第6話
小学2年になった娘が難病になった。
この1年は本当に大変だった。
子育てしているとわかるあれこれ。
女の子ならではのかわいい物が
欲しがる時期、ちょっと都会の
田舎での介護の仕事は
言うほど給与は良くない。
時給換算すると、下手すれば都会の
スーパーでのレジ打ちの時給と
同等かそれ以下になる。
利用者様との時間はきっちりしているが
ダラダラ仕事の悪い見本のような私は
昼ごはんは、カップ麺や家で握った
ラップおにぎりを簡単に済ませ、
約1時間の昼休憩をわずか数分で
終わらせてしまっていた。
あとは、仕事場にある資料や
利用者様の情報を書いた資料をみて
毎月の利用者様会議用の資料を作るのだった。
季節の変わり目、我が子もそうだが
利用者様や仕事場の人たちの子どもも
体調を崩す季節に突入するのだった。
インフルエンザの予防接種は
会社負担でしてくれるので
毎年うっていた。
施設内でインフルエンザとノロが
流行ってしまった。
簡易的ではあるものの、防護服や
使い捨てマスクや手袋、消毒も
頭からつま先までしていた。
消毒で頭が金髪にならないかなぁと
ドキドキするほど、消毒してから
娘が待つ我が家に帰ったのだった。
ホットカーペットが我が家の暖房。
まさかこんな事になるとは思わなかった。
寒くなりだした11月、娘は
インフルエンザになってしまった。
消毒もきちんとしていたはずなのに、なぜ?
やはり私が持ち込んだのよね?
ごめんなさい、ごめんね。
インフルエンザが移してしまった。
(熱に気づいてしまった時には
体から力が抜けるようなしんどさだった。
2人揃って40℃近くの高熱。
私自身もインフルエンザにかかっていたのだ。)
娘を電動自転車に乗せて
近くの病院に行く気力もない。
身体に力が入りにくい。
仕事用の携帯で、職場に連絡すると
仕事を終えたパートさんが
(仕事年数からみれば私より先輩)
お見舞いに来てくれた。
病院には行けてないことを伝えると
どこかに電話をし、数分後には
娘と私の支度を手伝ってくれ
先輩の運転する車で総合病院にたどりついた。
あれ?ここは、仕事場の系列というか
実質本体である総合病院であった。
夜間入り口から入り、インフルエンザの
可能性がある事をあらかじめ
伝えてくれていた。
晩御飯も食べていない私と娘は
即入院、即点滴をされた。
(病院に着いて熱を測った時点で
自分も熱があったんだと知った。)
熱でぼーっとしていた私の代わりに
あれこれ、娘の病気の事も
院長先生に伝えてくれいた。
私と私の娘は利用者様方と
同じ型のインフルエンザだった。
病院のベットのシーツがひんやり
していたが、室内のエアコンで
部屋はあたたかかった。
身体の節々が痛くてインフルエンザは
こんなにも辛いんだと初めて知った。
娘は言葉を発する気力もないのか
かなりぐったりしていた。
口から水分補給出来るようになるまで
入院してから5日たったころだった。
私はすでに熱も下がり、いつでも
退院出来る状態だったが、娘と
横並びのある意味至れり尽くせりの
病院生活を7泊8日過ごした。
娘は約2週間入院し、市民病院から
娘の資料を取り寄せ職場の本体である
総合病院で、定期的な治療をすることになった。
福利厚生のひとつに本人の医療費は
実質無料になるのだった。
医療費の明細を会社の指定用紙に貼り
手続きすると、返還されるのだった。
娘の医療費も難病指定とはいえ
タダではないので、細かい出費は
多々あった。
福利厚生のひとつに高校生卒業までの
お子様がいる人には、毎月のお給料に
1人あたり1000円がプラスされるのだった。
家族手当、最高。
年に数回、新年会、ボーリング大会?
親睦会、バザーのような運動会?
家族参加型のイベントまであった。
仕事だから、嫌なことはもちろんあるけれど
それはそれ、これはこれ。
福利厚生としては、家族を大切に!!
というアットホームな会社だった。
正社員としては、お給料やボーナスか
寸志程度とか(んんっ……。)まあ……
色々あるけれども、医療面では
かなり助けられたのだった。
あと、会社の仲間からは娘さんに
どうぞとかいって、バザーの残り
と言う割には新品のサイズピッタリの
かわいい服やぬいぐるみを頂いたりした。
娘が産まれてからは、私が若かったこともあり
娘におもちゃどころか、ひな人形すら
買えない毎日だった。
1歳児の無認可での保育料も4万円代で
かなりの高額だった。
お給料のほとんどが、医療費と保育料に消え
少しでも栄養価の高い食事をと思い
牛乳やプリンは、娘が欲しがる時
いつでも食べれるように常備していた。
仕事場のバザーに、リカちゃん人形と
歴代彼氏が勢ぞろいしていた。
歴代だけど彼氏は6人もいた。
こんなにいたの知らなかった。
バービー人形もあり、"ケン"という名の
彼氏は様々な色と顔かたちで15体だそうだが、
目の前には、リカちゃん人形と彼氏たち
バービー人形と数体の彼氏たちがいた。
かわいいリスやうさぎのシルバニア
シリーズもいた。
一体あたりかなりの破格のお値段。
悩みに悩み、リカちゃん人形と歴代
彼氏と、シルバニアシリーズを
買おうと決めた。
「それ、傷みもあるしあまり人気ないの。」
「売れ残り3年目だな。」
「1箱115円、イイご縁でどぉ?」
マジですか?
あとで返せとか言わないですよね?
という言葉は飲み込み、
「本当にその値段でいいんですか?」
と聞くと、欲しがる人がいただけでも
その人形も喜ぶよ!と男前のセリフを
言ってくれた、他の施設職員の50代男性。
男前!!
たとえ頭髪がさみしくても、どっしりと
貫禄あるお腹でも男前セリフに感謝します。
"良い御縁がありますように。"
その日115円の、リカちゃん人形と
今年はオサム君人形がお雛様と
内裏様として、あとは五人囃子や
三人官女?その他色々、うさぎや
リスなどかわいい人形が
我が家の雛人形となったのだった。
バービー人形と彼氏さんたちは
別の箱だった。
もしかしたら、大きめの箱なら
全部で、ムフフな値段だったかもしれない。
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