第31話 時には昔の話をしよう。
今から数千年前。
エルフ族は世界樹の力を借りて世界を滅ぼせるほどの魔術を開発した。その強大な力を使って世界を支配しようとした一部のエルフ族とそれを阻止するべく様々な種族から力を借りて止めたエルフ族。
世界征服を企んだエルフ族は追い詰められて世界を滅ぼす魔術を使う為自分達の魔力をその禁術に注いだ。
すんでのところで神の加護を得た勇者が術を反転させ各地に逃げ延びたエルフ族はその黒き魔術より流れ出た影響で肌が黒くなった。
故に肌の黒いエルフは世界から忌み嫌われる種族。
コレがダークエルフの物語。
「はー……くだっだらねぇーハナシー」
アホくさすぎ。
「世界滅ぼそーとしたエルフは現に私にすら勝てないわけでー」
「ですが!」
「じゃーこーしましょー
サルーンが近衛騎士の誰かと戦って負けたら弟子にするのやめまーす。勝ったら弟子にしまーす。
サルーンは捕虜なので拒否権ありませーん」
やるひとーと尋ねると近衛騎士達がこぞって手を挙げた。
「団長!
もしそのダークエルフに勝てたら勝った奴を団長の弟子にして下さい!」
「えー?
んーまー良いかー」
ユーリにサルーンの武器防具を返してやれと告げる。
サルーンが武器や防具を身につけている間に誰を相手させるか選ぶ事にした。
「んーそーだなぁー
しょーじき言ってー君等皆力は同じくらいなのよねー
めんどくさいからー君ー」
適当に選ぶ。当たった奴は大喜びだ。
サルーンをみると準備万端だと頷いた。よーし。
2人共が其々が武器を構える。
「はい、じゃー近衛騎士が負けたら明日から毎日死ぬほどキツい稽古を1時間追加しまーす。
はじめー」
私の言葉周りの近衛騎士達が絶対勝てと騒ぎ出した。サルーンは両手に持った曲刀をクルクルと体の周りで回した。
暫く回しているとその紋様はまるで水に落としたインクの様に広がっていく。何かの魔術なのかしら?
そう思って眺めていたら次の瞬間、ファイアーボールと言う火の玉を飛ばす魔術が発動して近衛騎士に飛ぶ。
「おーすげー」
近衛騎士はそれを盾で受けた。馬鹿だなー視界塞いじゃったじゃん。盾に当たった火の玉は炸裂して近衛騎士の視界を塞ぐ。その瞬間にサルーンは滑る様な滑らかさで近衛騎士の盾側に移動。
近衛騎士も一瞬サルーンを見失うが直ぐに体勢を立て直し、固まった。
そして盾を構えたまま目だけをキョロキョロさせている。何してんだろ?
サルーンは相変わらず曲刀を体の周りで回している。
その曲刀をちょっと見つめていると、サルーンの体がボヤけはじめた。周りの近衛騎士達を見ると何人かも同じ様に周囲をキョロキョロしていた。
「あーなるほどなー」
理解したところでサルーンはこちらを見ていた。
「峰打ちでー」
サルーンに告げるとサルーンは頷いてゆっくりと歩き始める近衛騎士の背面に向かう。そして、峰打ちで近衛騎士の後頭部を打撃。
見事一本。
「なー何でアイツはキョロキョロしてたんだ?」
「そう言う幻術みたいな奴だと思うよー
あの回していると武器ずっと見てると使用者の姿が見えなくなるんだと思う」
ユーリがなるほどーとわかったのかわかってないのかよく分からない顔で頷いていた。
「兎も角、敵の武器ばっか見てる雑魚には覿面って事でーす。
全員フル装備で駆け足10キロねー」
気絶している近衛騎士も蹴り起こす。
「い、今からですか!?」
「そうでーす。
戻ってきたら腕立て腹筋を1000回ねー終わったら素振りでーす。これは感謝を込めて10000回。
私は先に帰って寝まーす。ユーリはどうするー?」
「俺もやる!」
「はーい。
じゃー気を付けてーサルーン帰るよー」
ユーリが行くぞー!と元気いっぱいにゲンナリしている近衛騎士達に叫び走り出す。ローデリアとローサも死んだ顔でその後に続いて行った。
「本当に良いのか?」
「良いのではー?
サルーンはその世界を破壊できる魔術は使えるのでー?」
「まさか!」
サルーンは首を振って笑う。
「なら良いのではー?
サルーンの使う術は面白かったのでーそれにたぶんユーリにも良い勉強になると思いまーす。
妹弟子ですがーまー歳はサルーンの方が圧倒的に上だと思うのでーユーリに色々と教えてあげてくださーい」
「分かった、我が主人よ」
「主人ではなくてー師匠でーす。
ユーリの様にサーシャと呼んでも良いでーす」
「分かった。
では、師匠、そう呼ばせて貰おう」
「はーい。よろしくでーす」
こうしてまぁまぁ強い弟子(2人目)を手に入れた。
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