第16話 ショッピングデート
ランチは公園内にある某有名コーヒーショップで、飲み物と軽食を食べた。俺はハムと野菜のサンドイッチ。しずかは、チョコチップクッキー風のシフォンケーキセット。夕食を少し早めに取ることにしたので、昼は軽めの食事にした。
「歩いた後の甘いものはしみるね」
「俺は、サンドイッチだけどな」
「といつつフラペチー〇飲んでるのは、どこの誰ですか、センパイ?」
ちなみに、夕食をごちそうになるので、ここは結構強引に俺が出した。
公園デートを終えて、俺たちはショッピングに向かう。
「いいんですか? 私のお仕事の用事を済ませることになっちゃいますけど……せっかくの……なのにぃ」
しずかが前に行きたがっていた場所に行こうと提案すると、彼女は嬉しさ半分、申し訳なさ半分のような声を出していた。
「ああ、いいぞ。俺も行ってみたかったし」
向かう先は、都内でも指折りの巨大な家電量販店だ。地下3階、地上6階の巨大な家電量販店。服屋からパソコン周辺機器、ゲーム、趣味、おもちゃ、お酒。なんでもそろっている。よくクリスタル・クリエイトのタレントたちがここに配信で使うものを買いに来ると話題に上がる。パソコン関係の部品や配信で使うおもちゃ、ゲームなどをここに来て物色するらしい。
俺たちは近隣のC県住まいなので、こういう特別な時にしかなかなか来ることができない。しずかも、家から遠いからスタジオ帰りに少しだけ寄ってすぐに帰るような感じで、ゆっくり覗いたことはないらしいので、いい機会だと思った。
まずは6階のゲームショップに向かう。
「最新作、いっぱいだよ、すごい~!」
しずかは、並んでいるゲームに目を輝かせた。元々しずかは、俺と遊ぶときにモリカーやフルブラなどの文天堂のパーティーゲームをするくらいでかなりのライトゲーマーだった。
配信を始めた当初も、ゲーム配信は苦手で1時間実況するだけでヘロヘロになっていたのをおぼえている。先輩たちの温かい?手ほどきを受けて、今ではかなりゲーム好きになったようだ。
「あー、火星防衛軍7だ。これ、今度先輩にコラボ誘われているんだよね。今のうちに買っておいて練習しておこうかな。それに、向こうで
しずかは、はしゃいでいる。問題発言をした場合に備えて、俺の耳元でささやいている。吐息が本当に耳にかかると、何とも言えない気分になる。やっぱり、これってデートだよな? 俺は動揺しながら、ゲームに浮かれる後輩の姿を見て、ニヤニヤと笑い続けた。
俺の大好きな後輩で、推しは等身大の表情で笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます