第34話 剣の名は。

 戦争を終えて帰ったら案の定サルーンの事で揉めたが、陛下がヨシと言っていてくれたので解決した。

 正直認められると思ってなかったから褒章もサルーンを認めろと言うものにしようかと思ってたのだが、あっさり行ったので困ってしまった。

 そもそも、サルーンの武器は偶々似通っていただけで、と言う線もある。まぁ、わからない事は素直に尋ねるのが一番。

 私はペンドラゴン団長を訪ねることにした。


「やぁ、サブーリン団長。

 珍しいね」

「どーもー

 まぁ、仕事上でしかあまり関わらないですしぃ」

「そうだね。

 それで、相談があるって話だったけど。どうしたのかな?」


 第一近衛騎士団の隊舎、そこの団長執務室にて会話をしている。お茶と言って美人なメガネの副官が紅茶を淹れてくれた。


「えーまー大した事じゃ、無いんですけどぉ」


 それから私がかつてのゲーム時代に愛用していた幾つかの武器について尋ねた。


「えっとですねぇ、名前とかは忘れちゃったんですけどぉ。

 刀って武器あるじゃ無いですかぁ?」

「あー極東の凄い細い曲刀だったっけ?」

「そーです。

 それの柄をくっつけたーみたいな武器、出来ればー魔剣とか聖剣とかそーゆー感じのすげー武器的な括りの奴知りませんー?」

「あー……陛下からの賜り物かい?」


 何かを察した様子のペンドラゴン団長は苦笑しながらメガネ副官を呼ぶ。


「伝説の武器一覧を」

「はい団長」


 メガネ副官は背後の書棚から何やら本を取り出してペンドラゴン団長に渡した。団長はそれを私の前に開いて見せた。


「そこから君が欲しい剣を探してご覧。

 世界各国の伝説の剣とその所有者が記載されている」

「はぇーそんな本あるんですねぇ」


 曲刀の項目を開いて捲って行く。このページだけ見ても完全にゲーム中にあった様々なユニーク武器とかが思い起こされる。

 あ、隕石の鉄から作った隕鉄刀とかあったなぁー


「お、サルーンの武器だ」


 サルーンの武器もちゃんと乗っていて所有者の項目にはサルーンの名前が記述されている。


「すげー」

「良ければ君にそれをあげるよ」

「いいんですかぁ?」

「うん。

 毎年情報を更新して出版されるから君も定期的に買ってはどうかな?近衛騎士団長になったんだし、ある程度の知識も必要になってくる筈だよ」


 なーほーね。


「確かにそうですねー

 ありがたく頂戴しますー」

「うん。僕も陛下と同じで君には大きく期待しているからね。

 それと、近々帝国に行くから陛下に同行する準備もよろしくね」

「あー……戦争しに行くんですかぁ?」


 尋ねると違う違うと笑われた。


「どちらかと言うと、帝国側から同盟を結ばないか?と言われたのさ。

 現状は帝国の冒険者ギルドや商人ギルドが貿易や魔物討伐等の行き来に関する条約しか決めていなくてね。

 正式に国家間で不可侵条約を結ばないか?って打診が来たんだよ」

「ほー喧嘩ふっかけて来た癖にー」

「喧嘩ふっかけて、やばい奴いるから仲良くしようって魂胆だろうね。

 まぁ、僕等第一も行くし君達は新兵器装備部隊としてのお披露目だろうね。気楽について来てよ」


 なーほーね。


「そーなんですねー分かりましたー

 じゃあ自分は用事すんだのでーかえりまーす」

「うん。何時でも来てね」

「はーい」


 しつれーしましたーと後にして要塞に帰還。

 要塞では私が通ると凄い緊張が走る。なんでだろーねー何もしないのに。取り敢えず、そのまま近衛竜騎士団の隊舎に向かうと待ってましたと言わんばかりに決済許可待ちの書類を抱えたローデリアやローサ、その他各部隊長に出迎えられる。


「皆いるから言っとくねー

 近々陛下が帝国に行くからそのお供でついてくよー第一近衛も居るからそこまで気張らなくてもいいよー」


 言うと全員顔を引き攣らせる。


「はーい、じゃあサインしますー」


 それから自分の名前がゲシュタルト崩壊する直前まで名前を書く作業。

 団長辞めたくなる。

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