第16話 ヒコウキ⑥
次の日の朝はやくから、二人でおじさんの工場にいった。
工場の扉を開けるともうおじさんはいた。他の従業員はまだ来ていなかった。
「おう、来たか。座れ」
おじさんが椅子に腰掛け、その前に2つの椅子が並べてあった。
二人してそこに腰かけると、床には二人が作ったパーツがいくつかと二人の書いた設計図があった。
そして二人がおじさんの顔を見る前に、おじさんが話し始めた。
「溶接道具と空き工場、勝手に使ったな。」
二人はうなずいた。おじさんは頷く二人を見ていた。
「あれは誰のだ?」
「・・・・・おじさんの。」
ヨウが小さい声で答えた。もちろん二人ともおじさんの顔を見ることはできず、床に転がっているパーツや設計図を視界に入れていた。
「そうだよな、人のものを勝手に使うのはよくないよな。」
二人とも頷くこともせず、下を向いていた。
「それに子供だけで夜中あんなことしていたら危ないだろ。溶接なんてして、火傷どころか火事や爆発する危険だってあるんだぞ。」
おじさんの声は重くなり、二人は怖くて、おじさんの顔を見ることができなかった。
「まだ育ち盛りだから、夜はしっかり寝ろ。いいな。」
「・・・・・はい。」
「約束できるな?」
二人とも頷いた。その時も視線はおじさんの顔ではなく、おじさんの足元や、下に置いてあるパーツを見ていた。
「それと・・・」
おじさんも下にあるパーツと設計図を見た。
「お前たちが作ったんだろ。何してたんだ。」
二人は答えようとせず、黙り込んだ。
お互い決めたルールに二人だけの秘密というのがあった。これはおじさんたちがこのことを知っていただけでも警官からひどい目に遭うだろう。そうさせないためにも二人はこのことを黙っておくべきだと思っていた。
「答える気はないのか・・・。」
するとおじさんは設計図を手にとった。
二人の目はおじさんの手元の設計図にいった。
「空でも飛ぼうとしたのか。お前たち。」
二人は目を見開いた。どうしてそこまでバレたんだろうと。
でも、普通に考えればそれもそのはず。おじさんがヨウに機械を教えた。そしてルイの書いた図形だけの設計図を元に、ヨウとルイは細かい設計図を完成させた。おじさんが見てどんなのができるかわからないわけがなかった。
「お前たちもそうだったか・・・。」
二人の驚く様子を見ておじさんは確信したのかそう言った。そしてため息をつきながらいった。
「今まで話していなかったことを話す。正直、俺もこのタイミングでお前たちに話していいかわからない。だけど今なんじゃないか。そう思って話す。だからよく聞けよ。」
おじさんが話始めた。それは二人の親の話だった。
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