第43話酔う者酔わない者

「ブッは」


破壊力が強すぎて耐えきれずのけぞってしまう


「それより私どうしちゃったのかな?」


サティヤは自分の体を注意深く視る


「いてて…泣いてる時の記憶あるの」


頬をさすりながら立ち上がる


「うん」


ゆっくりと頷き胸に手を置く


「何かね胸の奥がザワザワして、ぶわーって何かが出てきて泣いちゃったの」


「そおか」


手で何かを表そうとしてるがバベルには通じなかった


「その何かのせいであんな風になったと」


「うん」


俯く


「ザワザワは治ったの?」


「うん、泣いたら治った」


険しい顔から安堵の表情に変わる


「よかった」


そっとサティヤを抱き締める


「バ、バベル!」


手をバタバタさせ抵抗する


「嫌だった?」


囁くように言う


「別に…嫌では」


頭から湯気が出崩れ落ちる


「おっと」


サティヤを受け止める


<マセガキ>


「う、」


バベルに5000ダメージ入った


「ごめんね」


「い、いいよ」


吃る


「立てそう?」


「うん」


サティヤを立たせる


「「……」」


沈黙が漂う


<中学生か!>


サナはじめての突っ込みをする


<3歳と4歳に言うのもあれだけど中学生か!>


「うるさーい」


赤面しながらサナを黙らせる


「ちゅうがくせい?」


<見てるこっちが恥ずかしいですよ>


「せめてサティヤに聴こえないようにしろよ」


<分かりました>


「バベル、サナの声が」


「大丈夫少しの間だから」


サティヤに言い聞かせサナの愚痴を聞く


<いいですかマスター、マスターはサティヤさんより何倍も長く生きているんですよ。マスターがリードしないと、なにうじうじとしてるんですか>


「そうかもだけど、いざ目の前にする頭が真っ白になるんです」


<前世はどうしてたんですか?>


さりげなく前世の様子を聞く


「前世は…」


<前世は>


復唱する


「……」


<分かりました>


「まだ何も話してないぞ」


<いえいえ十分に分かりましたよ。マスターがどれ程のチキン野郎かってことが深く深く分かりました>


「恋したことの無い人には分かりっこないんです」


サナとの会話を終わらせサティヤの方え向く


<恋はそこまで人を酔わせる物なんですか…>


遠い遠い太陽を見上げ独り言をする




焚き火を囲み直し暖まる


「ねぇバベルあれどうやってたの」


期待の眼差しをバベルに送る


「?」


何を聴きたいのか分からず首を傾ける


「あれだよ私が変になった時、バベルに攻撃したでしょ」


「そうだな」


枝で焚き火をツツク


「その時水で防いでたでしょ」


「あぁーあれか…あれは俺じゃないよ」


枝を焚き火に放り投げサナに話し掛ける


「俺も聴きたかったんだ、いつからスキルを使えるようになったんだ?」


<サティヤさんと合流する前、ウルフ3体を倒したのを覚えてますか?>


「あぁ覚えてるぞ溺死させた奴らだろ」


頬の掠り傷を触り顔をしかめる


<はい、その時にマス>


「ねぇねぇ私にも聴かせてねぇねぇ」


バベルの肩を揺らし主張する


<戻しますね>


「あぁ~頼む」


サナの声を聴こえるようにさせる


<あー、あーどうですか>


マイクチェックの感覚で確認する


「聴こえたよサナちゃん」


<よかったです>


サティヤにも声が聴こえた所で話が戻る


「それで何話してたの?」


「サティヤに会う前ウルフを倒したって話」


「それでそれで」


この先が気になり前のめりになる


「いや、ここから先はサナに聴いてくれ俺も知らない」


<では続きを、ウルフを倒したマスターはちょうどLEVEL40になり私サナは進化しました>

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