#02 高校時代
高校に入学すると、見事に同じクラスだった。
名前は、小島マドカ。
黒髪のストレートな髪とキリっとした眉毛と目つきが印象的で、普段は真面目そうでとても落ち着いた雰囲気を纏っていたが、照れると赤くなる顔や、目尻を崩して笑う表情がたまらなく魅力的な女の子だった。
教室では無意識に彼女のことを目で追ってしまっていた。
いつも彼女ばかり見ていたせいで、彼女とよく目が合い、慌てて目を逸らしてかなり挙動不審だったと思う。
でも、どうやら僕のその行動が功を奏した様で、LHRにて1年間所属する委員会を決める際に、僕が立候補した美化委員に彼女も立候補した。
そして普段はクラスでは男子とほとんど話しているのを見た事が無かった彼女が、委員会の集まりや週に1度の放課後の活動の際には、僕とはよく会話してくれるようになった。
最初はお互い遠慮し合いながらの一言二言交わす程度だった。
それが1カ月2カ月もすると、勉強のことや部活のこと、中学時代のことや趣味のことなんかも話す様になり、次第に教室でも朝挨拶してくれたり雑談なんかもするようになった。
夏休みに入り、夏期講習(進学校の為、夏休みに入っても7月いっぱいは午前中だけ講習があり、登校していた)を終えて帰ろうとすると、彼女に呼び止められた。
「ちょっと聞いて欲しい話があるの。少しだけ教室に残っててくれるかな?」
「うん、分かった」
この時は、勉強のこととか人間関係のこととか、なんか悩みでもあるのかな?と思った程度で軽く了承した。
教室の窓から校庭を歩く人たちを眺めながら待っていると、他のクラスメイトたちが皆帰って行き、残ったのが僕達二人だけになった。
彼女は僕の所まで来ると、話し始めた。
「山城君のことが好きです。 付き合って下さい」
「え? エーッ!!!」
びっくりして思わず大きな声を出してしまうと、彼女は真っ赤になって俯いてしまった。
「ごめん!びっくりして!って今のごめんはそういうごめんじゃなくて!」
「・・・・」
「あの・・・よろしくお願いします」ペコリ
慌てて僕が了承の返事をすると、彼女は顔を上げて両手を重ねて胸に当てて「よかった」と小さな声で呟いた。 僕はこの時の彼女を見て、受験の合格発表の時の彼女の姿を思い出していた。
この日からの高校生活は、正に絶好調だった。
一目惚れした女の子から告白されて恋人同士になり、お互い周りに隠すことなく仲良く過ごした。
僕も彼女も初カノ初カレで、教室では恥ずかしいから堂々といちゃいちゃしたりはしないけど、よくアイコンタクトやジェスチャーでやり取りしたり、そんなやり取りの中で怒ったフリしてほっぺを膨らませる彼女がたまらなく可愛くて、わざと怒らせてみたりもした。
普段の彼女は落ち着いた態度なのに、たまに我儘になったりスネたりするのが可愛くて、彼女に益々夢中になっていき、僕は僕で普段は格好付けて紳士的に振舞うけど、二人きりの時間はちょっぴり甘えたりもした。
2年で別のクラスになっても、二人の関係はずっと変わらなかった。
お互い初心で色々奥手ではあったけど、付き合い始めてから1年もすれば一通りの経験も済ませ、呼び方も小島さんからマドカに変わり、山城君からマサキ君に変った。
ウチの親もマドカを気に入り、マドカの親も僕に良くしてくれた。
3年になり進路の話になると、同じ学校へ行きたいと意見も合い、地元で3つの私立大学の同じ学部を選んで受験することにした。
3年では再び同じクラスになり、二人で過ごす時間の大半は勉強に当てられ、お互い協力しあって受験勉強に取り組んだ。
受験会場へも一緒に行った。
第一志望の大学の試験を終えて帰りの電車の中で、高校受験の入試のことを思い出していた。
マドカに高校入試と合格発表の時の話をすると、マドカは入試のことは記憶になかったけど、合格発表の時のことは覚えていた。
「あの時、一人で合格発表見に行ってて、見ず知らずの男の子が会釈してくれて、合格したことをお祝いしてくれてた様に思えて、凄く嬉しいけど照れくさかったんだよ」
「そうか。 僕は再会の嬉しさと、この子も合格したんだ、同じ高校に通えるんだっていう嬉しさで、あとやっぱり可愛いなぁって見惚れちゃって、目が合ったら恥ずかしくなって照れ隠しで思わず頭下げてた」
「じゃあやっぱり私の合格、お祝いしてくれてたんだね」
「そうなるのかな」
「大学も、揃って合格出来るといいね」
「そうだね」
結局、二人とも無事に受験した大学全て合格出来た。
合格してから入学までの春休みの間、受験勉強で押さえていたものをお互いに発散するかの様に二人で過ごした。
そのせいなのか元々なのか、セックスに対してマドカは積極的な方だったと思う。
普段は真面目に振舞い、そんな感じを全く見せないのに、毎回彼女から誘ってくれた。
そのギャップが、僕にしか見せない物だと思うと、凄く嬉しくて、そして興奮もした。
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