第34話切れ味

「あれ?」


切ったはずなのに手応えがまったく無かった


「切ったよな?」


バベルは困惑する


「バベルどうしたの」


なかなか木を蹴らないことに疑問を持ったサティヤは大声を出した


バベルは振り向いた


「いや、切ったはずなのに」


ザァーザァー


この日は風が吹いていないのに葉の音がした


「バベル後ろ、後ろ」


「ん?」


サティヤが慌てながら指を指した


「おいおい切れてたのかよ」


木は切れていたようでバベルの方に倒れようとしていた


(不味いな、このままじゃ)


<マスター>


「おぉサナ…どうしよ」


<はぁー色々と聴きたいですけど後にしましょう>


「う、うん」


<それじゃあウォーターボールをあの木にぶつけてください>


呆れた感じで言った


「それだけか?」


<はい>


即答する


「そうか、やってみる」


バベルはウォーターボールを出現させ木にぶつけた


<命中ですね>


「あぁたしかに命中したが大丈夫か」


命中したが木はまだバベルの方に倒れてきていた


「おいおいおい本当に大丈夫なのか」


焦ってきたバベルは縮み込んだ


<大丈夫ですドンと立っていてください>


「信じるよサナ」


バベルは目を瞑り立った




ドン


林の方から大きなおとがした


「なんだ?」


「今のは?」


荷物を運んでいた2人は運搬を止め話し合った


「すごい音なりましたね」


「そうだな……お前いってこい」


「えっ!嫌ですよ兄貴、兄貴こそ行ってくださいよ」


「はぁ?何言ってんの俺は兄貴だぞ」


兄貴という者が強気に出ると


「す、すみません行ってきます」


もう一人の者があわてて音のした方に向かった


「はぁ俺じゃなかったら首飛んでたぞ」


兄貴がボソッと喋った




ドン


木が地面に衝突しその拍子に周りにいた動物達がどこかに行ってしまった


「バベル大丈夫」


サティヤは大声を出した


「ゴホゴホ大丈夫だ」


バベルはなんとか返事を返せた


<ほら言ったでしょマスター大丈夫って>


「あぁそうだなゴホゴホ」


木が倒れたところは土煙がすごく喋れるのがやっとだ


「一歩でも横に移動してたら」ゾクッ


バベル想像すると体が震えた


「考えるのやめよう」


<早く土煙から出ることを推奨します>


「そうだな」


バベルは土煙から出サティヤが何処にいるか探した


「バベル~」


サティヤが走ってバベルに近づく


「いや~危なかった」


ちゃらけた感じでサティヤに言った


「ばか」


サティヤはそう言いバベルを抱きしめた


「えっ?え」


「心配したんだから」


「ご、ごめん」


2人は少しの間そのままでいた




サティヤの気がすんだのか抱き合うのをやめた


「どうして木を蹴らなかったの」


<そうですよマスターなぜ蹴らなかったんですか?>


サティヤとサナが理由を聞きだす


「それが…手応えが全く無かったから切れてないと思って、本当にごめん」


「包丁かし…雫貸して」


サティヤは言い直す


「別に良いけど何するの?」


「バベルが本当のこと言ってるか試すの」


サティヤは倒れた木の前に立ち雫を振った


「ん!本当だ手応えが全くない」


<サティヤさんが言うなら本当なんでしょう>


「おい、信じてなかったんかい」


<……>


「バベルはい」


雫を返した


「どうも」


「いいな私も魔剣欲しくなっちゃった」


<我慢ですサティヤさん>


「うぅぅ分かっているけど」


このやり取りを陰から聴く者がいた


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