キックショットマジック

一陽吉

缶キック

「隕石なんか、どっか行け──────────!!!!!」


 カ────────────────────ン!!!!!


「!?」


「これでよし!」


 は。


 はは……。


 地球に向かって飛んでくる巨大隕石相手に。


 空き缶、一個を空に蹴り上げただけ……。


 核を使ってもどうにもならないから。


 ダメもとで奇跡の魔法使いと言われる彼女に依頼したが。


 やはり無理だったか。


 もうお終いだ。


 人類は、滅亡する運命なんだ……。


 ──うん?


 着信、吉田君からだ。


「どうした?」


「主任、たたたたたたたた、大変です!」


「落ち着きたまえ。何が大変なんだ?」


「で、デデデデデデデデデデスが、デスが……、軌道を変えました!」


「間違いないのか?」


「間違いありません! 他の観測所からも同様の結果です! まるで何かに当たったみたいに大きくそれました。地球との衝突は、0%です!」


 信じられない……。


 地球から叩き込めるだけの核をもってしても変化しなかった、あの巨大隕石デスが、いきなり軌道を変えた。


 タイミングとしてはやはり、彼女が空き缶を蹴り上げた時だ。


 あれが魔法なのか……。


「言ったでしょ、おっさん。よゆーだって」


 そう言って笑顔をみせる彼女。


 それは十代の女子高生そのものだった。

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キックショットマジック 一陽吉 @ninomae_youkich

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