第44話忘れ事

「あぁー進化ね」


怪我をしていない方の頬を掻く


「進化」


(そんな能力あったな)


「おーー」


口を大きく開け拍手する


<ありがとうございますサティヤさん、マスター>


サティヤえの礼をした後ドスの効いた声が出た


「なに~」


目が泳よぎ冷や汗が出てくる


<まさか私が進化する事忘れたわけでは無いですよね>


「そんなこと無いよ…」


<本当ですか?>


「あぁ本当だ、もう一人の俺みたいなもんだぞ忘れるわけ無いじゃん」


冷や汗を袖で拭く


(ふぅ~恐い恐い)


<…マスター、私もう一つ出来ることが増えまして>


「何かな」


嫌な予感を感じながら恐る恐る聴く


<さっき、恐い恐いって考えましたね>


体をびくつかせる


「…」


<その前にも>


それはそれは凄い速度で体勢に入った


「なにやってるの?」


サティヤは最上級の謝り方をまだ知らない


「す、すみませんでしたー」


額を地面につけ許しをこう


<声を大きく>


「すみませんでしたー」


さっきより2回りぐらい大きい声で謝る


<まぁ良いです、許しましょう>


額に土をつけながら頭を上げた


<サティヤさんこうゆう大人には絶対なっちゃダメですよ>


念を押し忠告する


「うん」


バベルを見て頷く


「あまり見ないで」


土を払い立ち上がる


<このようにマスターが何を考えているのか分かるようになりました>


「その能力…使用禁止にします」


一発退場宣言を出す


<なんとなく分かってましたよ。まぁ私もマスターが何考えてるか知りたくないですし>


「それはそれは酷い言われようだな」


やれやれと首を振る


<だからと言って止めれる能力じゃないですけどね>


「はっ?」


振っていた首がピキっと止まった


「ん?ーーーそれはこれから一生心の声を聞かれるってこと」


<そうですね>


「…」


間が空き


「大丈夫だよバベル」


「サ、サティヤ」


潤む目でサティヤを見る


「だって考えなければ良いってことでしょ」


<そうですよ考えなければいいんです>


笑うのをこらえ喋る


「むりでしょ…あと絶対笑うなよ」


<でも良いじゃないですか。もう一人の俺みたいもんですもんね>


言い訳に使った言葉をうまく利用される


「ちっ」


「言ってたね」


数分前の事を思いだす


「だから違う」


<もう良いじゃないですか聴いたこと誰にも話しませんから>


諭そうとするが


「プライバシーの侵害」


ボソリと呟く


<なるべく聴かないようにしますから>


「で、でも」


2人はもう1押しで行けると思い畳み掛ける


「ほら、また進化したら聴こえなく出来る能力とか貰えるかも」


<そうです。それに悪い事ばかりじゃないですよきっと>


耳が動く


「そうだよな制御できる能力とかもあるよな…絶対ある」


自分に言い聞かせる




「少しはましになった?」


「うん…魔物狩りの意欲が沸々と沸いてくるよ」


拳を握りしめ遠い目をする


<そんなにも嫌なんですか?>


拒絶の意志が強く少し興味をそそられた


「心の声を聞かれて嬉しいやつがいるか」


うつむき元気のない声で返答する


「ふーん」


足をバタバタさせ聞いていたサティヤは浮いてるウォーターボールに目が行く


「ねぇバベルあれ」


ウォーターボールを指す


「あぁー忘れてた」


目線の位置に動かし服と雫を取り出す


「焚き火で乾くかな?」


周りを見渡し枝を探す


「あった」


服を上手く枝に引っかけ焚き火の近くに指す


「これでよし、ありがとうサティヤ」


「別にいいよ」


バタバタさせてる足を見返事をした


(はぁーやっぱサティヤ可愛いな)


<マスターはいつもこんなこと考えてるんですか>


そう思ったサナだった

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