第17話 Vチューバーと周るゲームショップ散策

 新作ゲームをいくつかカゴに入れて、俺たちはゲームショップも堪能した。

 ある意味で、仕事の延長でその準備だが、新作ゲームをポンポン経費で購入していけるのはちょっとうらやましい。


 まあ、その分大変なんだけどさ。


「あれ、センパイっ!! なんかおもしろそうなことをやっていますよ!」

 後輩の指さす棚には、赤い福袋が陳列されていた。


「何々、レトロゲーム福袋? ハイパーファミコン、プレイシチュエーション1などのソフトが入っています……」

 なるほど、よくあるゲーム福袋だな。年末年始にみんな開封していたけど、先行で販売しているようだ。あれ楽しいんだよな、福袋開封配信。思い出のゲームとか、自分の好きなシリーズの超名作とか出てくると盛り上がる。


「へー、これよく皆が年末年始の配信でやっているやつですよね。おもしろそう。クエクエシリーズやラスト・ファンタジー、ギルドの伝説とか入ってますだって! 私、レトロゲームってあんまりやったことないから、買ってみようかな?」


「いいんじゃないか。レトロRPG配信は、大人気で大手の箱も土日の昼によくやってるもんな」


「今までの配信はどちらかといえば、パーティーゲームをコラボの時にやるのが多かったから……ひとりでやるにしても、雑談中心のユアクラだったし。もう少しゲーム配信にも幅が欲しいんだよね」

 Vチューバー業界はファンの争奪戦が激しい。どんな配信をするかは、配信者の自由であり、専門を極める人も多いが、ファンの皆を楽しませるためには、たくさんの得意分野を持っていた方がいい。


 やっぱり、業界の最前線を走っているだけあって、向上欲とかもすごいんだよな。


「どうしたの? ニヤニヤして?」


「いや、推しがさ。俺たちを楽しませてくれようと、いろいろと考えてくれている現場に立ち会えて、幸せだなって。尊いわ」


「なっ……」

 しずかの顔は真っ赤になっていく。


「だって、しずかの話っぷりの節々からファンへの愛情を感じるっていうか。オフの日でも、ファンのためにいろんなこと準備してくれているんだなって考えると、結構嬉しいんだよな」


「もう……あんまり嬉しいこと言わないでよ、センパイ。にやけちゃうじゃない」


 ※


 ゲームショップのほかに、雑貨屋などをブラブラして、良い感じの時間になった。日がくれる寸前で、昼食は軽めだったからお腹もすいてきた。


「じゃあ、そろそろご飯に行きましょうか!」


「ああ、どこに行くんだ?」


「実はもう予約してあるんですよね」


「準備がいいな。どこだ?」


「センパイ、何言ってるの?」


「えっ!?」


「私たちの業界でご飯と言えば、焼肉に決まってるじゃん!!」

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