第27話 セイギ⑤

 朝起きると横でルイが眠っている。

 ヨウは毎朝大人になってまで男二人で川の字になって寝ているのは少し恥ずかしいと思いながら起床する。しかし、この家は二人分の個人部屋を作れるほど広くはないから仕方がない。

 ヨウは眠い目を擦りながら朝食を作る。ルイの分の食事も毎日作っている。ルイとは最近話していない。ヨウはルイのことを避けているわけではないが、最後に話したのはきっとヨウの覚えている限り、ルイが警官になることを猛反対した時だろう。ルイからしたらきっと俺が避けているように見えるんだろうな。そう思いながらできた朝食を盛り付け、食べ始めた。


 「世界を変える・・・かぁ。」


 ルイを猛反対したことを思い出しながら食事を口に運ぶ。

 ルイはこの街の警官という組織を変えられるだろうか。もしもルイが人を殴っているところを見たら俺はどうするだろうか。

 考えても答えの出ないことを考え続けているといつの間にか皿から食事がなくなっていた。


 食事を終えると玄関でルイが起きないように小さく「行ってきます。」というとおじさんの工場の前にある場所へ足を向けた。

 おじさんの工場から家を3つ挟んだ古くて大きい建物に。

 


 ヨウは仕事が始まる少し前におじさんのいる工場に向かった。

 工場では相変わらず、戦争の道具を作っている。最近、車の依頼も増えたがそのほとんどが戦争へといく車だ。車の依頼が増えた分少しは仕事が楽しくなった。しかし、人を殺すための道具として使われていると思うと今すぐにでも壊したくなるほど気分が悪かった。

 種をまくと植物が育つ。育つのは植物の勝手、だけど種をまいた以上は、その人にも責任はある。それと同じで道具を作ってしまった以上は、ヨウも戦争に加担している。ヨウはそう考えていた。それでも作らなければ戦場へと駆り出されてしまうから仕方なく作っていた。


 「いつまでこんなこと続けるんだよ。」

 「お前なぁ、こんなことって・・・」


 ヨウが戦争に向けてボソッと言ったのをおじさんが聞いていた。


 「この工場がなくなったらお前は働き先を失うんだぞ?」

 「そういうことじゃねーよ」


 どうやらおじさんにはこの工場をいつまで続けるのかと勘違いしたんだろう。


 「じゃぁなんだよ?」

 「なんでもない。こっちできたから確認頼む。」

 「お前がやったんだから大丈夫なんじゃね?」


 おじさんがヨウの作った車を見にきた。

 さっきまで銃を作っていた時とは違い、笑いながら車を見ていた。



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