第36話 治安悪過ぎ帝国旅行。

 帝国に入った訳だが、まぁ、治安が悪い。王国は王立軍があちこちに駐屯して訓練と称して魔物や盗賊を駆りまくっているが帝国は魔物や盗賊の討伐は地方貴族が冒険者に依頼を出すか村や町の自警団が頑張るので近くに村も街もないとこうして襲ってくるアホがいるのだ。


「捕らえた賊はどうしますか?」


 襲ってきた賊の内半数は射殺したが上手いこと生き残った連中は私の前に縛られて連れてこられた。


「んー?何で捕まえちゃうかなー?

 王立軍だと山賊ってどうしてたっけー?」


 ローズに聞く。


「基本全員犯罪者なので捕縛はしません。投降してきた者達はその場で処刑にしています」

「なーほーね。

 帝国は?」


 全員首を傾げた。


「なら、死刑」

「はい」


 哀れ生き残った盗賊は槍で突かれて道の脇に投げ捨てられる。

 そんな感じで出てくる賊や魔物をちぎっては投げ違っては投げをして居たら国境に一番近くのデカい街に到着した。

 3日掛かった。


「おーすげー」

「サーシャ!猫人間が居る!!」

「あれは獣人だよー私も見るのは2回目くらいー」


 昔戦争の時にチラッと見た。


「何だあれ!?」


 ユーリは初めて見る獣人やら魔族やらに大興奮していた。

 楽しそうだな、コイツは。


「王国の国王御一行ですね?」


 そこに貴族っぽそうな格好をした奴とガチガチに武装した小集団が我々の進行路上に現れる。


「警戒!」


 ローズが叫ぶとウチの騎士団はすぐに警戒体制。火縄を銃に付け、前と横の包囲を固める。


「わ、我々は皇帝陛下より案内を仰せつかった者です!

 敵対な意志はありません!」

「どうします?」


 ローズがこちらを見る。


「取り敢えず、陛下に報告。

 私は王国近衛竜騎士団団長!サーシャスカ・サブーリンだ!貴公の名を伺う!」

「貴女が武勇に名高いサブーリン団長ですか!

 私は帝国中央議会議員のアルベール・シリングです!皇帝陛下命により出迎えにまいりました!」

「シリング議員のみ案内してー」

「はい」


 ローズはシリング議員を連れて行く。残った武装集団、多分冒険者なのだろう連中はその場に突っ立っている。


「前進用意」


 脇にいた騎士に告げると騎士は前進用意と叫び鼓笛隊がドラムをタカタカタ打ち始める。そして、行進隊形を取りおえると私の方に準備完了と報告があがる。


「じゃあ、そのまま待機」


 暫くするとローズが戻って来た。


「次の街に帝国側が宿を用意しているそうです。

 次の町まで今日中に向かうそうです」

「了解。

 前進用ー意」


 ドラムが行進の為のリードを打ち始め、ラッパ達は構える。


「待ってくれ!俺達はどうすれば良い!?」


 今まさに出るという所で冒険者達がそんなことを言い出した。知らんがな。


「知るか。

 邪魔立てしなければ好きにしろ」


 前へと号令を掛けるとラッパ達は行進曲を吹き鳴らし、騎士団は前に進む。首を周囲に向けると屋根の上に何かがコソコソしていた。


「師匠」


 サルーンが馬を私の隣に付けると耳打ち。


「どったのー?」

「何者かが我々を付けてきています。

 如何しますか?」

「あー屋根の上とかに何かいるよなー

 まー一応ペンドラゴン団長に報告して任せましょー多分帝国側のスパイ的な奴等でしょーし」


 ローデリアに報告しに行く様告げて私は前進。前進前進また前進。

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