欲張りさんの独白

CHOPI

欲張りさんの独白

 最近、自分の事を欲張りになったなぁ、と俯瞰的に思うことがある。

 それは例えばこんな時だ。



 美味しいものを食べた時。

 きっとキミも好きだろうな、なんて思う。


 奇麗な景色を見た時。

 横にキミが居れば一緒にはしゃげたのに、なんて思う。


 辛いことがあった時。

 キミならきっと笑い飛ばしてくれるんだろうな、なんて思う。


 嬉しいことがあった時。

 キミは私の何倍もの喜び方で、いっしょに喜んでくれるんだろうな、なんて思う。



 キミと共有したいモノ。キミと共有したい時間。キミと共有したいコト。それらは今でもたくさんありすぎて、それなのに毎日毎日飽きることなくどんどん増えていく。好きと言う気持ちが膨らむのに比例し増えていくから、きっと増えていく一方で減ることは無いんだろうな、なんて。これから先、キミと過ごす時間。一体どれだけ増えていくんだろう。きっとすごく膨大な量になるんだろうなぁ、なんて一人で考えて笑ってしまう。


 キミと共有したいモノ。キミと共有したい時間。キミと共有したいコト。それらがどんどんあふれ出てくるのと同時に、その共有は私たち二人だけの秘密にしたくなる。他の人にはナイショ、例えそれがどんなに仲のいい友達でも。キミと私の共有するもの、それを私の独り占め、にしたくなる。

それは、例えばこんな風に。



 美味しいものを食べた時。

 『美味しいね』って喜ぶキミの笑顔を独り占めしたいと思う。


 奇麗な景色を見た時。

 『また来ようね』って想いを馳せるキミの横顔を独り占めしたいと思う。


 辛いことがあった時。

 『大丈夫だよ』って抱きしめてくれるキミの腕を独り占めしたいと思う。


 嬉しいことがあった時。

 『本当に!?やったじゃん!』って喜びを爆発させるキミの姿を独り占めしたいと思う。



 そういういわゆる“独占欲”もまた、好きと言う気持ちに比例してじわじわと大きくなっていく。独り占めできるのは私だけ、っていう、ちょっと薄暗い独占欲。その独占欲は他にもこんなところに見え隠れしている。


 笑顔を他人に見せるのは……仕方がないから我慢するけど、いたずらに成功した時のちょっと悪い笑顔とかはあまり他人には見せないでほしいな、とか。本当は寝起きがめちゃくちゃ悪くて朝が弱いところとか。負けず嫌いでゲームの対戦なんかは連敗が続くと拗ねちゃうところとか。傍から見たらきっと、ちょっと(いや、かなり?)めんどくさいところも含めて、他の人には秘密にしていたい。だってそれを見られるのは、私だけの特権だと思うから。


 キミを好きになって、どんどん私は欲張りになっていく。キミも私の事、欲張ってくれていたらいいのにな、なんて。

 こんな話をキミに共有したら、キミはどんな顔をするんだろう。

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