第29話 街道上の怪物とはまさにこの事。
サルーンと言う女のダークエルフが一騎討ちに乗ってくれた。中東系の服装といえば良いのかダブダブのマントを身につけて、ターバンみたいなものを巻いている。
剣は何やら刀身の黒い曲刀で金色の模様が彫り込まれていた。二刀流らしく、両腰に下げている。
鎧は革で露出は高い。マントが分厚く丈夫な分下は薄くして放熱をしているとかなんかそう言う感じなのだろうか?
サルーンは右手に剣を抜いているので右利きなのかもしれない。
「いざ!」
サルーンがそう叫ぶと馬を駆け出す。ほーっと見ていたら普通に出遅れたが、まぁ、止まってても行けるやろ。
サルーンの攻撃に合わせて前に馬をジャンプ、剣の腹を使って攻撃のタイミングをずらされたサルーンの顔面をぶん殴ってやる。残った腕は左手で確保して私の馬に引き寄せ捕縛!
「ダークエルフは初めて見た。
ふむふむ」
ターバンを剥ぎ取ると長い耳が出て来た。革鎧の上から胸を触る。
ミュルッケン団長と違ってめっちゃ胸ありそう。おっぱいおっぱいだ。
後で革鎧を武装解除という名目で取り上げよう。
「ユーリ、馬捕まえてそこら辺に繋いでおいてー
このエルフちゃんは捕虜ねー武器と防具を取り上げるよーに」
離せと暴れるサルーンの顎を殴りつけて気絶させるとユーリに投げておく。ユーリはサルーンを受け止めて木陰に引き摺っていき後ろ手に縛った後で武装解除。馬も近くに留めていた。優秀じゃな。
「さー次はー?」
他愛無し、そう宣言してから剣の鋒を向ける。
「私を倒して名を上げようという者はいないのかな?帝国には?」
言うと、奥の方から馬の一団が掛けてくる。騎兵部隊だろう。
「何をしている!後ろが詰まってるぞ!」
「此処を通りたくば私を倒してからゆけ意気地無し共!
勇者サルーンは実に見事な一騎討ちを演じた!貴様等はどうだ!」
新しく来た騎兵達は冒険者みたいだった。
魔術師も居るし。
「何だお前は?」
「サーシャスカ・サブーリンだ。
私が此処に居る限り高々5万の雑兵なぞ通れるわけが無い。我こそはと思わん奴は私に挑むと良い。因みにそこに寝ているサルーンはそこの鎧だけは立派なカカシ共と違って私に挑んだぞ。
心意気は良かったので命は取らずにおいた」
冒険者に告げると1人の魔術師が前に出た。
「サルーンは所詮剣士でも魔術でも半端な存在。
サルーン如きを倒した位で頭に乗るなよ女!」
魔術師は俺が相手だと駆け出して来た。何か偉そうでカチンと来たのですれ違い様に首を刎ねてやった。
魔術師はなんかよく分からんけど杖を振り上げていたが、杖如きで殴られて落馬はしないし大振りすぎて避けるのすらイージーだった。
「此奴は馬鹿なのか?
魔術師如きが騎士に敵うわけなかろう。帝国軍はアホと臆病者しかおらんのか!!」
舐めるな!と怒鳴り付けると大剣を担いだ男が前に出てくる。今度は何だ?
「馬上においての合戦はいささかの不得意ゆえ徒にてお願いしたい」
剣士の出現に帝国側が俄に活気付く。
有名な奴なんだろうか?
「うむ。
私も馬上は苦手だ。何せ、この一年で漸く馬も操れるようになった」
「嘘だ!
サーシャは最初から馬で遊んでたぞ!」
ユーリがふざけんなと叫び出す。ユーリは普通に未だに馬に乗れない。
「ほんとほんとー近衛騎士団長は嘘つかないー」
馬から降りて剣を握る。
イザと剣士が切り掛かってきた。大ぶりの攻撃になる大剣。正確にはツーハンドソード。剣士は小柄だが筋肉の量で小岩を思わせる。無骨な鎧でアチコチがボロボロになっていた。歴戦なのだろうというのが一目で分かる。
強いのだろう。
「うん」
振り下ろされる。勿論当たらない。相手もそれは理解してるのか二撃目はすぐに帰ってから。
「はいはい」
デカいから避けやすく、流しやすい。
「なるほど」
攻撃を流しまくってると帝国軍は行けだのやれだのと叫んでる。
「逃げるな!戦え!」
「はーい」
次の攻撃を避けると右脇が空いている。そこに剣を突き刺して抜く。
「グッ……」
「ガラ空きー」
背後に回って膝を後ろから蹴って膝カックン。片足付いたら負けー
「どーする?」
クビに剣を置くと剣士は剣を下ろす。
「はい、私の勝ちー
ユーリ。この人手当てしてーんでーその後縛っといてー」
名前の知らないおっさんグッジョブと肩を叩き、ツギーと帝国軍を見る。
「やる気ない奴はとっとと帰んなー
私は女王陛下の代わりに此処に立ってるという言うことを肝に銘じてかかって来なさい」
さてはて、帝国軍は未だ健在だ。あとどれだけ此処で足止めをしとけば追い返せるのか?ユーリはさっさと手伝いをしてくれている。良い子じゃ。
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