第16話 第二章 4 気になる・隠されるとすごく気になる・・
ふと目を開ける。なんだ。夢だったのか・・・暗い・・・明かりを・・・と思ったらあたりが明るくなった。
「明かりを付けてくださってありがとう。」
って言ったら、
「ぼけてんじゃないわよ。あんたが付けたでしょうが。」
おわっ・・・あの美女だ。夢じゃなかったんだ。
「ふん。魔法が使えるようになったじゃないの。」
と美女。
「え?」
思わずキョロキョロしてしまう。
「今のライトよ。他のもきっと使えるわよ。試してごらんなさい。」
・・・試す・・・今は絶対
「トイレ・・・」
ぶわっと下半身に温かな物を感じる。え?漏らした?うそぉ
「げっっ!!!なんてことに魔法を使っているの。中身の行き先を考えなさいよ!!!!」
うわあ・・・慌ててきれいになることを考える。えっと・・・・胸がふわりと温かくなる・・・
ふわっと清涼な何かが通り過ぎ、
「くさかったわよ。全く。これでライバルだなんて嫌になっちゃうわ。」
美女が嫌そうに顔をしかめて吐き捨てた。
ライバル・・・?そうだ。
「ねえ、君は誰?それから、魔王の妃って初耳なんだけど、何?」
「は。全く思い出せてないわね。まあ、魔法は使えるようになったから、追々思い出すんじゃないの?」
少し頬を赤くして美女が言う。
くるくると風が舞う。魔王だ。何でここが分かったのかな?
「おいおい、客人に手荒なことをするんじゃない。」
って。
「何悠長なこと言ってるの。私のおかげで魔法の使い方を思い出したみたいよ。」
二人がじゃれ合うように言い合いを始めたから、僕は空気になる・・・・・
「ちょっと、知らん顔しているんじゃないわよ。」
巻き込まないでくれないかな・・・・
わーわー言いながら城に戻り、ちょうど夕食時なのでそのまま食卓に・・・
「魔法の使い方を思い出したそうで。」
アルファさんがニコニコして僕に言う。
「いえ。よく分かっていないんです。でも、胸が温かくなって・・・」
「ああ。杖ですね。あなたの。前は髪に挿していた・・・今は胸に挿してあるようですが。」
優雅に野菜をフォークで口に運びかけていた美人(名前はララさんだそうだけど)が、
「あなたの髪の毛。銀色できれいだったのに。冑の下で蒸れて・・・はげになっていないといいわね。」
うわあ・・・・はげ・・・てきてるのかなぁ・・・
「おいおい、ララ、それはないだろう。」
「あら。断言できるの?魔王様?」
「・・・・」
僕は黙々と食べる。食べながら、僕の髪の毛って銀髪だったのか・・・そうだ。ヴァイスのとこに行かなくちゃ・・・いや、船の上が先かな・・・と、とりとめもなく考える・・
「僕、そろそろ・ヴァイスのところに・・・・ 」
って言いかけた途端、
「ヴァイスからまだ何の連絡もないから、まだここにいるといい。」
「そうですね。ライトとか使えただけで、まだほぼ何も分かっていないようですから。」
「行っちゃだめですか?」
魔王とアルファさん二人共が頷いた。
「まだ足手まといになるだけですからね。」
一体何がジークの国に起こっているというのだろう。帝国は何をしているんだ?
「心配には及びませんよ。ヴァイス様ですからね。」
「そうそう。今は、念のために若き王のそばにいるだけだ。」
・・・ヴァイスが何をしているのか、魔王達は分かっているんじゃないか。何で僕には教えてくれないのかな・・・
「変なこと考えているんじゃないでしょうね。」
ララさんが僕の顔をのぞき込むようにしてきたからぎょっとする。
「あ・・・あの・・・。」
「考え過ぎちゃだめよ。あんたのためになることしか私たちはしていないんだからね。」
って言われても・・・
気になるんだよ・・・教えてくれれば気にもしないのにな・・・多分・・・
何しているのかな・・・ヴァイス・・・
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