第30話 天下無敵の近衛竜騎士団長
あれから10人抜きをして普通に夜になった。なにやら雑兵から将軍まで一列に並んで戦い出した。曰く英雄と剣を交えて帰るのだ、と。
目的ちがくねーかー!まぁ、良いか。
夜になると、普通に腹が減る。
「ユーリ。
お腹すいたから何か食べ物持ってきたー」
「やだ!決闘見てたい!」
ユーリは捕虜達を世話しながら決闘を見ている。現在は11人目。両手にダガーを持った良くわからん奴。
「いーから行ってきなさい。
アンタが戻って来るで決着つけないから」
全ての攻撃をいなして早う行けと指示するとユーリはウーっと唸り捕虜達を見る。
「私らが言うのもなんだが、食事をとりに行く間は普通に遊ばれるだろう。
言って来ると良い」
サルーンが頷き他の8人も頷いた。ユーリは馬に跨ると私を一度見た。
「絶対勝つなよ!」
そしてユーリが駆け出した。
「つー訳で君はユーリが帰って来るまでとどめをさしませーん。
さぁ来い」
「舐めるなぁ!」
繰り出されるダガーを剣でいなし、手でいなす。それを30分程やっているとユーリと数百の馬が見えた。
「サーシャ!
決着付けてないよな!?」
「ほら、ちゃんと戦ってるでしょー」
まぁ、ユーリが付いたので繰り出された突きをいなしてからの回し蹴りをしてKOだ。
「はい、私の勝ちー
今日の夕飯はー?」
「シチュー!」
おー良いねぇ。ユーリはガチャガチャと準備をし始めた。後ろの騎馬は近衛騎士だ。
「団長!」
「はーい団長」
「この捕虜は!?」
ローサだ。
「決闘で負けた人ー
ご飯までに後5人ボコすねー」
ツギーと告げると刀を持った侍ガール。名乗りを行った後イザと叫ぶ。待ちだ。
「来ないのかーい。
なら此方から」
はーいと、手にした剣を投げ付ける。
「効かん!」
剣を弾きその直後に踏み込んで袈裟斬り。私が更に踏み込んで振り下ろすタイミングをずらして、振り下ろされる前の手を掴む。
「んー雑。
はい、ツギー」
腹を殴って一撃いれる。ゲロったので傍に投げてユーリ……は料理中なので他の近衛騎士に任せる。
「じゅ、11人目抜きだ……」
「十人抜きを抜きやがった!!」
「サブーリンがまた伝説を更新しやがった!!」
帝国軍は大盛り上がり。対して此方も団長コール。喧しい。
それからは此処で俺が私が更新を止めると意気込んだ連中が挑みかかってきた。勿論一撃の名の下に阻止。
そして5人倒して私は夕飯にあり着くことにした。
「私は夕飯を食べる。
見ての通り私の近衛騎士達が来た。コイツ等は私が一年掛けて鍛えた訳だ。勿論私に一太刀も入れれなかったが他の近衛騎士団長達と一戦交えて此処にいる。
捕虜達程度の実力はある。君等全員を殺す事は叶わぬだろうが、一人で最低でも百人は殺せると思っている。つまり、一万から二万、多めに見て三万は死ぬだろう。
そして、我々の背後には五千の完全武装してしっかりと陣形を作った王立側が待ち構えている。
昨日の伝令では殿下があの城を落として此方に向かっているそうだ」
それでも良ければ攻めて来ると良い。
ユーリの隣に座りシチューを貰う。そしてもぐもぐと食べていると一番偉い奴が兵士や騎士に囲まれた。
それから怒鳴り声が聞こえたと思ったら悲鳴が聞こえ、一番偉い奴の首を持った騎士が一人やって来る。
「この首を持って侵略に対する詫びとしたい」
「ん、良し。
序でにそこの捕虜達も欲しいなら持って帰って良し」
言うとサルーン以外の全員が担がれて持ち去られる。
サルーンは放置。ユーリに解いてやれと告げ、首はローデリアにゴライアスに持って行き敵は帰ったと伝令に出した。
「なになにー?
君嫌われてんのー?」
「私はダークエルフだ」
「ほーん。
馬乗れるの?」
「ああ」
かわいそー
ダークエルフって被差別対象だっけ?肌が黒いから?
いや、だとしたら所謂黒人と言われる肌の黒い人達がいるこの世界では差別対象になってないのは分からん。エルフだから?だとしたらミュルッケン団長が団長になれているのはおかしい。
まぁ、良いか。
「帰るなら帰ってええよー?」
「帰ったところで最早私に何もない。
お前の好きにすると良い」
「ならお前を私の弟子にしよー」
適当に言ってみるとローサとローデリアが両肩を掴んだ。
「ダメです!」
「あり得ません!」
二人揃って反対。
「なんでー?」
「な、何でって……ダークエルフですよ?」
「そうですよ!
いくら何でもダークエルフは……」
2人は侮蔑の眼差しでサルーンを見た。
「私的にはー何でダークエルフがそんなに差別されてるのか知らないけどー
なんでー?」
ユーリを見る。
「俺が知るわけねーだろ。
エルフのねーちゃん、魔術剣士って言ってたから多分すげーぞ」
ユーリがスゲーぞとサルーンを指差した。
「はい、昔噺ー」
ローデリアを指差すとローデリアは小さくため息を吐いた。
「これはこの周辺の国では当たり前の昔話です」
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