#40 体温を感じる朝
マドカが「化粧水とかコットンとか色々買いたい物あるから、ドラッグストアに寄って欲しい」と言うので、焼き肉屋さんを出てから車で帰り道にあるドラッグストアに寄って、マドカだけ車を降りて買い物を済ませることになった。 俺もついて行こうとしたら「すぐ終わるから車で待ってて」と言われ、車で待機。
待ってる間に、今夜のことを考える。
マドカ用のお布団を買ったから、今夜からは同じ部屋に布団並べて寝ることになる。
そうなれば、ヨリを戻し再び結婚の約束をした二人だ。
意識せざるを得ない。
昔は、お泊りした時やラブホに行った時は、一緒にお風呂に入ってからそのままの流れでエッチするパターンが多かった。 だが今のアパートは、ユニットバスで二人で入るには狭すぎるので、別々に順番で入るしかない。
いや、お風呂のことはどうでもいいや。
問題は、今夜、エッチするのか、しないのか、だ。
ぶっちゃけ俺としては、したい。
マドカの事、1度捨てておきながらナニ言ってんだ?って話だが、今朝マドカと復縁してから、昔と変わらない魅力的なままのマドカと手を繋いだり抱擁したりしてると、性欲が湧いて来る。
だからこそ、「エッチしたい」って自分からは物凄く言い辛い。
まるで、「久しぶりにマドカと会ってエッチしたくなったからヨリ戻した」みたいに見えそうで、そんなのクズ過ぎて、とてもじゃないけど自分から言えそうにない。
ここはしばらく様子見ながら、がっつかずに機会を伺うしかないかな。
そういえば、高校生の頃も、いつも俺からは言い出せなくて、毎回マドカから誘って貰って致してたよな。
う~ん
でも、我慢出来るかな。
お風呂上りのマドカ見たら、我慢出来る自信ないなぁ。
なにせ、最後にセックスしたのが結婚式の直前で、あれから今日まで誰ともセックスしてないからなぁ。
と、煩悩と理性の狭間で葛藤をしていると、マドカが買い物を終えて車に戻って来た。
「お待たせ。ついでにお茶とかお菓子も買って来たよ」
「ご苦労様。 他に寄る所とかある?」
「ううん。 お家に帰ろ」
「了解」
部屋に戻ると、久しぶりに湯舟に浸かりたかったので湯を張り始める。
狭い湯舟なので10分もせずに湯が貯まり、マドカに先に入るように言うと、「買って来たお布団にカバー掛けたり荷物の片付けとかしたいから、マサくんお先にどうぞ」と言うので、遠慮なく先に入らせて貰い、15分程浸かってから出る。
洗面所で寝間着替わりのスウェットとTシャツを着て出ると、部屋には既に布団が2組並べて敷いてあった。
「お先。 布団敷いてくれたんだ、ありがと」
「今日からは一緒で良いでしょ? 明日お仕事なのに車で寝てたらマサくん疲れ取れないし」
「うん」
「それじゃあ、私もお風呂入って来るね」
「うん、ごゆっくりどうぞ」
平静を装いながらも、ドキドキしている。
でも、今日は我慢だ。
それに、マドカが言う様に明日は朝早くから仕事だし、今日は色々とあって疲れているから、早めに寝ないと明日の仕事がキツくなる。
◇
そんな決意も虚しく、40分後、お風呂から出て来たマドカに襲われた。
マドカ、ガチの準備して来た。
今日の為に用意したと言う上下お揃いの黒い下着に、同じく黒のガーターとストッキング。
SMクラブのHPで見た花蓮女王様をどこか彷彿とさせる全身黒のセクシーランジェリーは、未だ崩れていないマドカの整った綺麗なスタイルにバッチリ似合ってて、更に30代の脂の乗った女性の色気の前では、俺の理性など猛獣のメスライオンを前にした兎みたいなものだった。
お風呂(ユニットバス)から出て来たマドカは、上に部屋着のパーカーを羽織っていて腰の辺りまで隠れていたが、ガーターで吊ったストッキングに包まれた美脚は丸出しの状態だった。
自分の布団の上でゴロ寝してた俺は、マドカを見上げて思わず「え?」と声に出した。
「ずっとこの日を待ってたんだから。 私、もう我慢しないからね」
マドカはそう言いながらパーカーを脱ぎ捨て、俺が何か言う前にゴロ寝している俺の上から覆いかぶさる様に抱き着いてきて、無茶苦茶キスしてきた。
4年9ヵ月ぶりのキス(しかも超激しい)に、俺の理性は瞬時に吹き飛んだ。
* * *
とは言え、せっかくマドカの方から迫ってくれたんだけど、この日は1回戦だけして直ぐに寝た。 久しぶりだった為、特にマドカの方が連戦が出来ず、また二人とも疲れていたのでいざ賢者タイムに入ると直ぐに寝てしまった。
但し、この日から連日連夜致す様になった。
マドカ曰く「今までの分を取り戻す」のだそうだ。
学生時代でも連日続けてするような事は無かったのに、この歳になってから
因みに、キチンと避妊はしている。
焼き肉屋の帰りにドラッグストアに行ったのも、本当はゴム買うのが目的だったそうだ。
◇
朝、まだ暗いなか目が覚めると、目の前にマドカの寝顔があるのか、マドカの寝息と甘ったるい香りを感じる。
お互い裸のまま抱き合って寝たので、部屋の中は寒いが、マドカの体温をダイレクトに感じられて、凄く懐かしい気持ちになり、このまま2度寝したくなった。
しかし、仕事が有るので、俺は先に起きて準備をしなくてはいけない。
(俺は、5時から仕事。 マドカは6時から初出勤)
部屋の小さい照明を点けて、寝ているマドカのおでこにちゅっとしてから、起こさない様に布団をそっと抜け出して、脱ぎ散らかした下着を着て顔を洗ってから仕事着を着こんで、部屋を出る前にマドカを起こして、俺だけ先に出勤した。
お店に行くと、いつもの様に大将が黙々と麺を打っていた。
「おはようございます!」
「おうマサキ! おはようさん!」
「今日からマドカもお世話になります! よろしくお願いします!」
「おう、慣れるまではマサキが面倒みちゃれよ?」
「了解っす」
フライヤーで天ぷらを大量に揚げて居ると、6時前にマドカが出勤してきた。
マドカは厨房に入ってくると、みんなに聞こえる大きな声で「今日からお世話になります! 右も左も分からない素人ですので、どうか厳しくご指導をお願い致します!」と挨拶した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます