第25話 現環境最強の近衛団長と現環境最強の軍隊を率いる殿下
夜になり夕食会と言う体裁の会議に出席する。私の部下達は全員顔を腫らしていたり、目にあざを作っている。
私の部隊が着くと全員がギョッとした顔をしていた。
「団長、凄い見られてますよ」
「そりゃー君等銃撃ってただけなのに顔ボコボコに腫らしてるしー
誰でも見るよねー」
ハッハッハッと笑いながら上座にある近衛騎士団御一行の席に座る。殿下のすぐ横に座る。私の部下達は私の左に座り他の騎士団よりも上の地位にいる。
殿下が来るまでいつものお遊び。暫くすると殿下がやって来る。側仕えが殿下ですと言うので立ち上がり、全員が敬礼。
「お疲れー座って座って!」
殿下の言葉で全員が着席。そして、私を見てから部下に目を向けてギョッとした顔をした。
「さ、サブーリンくん?
何で君の部下の顔が腫れているんだい?」
「あー今日の午後に突撃した後の乱戦を想定した訓練的なことしましてぇー
私が全員ボコボコにしましたぁー皆ダメですねー一番槍なんかやったら死にますよー」
ハッハッハッと笑うと殿下は脇に居た王立軍の側近を見る。側近も初耳ですと答えていた。
「あ、そーだ。
そう言えばきょーの午前中なー何かーえらそーな奴をユーリが撃ち殺しましてー」
「そうだ!その事で朗報だ!
敵の総大将たる離反貴族のカステーラー公が戦死した!」
その報告に全員が湧く。
「なら戦争終わりですねー?」
投降してきた貴族の首を刎ねて終わりだ。
「いや、現在はその息子が指揮を引き継いでいるが、一部離反貴族に加担していた者達が投降を考えたいるそうだ。
彼等を味方に付ければ我が軍はより簡単に勝てる。」
「投降してきた兵隊はそんなに直ぐに戦力化出来るのですかー?」
「出来るとも。
大元の旗が変わるだけだ。地方貴族の下の方なんてそんなものさ」
「いえーその地方貴族の下の方も居なくなるとただの農民ですよねー?」
装備も教育もされていない。
「ん?
何故貴族がいなくなるんだ?」
「えー?女王陛下に剣を抜いた貴族はその地位に関わらず皆打首ですがー?」
「いやいや、確かにその通りだが、流石にこう、手心をだね」
「んー?
何故陛下の安寧を妨げる馬鹿どもに手心を加えるのでー?
ユーリ達の様なそもそも王国民でも無い者たちならまだしもー陛下に服属して、庇護下に置かれている貴族ですよー?
飼い犬の癖に主人に牙を剥くなら殺すしか無いのでしょう?」
近衛騎士団的にそーゆーのを無視してはダメだと思う。
「それとも殿下はその様な叛逆の徒を匿い、生かして来るべき時に備えようとでもぉ?」
王立軍側の騎士や将軍が椅子を蹴飛ばさんばかりに立ち上がると私に向かって無礼だぞと怒鳴りつける。
「無礼?
何を勘違いしてるのか知りませんがー私の主人は女王陛下ただ1人。そして、近衛騎士団は女王陛下の命令によって動く物。確かに殿下の尽力により多くの兵士や騎士、装備をしていますがー
それはそれ、これはこれ。
陛下の敵は一才の容赦無く切り捨てるのが仕事なのでー」
皆さん、誰の配下ですか?と全員を見る。私の手は剣の柄に置かれ近衛騎士団出身の部隊長も同様だった。
「わかった。
投降してきた貴族の処遇は近衛騎士団に任せる。
しかし、処刑するにしても少なくともこの戦争が終わるまで待ってほしい。投降したら殺されると知ったら敵は投降して来なくなる」
「それはそうですねー
では、戦争が終わり次第皆さんの前で処刑しますー」
柄から手を離し椅子に腰掛ける。すると近衛騎士達も腰掛けた。
王立軍から来た近衛騎士達は驚いた顔をしたままである。
「サブーリン団長、ライフルはどうだい?」
「はぁ、まぁ、良いのでは?
ユーリが敵の総大将撃ち殺しましたしー
私は使ってないので詳しくはぁ、後でアンケートでも取って聞いてみましょー」
それから戦況報告や第一次の突撃を何時にするか、何処の部隊が一番槍をするかの話し合い。
「突撃時期は門が破れた時。
現在門の破壊は近衛竜騎士団が担当している」
「サブーリン団長、何時破壊できそうだ?」
「さぁ?
何時?」
砲兵隊長を見ると立ち上がる。
「現在装備している砲では砲弾の威力が乏しい為、破壊には最短で2週間、余裕を持っても1ヶ月掛かると見込まれます」
「らしいでーす。
なのでー1ヶ月後に突撃しましょー」
「殿下、我が軍の重砲隊を使うべきでは?」
脇に居た王立軍の将軍が手を挙げた。
「ふーむ。
近衛竜騎士団のお陰で敵は動揺している。この隙を突きたいな。サブーリン団長、今回は我が軍の重砲隊を使用して城壁を破ろうと思う。
近衛竜騎士団は明日より門への砲撃は止めて、突撃の為に準備移行して欲しい」
「りょーかいです。
今回は近衛竜騎士団が敵の総大将を討伐した事と一番槍の誉で団員達に納得してもらいますー」
言うと別の貴族が手を挙げる。
「待たれよ、サブーリン殿。
何故、近衛竜騎士団が一番槍をする。貴公の武勲は知っているが、銃兵600は数は多いが突撃隊としては些か心許ない。
また、近衛騎士団で名誉を独占するのはどうかと思う」
おー良いねー貴族の言葉に部下全員が少し希望を持ってるのに笑う。
「んー……何故、近衛が一番槍なのか?
それは陛下が我々を派遣したからですねー
この戦いは、陛下と陛下の国の安寧を害する敵を誅伐する事です。
我々は近衛。陛下がどれ程怒っていて、どれ程本気かを見せるのが我々の存在。故に我々は前線に行き、誰よりも先に立ち、誰よりも前に行き、陛下の御心を敵に知らしめなければいけない。
不安ならば我々の直ぐ後に続きなさい。我々は陛下の剣である。陛下が振り下ろすと決めた」
言うと貴族は黙ってしまい部下達は負けるなと言う顔でその貴族を見る。君はどっちの味方だい?
「まぁ、待ち給えよサブーリン団長」
そこに殿下が困ったちゃんを見る様な顔で苦笑している。
「君達近衛の能力や戦力、存在意義は誰もが分かっている。戦場で最も誉められるのは総大将の捕獲や討ち取り、次に一番槍だ。
そして、君達はすでに最上の名誉を取った。そこに来て一番槍まで君達が取ってしまうと他の貴族や王立軍は殆ど何もしていない。寧ろ、陛下に全てを任せておんぶに抱っこと言う形になってしまう。
陛下に在らぬ不忠を疑われるのは心外と言うもの。だから、近衛竜騎士団には彼等他の貴族や我々王立軍が陛下に服属を誓っていると言う姿を見せる場面が欲しいのだよ」
そうだろう?と貴族達を見ると貴族達はその通りと頷いた。
「成程、殿下の言い分は理解しました。
みんなはそれで良いですかー?」
私の部下達は仕方ないと言う顔で頷いていた。やれやれ。
「皆さん理解してくれたのでー一番槍は他の人に譲りまーす。
我々は逆賊の処刑もあるので最後まで残りますがー皆さんを応援してまーす。
頑張ってくださーい」
それから改めて一番槍の話。私達はこの戦争で一気に暇になってしまった。暇な時はバランス取り。
一番槍を決めるのに1時間の話し合い。アホかと馬鹿かと。お腹空きましたー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます