第46話お泊まり2

「今日はね市場に行こうと思うの」


振り返り前のめりの姿勢をとる


「い、市場?」


(少しときめいてしまった)


「そ、市場」


市場に向かって歩く


「でもお金が」


「そこは大丈夫」


首掛け財布を服の下から出し振る


「お金の音だ」


硬貨の音を確認し服の下に戻す


「行く前に俺ん家によって良い?」


「いいよ」




「ごめん遅くなった」


家の中から出てきたバベルは硬貨を何枚か握り締めていた


「いいよ持っていかなくて」


「え?なんで」


握り締めた硬貨を見る


「だってバベルの誕生日プレゼントを買いに行くんだから」


「へーー」


揺れながら家の中に入っていく


「私変なこと言ったかな?」


数十秒後


「今回は早かったね」


「ま、まぁ置いてくるだけだからな」


「それもそっか、じゃ市場に行こう」


2人は市場に向かう




「着いたー」


片道1時間かなり奥の方の市場まで来た


「やっと着いたの?」


「ここら辺に…」


周りでやってあるお店を見渡す


「あったあそこの店だよ」


右奥にあるお店を指す


「行こっか」


「うん」


サティヤが指したお店まで移動をする


「お、この前の嬢ちゃん」


店主とサティヤは顔見知りのようだ


「来たことあるの?」


「何回かかな」


このお店はアクセサリーを主に販売している出店だ


「今日は何をお求めで」


「もう決めてるんだ」


置いていたノンホールピアスを手に取る


「これはピアス?」


「坊っちゃんこれは穴を開けないピアスなんだって。今流行ってるらしいぞ」


店主が説明してくれる


「はいこれ」


お代を店主に渡しノンホールピアスをバベルに渡す


「ありがとう」


両手で受け取ったノンホールピアスを眺める


「バベル」


「なに?」


眺めるのを止めサティヤの方を見る


「その…着けてほしいかな」


もじもじしながらバベルに言った


「あ、ごめん」


言われて気付き慌てて着ける


「熱々だね」


店主から野次が飛ぶ


「しー」


人差し指を唇に着ける


「すまんな嬢ちゃん」


店主は融通を利かせ少し離れる


「ど、どうかな」


耳がよく見えるように髪をかきあげる


「うん似合ってるよとっても」


「そうか」


<石が宝石になりましたね>


皮肉のきいた言葉をかける


「あれ?これに石は着いてないよサナちゃん」


<それぐらい似合ってるって事です>


(ピアスに向けた言葉か今の)


<もちろんです>


耳に着けたピアスを触る


「お~お嬢ちゃん」


隣の店から声をかけられる


「おばちゃん」


サティヤはお婆さんと喋るため隣の店に移る


「今か」


10m位高く浮かせていたウォーターボールの中から硬貨を取り出し離れていた店主に声をかける


「これください」


「はいはーい、これね」


店主は引っ掛かっていたミサンガを取りバベルに渡す


「濡れてますけど」


濡れた硬貨を店主に渡す


「別にいいよ」


構わないと手を振り奥の部屋に行った


「サティヤ喜んでくれるかな」




帰路に就く


(渡すタイミング逃したー)


心の中で泣き崩れる


<本当チキンですね。私ここですって何回も言いましたよね>


(違っ声がでないんだ)


「チキン?」


サナの声が聴こえたサティヤはチキンと呟き真横にいるバベルを見る


「えっ!」


<すみません切り忘れてました>


歯の浮くような台詞を言う


(わざとだろその感じ)


「えっと」


隠していたミサンガをサティヤに見せる


「あの今日貰った物は誕生日プレゼントって事は分かっているんだけど」


あたふたするバベルの手を握り


「ありがとうねバベル」


笑みを浮かべる


「おっふ」


<どちらが年上か分かりませんね>


2人に聴こえないように呟きバベルの奥底に潜る

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