第24話 魔境探索
投稿が遅れ申し訳ありません。
次は9/12投稿予定となりますが、今度は予定どおり投稿できるように頑張りたいと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
魔境。
どんな危険が待ち受けているかわからない未開の地。
遠くからでも圧倒的なスケールの巨木が見えていたが、近くに来るとその存在感はさらに凄かった。
なんでも魔境に生えている樹木の多くは大地や空気に含まれる豊富な魔力の影響か、他の土地の植物に比べ成長速度が早かったり、効果が高かったりするらしい。
そのためか目の前にある単なる木の一本でさえ、地球でなら御神木と祀られていてもおかしくないくらいの高さと太さがあった。
何故、魔境に豊富な魔力があるのかについては、魔境の奥深くに強大な魔力を持つ魔物が存在しており、その魔物による影響という説や勇者と魔王による戦いの影響。はたまた神によるきまぐれでこんな土地が創られたという説まで諸説あるが実際にどうなのかは分かっていないらしい。
そんな魔境の中は背の高い木々によって光が遮られ、昼間だというのに薄暗かったが、所々から差し込む光が見たこともない形の植物や色とりどりのきのこを鮮やかに照らしており、幻想的な光景を醸し出していた。
……
ということで、俺、トム、エミリーの3人は今、魔境の中を探索している。
初めは魔境の中には入らずに、外周部でのんびり薬草採取をしていたのだが、途中で驚異度2のゴブリン2体と遭遇。
《隠密》スキルのおかげで相手より先に気付くことができたので、後ろから奇襲して苦戦することなくそれを撃破。
ゴブリンはファンタジー定番の魔物であり、この世界でもその見た目は背丈が100cmにも満たない緑色の肌と額から生える小さな2本の角が特徴の人型の魔物であった。
マンガによっては言葉が通じて、友好的な種族の場合もあるが、この世界では家畜や人間を襲うだけの害ある生き物。
しかも、繁殖能力が高いらしく、1匹見かけたら100匹は近くにいると言われており、まるで家庭内に潜むGのような扱いであった。
俺達が遭遇したゴブリンは着衣は着ておらず、その手には武器がわりに拾ったと思われる太めの木の枝を持っているだけであったが、個体によっては冒険者等から奪った剣や弓等を所持しているものもおり、油断はできない魔物とのこと。
ファンタジー定番の魔物と初遭遇したことで、俺も始めはテンションが上がったが、醜悪な顔や汚らしい外見等も相まってテンションはだだ下がり。
エミリーなんかは親の仇でも見るような顔をしていた。
人型の魔物を斬ることに抵抗はあったが、やらなきゃやられるこの世界。
トムと俺がそれぞれ別の個体の後ろから斬りつけ戦闘は終了。
素材になる部分はないので、体内にある魔石のみを回収して死体は土魔法で地面に埋めてしまった。
その後、他にもゴブリンが近くにいるかもしれないということで注意深く探索するも外周部では発見することができなかった。
まあ、実際にGも1匹見かけたからといって100匹が本当にいるわけではないからな。
念のため、魔境の中も少し探索してみようという話になり、魔境の中に踏み込んだという訳だ。
……魔境内を探索すること一時間程。
「ふわ~綺麗だね!」
「あぁ、幻想的な景色だな」
魔境内の一角。
色とりどりの花々が咲きほこる場所を見つけ、エミリーが感嘆の声を上げ、俺もそれに同意した。
こんな風景が見れただけでも来た甲斐があったな。
そんなことを考えていると、《隠密》スキルに反応があった。
「二人とも右前方、茂みの向こう側に何かいるぞ。注意しろ」
俺の声にトムとエミリーが気を引き締め、俺たちは接近してくる生物に気付かれないように近くの茂みに姿を隠すことにした。
待つこと数十秒。
気配を感じた方向から1体の魔物が姿を現した。
おぉー! あれはオークかな。
確か脅威度3の魔物だった筈。
オークはこれまたファンタジーの定番の魔物であり、相撲取りのようながっちりとした体格に猪のような頭と毛皮を持つ二足歩行の魔物だ。
オークは力は強いが動きは鈍重だと冒険者ギルドの資料に書かれていたが、曲がりなりに驚異度3の魔物だ。
戦って勝てるかわからないし、相手はこちらに気付いている様子はない。
これなら無理に戦闘する必要はないがどうしようか……
そんなことを考えていると、《隠密》スキルに目の前のオークとは別の生物の反応が急に現れ、オークの方へ向かってすごい速度で進んでくるのに気が付いた。
「ここにいたらやばい! 逃げるぞ!」
「えっ何!?」
「エミリー来い!」
何が接近してきてるかはまだわからないが、オークに向かって襲いかかりにいくような生物だ。
驚異度3以上なのは間違いないだろう。
俺が二人に声をかけると、トムは危険を察知したのか、エミリーの手を引いて飛び出した。
エミリーは状況をわかっていない様子であったが、トムがいれば何とかなるだろう。
俺が二人に遅れて茂みを飛び出し、後ろを振り返ると、ちょうどオークが赤色の毛を持つ巨大な生物の腕の一振りで絶命するところであった。
あれはレッドグリズリーか!
俺たちが宿泊している『赤熊亭』
そこの入口に置かれていた剥製と同じ姿。
驚異度4の魔物だ。
オークを瞬殺したレッドグリズリーの視線が俺を捉えているのに気が付き、俺はぞっとした。
このままトムとエミリーを追えば、三人とも犠牲になるよな。
柄じゃないけどしょうがないか……
俺は覚悟を決めると方向転換をして、二人とは別の方向に走り出した。
幸か不幸かレッドグリズリーは俺の期待どおり、二人を追わずに俺のことを追ってきたので俺は全力で森の中を駆けた
熊の時速は60キロにもなると何かのテレビ番組で聞いたことがある。
レッドグリズリーもそれに漏れず、一瞬にして間合いを詰めてきた。
「うわっ!!」
直感で頭を下げると頭の上を強烈な熱風が通り過ぎていった。
「熱っ! 一体何だよ!」
思わずレッドグリズリーを見ると、レッドグリズリーの右の爪先には炎が纏われていた。
「いやいや魔物が魔法を使うとか反則だろ……」
絶望感が増したが、俺は瞬時に土魔法を使い、俺とレッドグリズリーの間に土壁と小さな落とし穴をいくつも作成しながら逃走を再開。
壁は一瞬で壊され、落とし穴も時間がないため、深い穴が作れず、レッドグリズリーの足を一瞬止める程度の役にしか立たなかった。
それから数分。
俺の体力と魔力は尽きかけ寸前。
そんな状況の中、俺は森の中を流れる川岸でレッドグリズリーに追い詰められていた。
レッドグリズリーは勝利を確信したのか、じりじりと俺に近づいてくる。
だが俺にとっては運良くたどり着いた希望の地。
俺は召喚で以前入手したマカポーションを一気に飲み干すと最後の賭けに出た。
マカポーションのおかげで回復した魔力をほとんど注ぎ込み水魔法を発動。
今まで大量の水を操作したことはないが、そんなことを言っていられる状況ではない。
川の水をレッドグリズリーに向けて勢いよく放出。
本当はウォーターカッターのように超高水圧で体を切断してやりたいが、その技術が今はない。
なので狙うは水による溺死か、川沿いでの戦闘はやばいと思わせて諦めてもらうかだ。
真っ直ぐ放出した水は簡単に避けられたので、今度は二方向から放出。
今度は一方向からの水が当たったが、レッドグリズリーはダメージが無いと分かると、水圧に押されながらも俺に向かって前進してきた。
俺は内心バカめと思いながら土魔法を使い、俺とレッドグリズリーの間に落とし穴改め水魔法も併用して泥沼を作成。
水飛沫のおかげでレッドグリズリーは泥沼に気付かずに見事に嵌り、慌てて泥沼から抜け出そうとしたところを真上から水圧を加え、泥沼に沈めてやった。
できればこのまま溺死を狙いたかったが、俺の魔力が保たなそうだったことから予定を変更。
俺は緊急避難用の穴を設けるとレッドグリズリーが泥沼に沈んでいる間にその穴に避難し、天井を急いで塞ぐとレッドグリズリーがいなくなるまで隠れることにした。
……
穴に隠れてからどの位が経っただろうか、たかが数分かもしてないし、数時間かもしれない。
いつレッドグリズリーに気付かれるかと気が気じゃないながらも体力と魔力を使い果たした俺はそのまま気を失ってしまうのであった。
《改稿版》異世界アプリで快適スローライフ。 冷凍まくら @makura0325
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。《改稿版》異世界アプリで快適スローライフ。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます