇にある壁に背を預ける。メイド達は私の向かいにある壁際に立つだけだ。
しばらくすると陛下が扉を開けて出て来る。
「食事は部屋で」
ホテルは三泊したが、陛下は街に出る事はなくずっと仕事をしていた。王様ってのも大変だなぁと他人事で同じ部屋にてボーッとしていた。
護衛任務も楽だな。
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