妹様の感想
ステン姉様の派遣して来た近衛騎士は普通にヤバい奴だった。
近衛騎士団長達とやり合って第三以下の近衛騎士団長に土を付け、15人の兵士を瞬く間に切り殺す。
運動神経も抜群だし、そもそも何考えてるのか分からない。常に怠そうで、皇族相手にも態度を変えない。
「おーおっぱいおっぱい」
そんな近衛騎士、サーシャスカ・サブーリンは上級娼婦館のNo.2嬢の胸を揉んでいた。
その顔は怠そうだった。
「君はおっぱい好きなのかい?」
「えー?まぁ、そうっすねぇ。
おっぱい、良くないですか?」
ねぇ?と彼女はローサに尋ねる。彼女は羨ましそうに嬢を見ている。うむ、やはり私の見立て通りローサは百合だ。同性愛者だ。
しかも、サブーリン狙いなのだろう。サブーリンはかなり有名人だしなー地方騎士から近衛騎士に取り立てられたし、それ以前から有名だった。
「サブーリンは彼氏とかいるの?」
「えー?居ないですねぇーそう言うのも興味ないので」
おっぱいおっぱいと嬢を膝の上に跨らせ喜ぶサブーリンは男と変わらない。
「あ、そうだ。
殿下」
おっぱいおっぱいと喜ぶサブーリンは嬢の傍から顔を出して私を見る。
「何かな?」
「私、殿下が謀反するなら殺す様に勅令出されてるのでーやるなら絶対にバレない様にして下さいねー
死の刃も貰ってますからー」
そして、平然とそんなことを言ってのける。おっぱい揉みながら言う話じゃないし、一気にその場の空気が冷え切った。嬢達も固まってしまった。
ローサは驚いたような顔をして、それから私を見る。
「陛下は殿下の激励と行動に懐疑心を抱いていらっしゃる。
私は近衛騎士。陛下の勅令にのみ従う騎士。殿下が少しでも陛下に歯向かおうとしたら、殺しますんで危なそうなことやる時は私に説明して下さいねー
私が理解出来ないなら貴女は私に殺されるので」
とんでもない事を平然と言うなコイツ。怖いわ。
「何故それを私に?」
「えー?
先に言っておいた方が楽なのでー」
楽?
「どう楽なの?」
「どうって……
貴女がやろうとしてる事を貴女が全て私に説明するってシステムにしたら私は聞いてないって事にならず、事前説明もなくなんかいきなり怪しい動きし出したらあーこれは蜂起かなーってなって殺しても良いって言う話だし、私の責任も無くなるわけでしてー」
良い考えだと思いません?と彼女は笑った。
その顔は過去に何度も見た私の命を狙って来た強者達のそれだった。これは、私にそんなつもりは毛頭無いって事を説明出来なければ問答無用で殺しにくる奴だわ。
転生してまだ30年と経ってないし、修羅場も何度かくぐり抜けて来たが歴代トップクラスにヤバい状況が今だわ。
これに比肩するのがジャンヌ義姉妹の時くらい。
「なるほど。
つまり、私は私の行動、特に軍を動かす際に貴女に根拠を示して納得して貰う必要が有る、と?」
「ええ、そうですねぇー
本当に緊急の場合なら一考しますけど、例えば何の前触れもなく侵略受けたりした時とか?
でも、周りに間諜出してますよねぇ?」
少しでも気配が有れば報告しろ、と。姉様は私のスパイ機関も乗っ取ろうと来てるのか?別に渡しても良いが、そこまで私は信用されて居ないのだろうか?
うーむ、一回ステン姉様と胸襟を開いて話し合う必要が有るな。
「成程。
私には別に叛逆の意志はない。貴女にも事前通告しよう」
にっこり笑って答えておくと彼女は満足した様に頷き再びおっぱいを揉んだり顔を埋めたりする作業に戻る。
冷や汗が出る。とんでもない奴だ。
「殿下はおっぱい揉まないので?」
「君は随分と肝が太いね」
「そうですかねぇ?
まぁ、何にせよ殿下が謀反起こさなきゃ良いんですよ。ねー?」
サブーリンは揉んでいる嬢に告げると嬢は困ったように笑った。
とんでもねぇ奴を送り込んできてな、姉様は。しかし、死の刃か……
そこまで私を信用して居ないとは……うーむ、姉様とは仲良くやってたつもりなんだけどなぁ?
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