第2話 運命を変えた一人の女の子

 今日から二年生になった。

高校に登校すると、昇降口付近で新しいクラス名簿が貼ってあった。

僕は三組だった。

つまり、文系の中でちょうど中間くらいのクラスだった。

そして新しい教室の中に入ると、クラスの女の子にかっこいいと言われた。

しかし、僕は皆がせっかくほめているのを素直に受け入れなくて辛かった。

そしてその日はひたすらみんなにかっこいいと言われた。

僕はついにかっこいいと言われること自体が嫌になってしまった。

 そして翌日も朝からかっこいいと言われ、昼食時にみんなにかっこいいと言われたので、昼食を食べ終わると屋上に避難をした。

そして人気のないところにあるベンチに座った。

僕はみんなの誉め言葉を素直に受け入れられないことが辛かった。

そんなことを考えていると、僕の隣に女の子が座った。

「鎖弥嘉君どうしたの?最近元気ないじゃん」

僕はこの声を聞いて石橋いしばし 理沙りささんだと分かった。

「悩み事とかあったら私が聞いてあげるよ」

僕は理沙さんに嫌われることを覚悟して本当のことについて話した。

「実は、僕最近かっこいいと言われているけど、素直に受け入れなくて」

「そうだったの?でもかっこいいじゃん」

理沙さんは僕のことを心配してきてくれたらしい。

「実は僕、かっこいいと言われるよりもかわいいと言われたいんだよね」

理沙さんはかなり驚いていたが、幸い僕のことを受け入れてくれた。

「そうだったんだね~結構難しいね~」

「髪型もあまり伸ばせないからごまかすことができないんだよね~」

「鎖弥嘉君的にはみんなにやめてほしいと言ってほしいの?」

「みんなは僕のことをほめようとして言っているから、その人たちも傷つけたくないんだよね」

「そっか~もうそろそろ授業始まるからまた今度話そう」

「ありがとう」

そう言って僕は教室に戻った。

教室に戻るとみんなに心配された。

僕は部活に入っていないため授業が終わると逃げるようにして学校を出ようとしたが、一人の女の子に止められた。

その女の子は一つ年上のとても人気者だった。

「私、かっこいい鎖弥嘉君のことが大好きなの。もしよかったら付き合ってください」

僕はかっこいいと言われるのが素直に喜べないので断ることにした。

「ごめんなさい」

僕が断ると、女の子はとても悲しんでいた。

 そしてやっとの思いで学校から脱出することができた。

そして近くの交差点を通ろうとすると赤信号になり、ほかの学校の人に声をかけられた。

「もしかして鎖弥嘉君ですか?」

「はい、そうですけど?」

「もしよかったらライン交換してくれますか?」

僕はここで断ると後々めんどくさいと思ったのでラインを交換することにした。

「別にいいですけど、僕のこと分かりますか?」

「だって、めっちゃイケメンといううわさが広まっているもん」

一人の女の子がそういった。

 僕は女の子たちとラインを交換して少し話すと真っ先に家に帰った。

 そして先ほどの女の子たちをブロックしようと思ったが、その女の子たちのことを考えるとブロックすることができなかった。

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