第9話【冒険】①
【冒険】をタップすると、【出発】、【装備変更】、【ステータス】の3つのアイコンが表示された。
ふむ、なるほど……
たぶん【出発】をタップすると何らかのゲームが開始されるんだろうな。
自分でキャラクターを操作するアクションゲームなのか、はたまた勝手に戦闘が進行するオートバトルなのだろうか。
ターン制バトルってこともあり得そうだし、2Dか3Dなのかも気になるな。
たぶん、無いとは思うけどシューティングやレースゲームってこともあり得るのか?
【出発】が気になるけど、楽しみは最後に取っておくとして、まずは【装備変更】から確認するか。
【装備変更】をタップすると、画面の左半分にスーツ姿をした男性の3Dモデルが表示された。
うん、何故スーツ姿なんだ?
どうせなら革鎧など、ファンタジー風の格好にしてくれたら良かったのに。
というか、この3Dモデルの顔って若い頃の俺にそっくりじゃないか……
表示された3Dモデルをよく見てみると、見た目は高校生くらいのときの俺にそっくりで黒髪短髪、肌は少し日に焼けており、顔つきは加工修正されたのか実際の俺よりキリッとしていた。
俺そっくりのキャラってだけでも何か嫌なのに、多少、顔が加工されているのが何かむかつくな。
どうせなら自分で好きにキャラメイクするか、召喚でキャラクターを入手できる仕様であればよかったんだけどな。
そんなことを思いながら、画面を操作してみると3Dモデルを回転させて、横や後ろ姿が確認できるようになっていることがわかったが、自分そっくりのキャラを眺めていても面白くないので、3Dモデルの確認をさっさと終えると、次に画面の右半分を確認することにした。
画面の右半分を確認すると【頭】、【上半身】、【下半身】、【右手】、【左手】、【足】、【装飾品1】、【装飾品2】の8つの項目があり、【上半身】と【下半身】には《スーツジャケット》と《スーツズボン》が既に装備されていた。
俺は装備されている《スーツジャケット》と《スーツズボン》がどのくらいの性能なのかが気になり確認してみるとそれぞれ『防御力3』とのみ表示された。
防御力3って絶対しょぼい装備だよな。
まあ、初期装備だし、しょうがないか……
性能の良い武器や防具は【召喚】で入手するか、実際にこの世界で購入したりして手に入れろってことだろう。
とりあえず召喚で手に入れた《鉄の剣》を装備できるか確認してみるか。
ものは試しにと【右手】を選択してみると、俺が思ったとおり装備可能品に《鉄の剣》が表示された。
おっ、やっぱり装備できるんだな。
じゃあ、早速装備させてみるか。
装備させるために《鉄の剣》を選択してみると『攻撃力50』と表示された。
攻撃力50が強いのか、弱いのかはわからないけど、レア度☆3の武器だし、可もなく不可もなくってとこだろう。
スーツの防御力が3だったことを考えるとだいぶ強く感じるけどな。
そのまま《鉄の剣》を【右手】に装備させると、画面左に表示されていた3Dモデルの右手に鉄の剣が出現し、代わりに現実で持ち歩いていた鉄の剣が消えてしまったが、その後の検証で装備から外すことで【アイテム】に収納され、再度取り出すことができることがわかった。
《鉄の剣》の他にも何か装備できるものがないか確認すると【装飾品1】、【装飾品2】で《マジックリング》が装備可能であった。
ゲーム内でも《マジックリング》には『消費魔力5%削減』の効果があったが、いちいち装備を付け直すのが面倒なのでゲーム内では装備せずに、現実世界でのみ使用することにした。
その他には今のところ装備できるものがなかったことから【装備変更】についての確認を終えることとし、俺は次に【ステータス】の確認をすることにした。
【装備変更】を閉じて、【ステータス】をタップすると、HP100、MP100、攻撃力50、防御力6、状態異常なし等と表示された。
HPはヒットポイントの略で体力や生命力みたいなもので0になれば敗北や死亡扱い。
MPはマジックポイントでスキルや魔法を使用すると減少。
攻撃力、防御力は武器や防具の数値の合計。
状態異常は毒とか麻痺、石化などのデバフ効果や攻撃力、防御力上昇などのバフ効果なんかが表示されると思われる。
【ステータス】はある程度思ったとおりの内容だったけど、レベル制ではないのか。
となると、レベルアップによるステータス増加はないから武器防具の性能が重要になりそうだな。
もし、アクション系なら俺のプレイヤースキルによるところも大きいかもしれないけど。
【ステータス】の確認をささっと終えた俺はいよいよ【出発】を確認することとした。
俺はどんなゲームができるのか期待に胸を膨らませ、わくわくしながら【出発】をタップすると目の前の地面に青白い光を放つ魔法陣が描かれ、その中心に【装備変更】画面で見た3Dモデルが出現した。
「おぉ! すごいけどなんか思ってたのと違うな」
何かしらのゲームが始まるかと思っていたら、目の前に3Dモデルが召喚されたので肩透かしをくらった気分になった。
召喚された3Dモデルをまじまじと見てみると、地下で立てる高さがなかったためかはわからないが、片膝を地面につけたしゃがみ込んだ状態で顔をこちらに向けており、その顔は無表情であった。
スマホの画面の光しかない薄暗い中、こちらを見つめるその姿はホラーゲームに出てくる幽霊なんかを想像させ、少しびびってしまったのはしょうがないと思う。
気を取り直しつつ、この後どうすればいいのかを確認するためにスマホを見てみると次のような説明文が表示されていた。
『この【出発】には《3D》と《2D》の二つのゲームモードがあり、《3D》ではゲーム内のキャラクターをこの世界に召喚して遠隔操作することで危険を冒すことなく、素材の採取や魔物との戦闘、斥候等をすることができます。《2D》ではゲーム内の仮想世界を自由に探索することができます。また、ゲーム内で入手したアイテムやスキルは【所持品】に収納され、現実でも使用することができます。《3D》と《2D》の切り替えは画面右上にある《3D》をタップすれば《2D》、《2D》をタップすれば《3D》モードに切り替わります』
あぁ~なるほど。スマホでこの3Dモデルを操作できるのか。
ゲームのストーリーとかがないのは残念だけど、中々面白そうだ。
《3D》なら説明文に書かれているように、危険を冒すことなく探索や戦闘ができそうでありがたいな。
魔物の強さがわからないうちは直接戦いたくなかったから非常に助かる。
《2D》モードは待望の普通のゲームっぽいけど、ゲーム内で入手したアイテムを現実世界に反映させることができるのは神仕様だな。
【所持品】の所持数の枠をあまり拡張するつもりはなかったけど、これは早々に拡張する必要がありそうな気がする。
そんなことを考えながら説明文を読み進めると次に操作方法等のついての説明が表示された。
説明を読むと《3D》、《2D》どちらのモードでも、スマホには目の前の3Dモデルの一人称視点が映るらしい。
視点については、オプションで三人称視点にも切り替え可能みたいなので、後で切り替えようと思う。
操作方法については、左下のスティックコントローラーで前後左右への移動、右下の6つのボタンでそれぞれ攻撃、防御、回避、ジャンプ、スキルや魔法などの行動を行うことができるらしい。
その他にもスティックやボタンを長押ししたり、二回押し込みすることで色々な行動ができるとのことであった。
画面左上にはHPを表す緑色の横バーとMPを表す黄色の横バーの2本、画面右上には《スタミナ:60》と表示されており、これはホーム画面のスタミナと同期しており、スタミナ1が1分を表しており、一度にプレイできる時間は長くても1時間という説明があった。
ご丁寧に《※ゲームは一度に1時間まで》との注意書きが記載されており、「俺は子どもか!」とひとりでツッコミを入れてしまったのはしょうがないと思う。
スタミナの回復は自然回復のみで5分毎にスタミナが1回復する仕様であり、全回復するには5時間は必要だということがわかった。
また、スタミナが0になるか、3DキャラのHPが0になると強制的にゲームが終了になるらしい。
もし、倒されてしまった場合でもアイテムや装備のロスト等のデスペナルティはないみたいなので嬉しい仕様だ。
画面中央下には家のアイコンがあり、それが終了ボタンとなっているらしい。
《3D》モードだと、どこで探索を終了させても、出発は俺の場所から再スタートとなるみたいなので帰り道を覚える必要がないのはありがたいが、逆に途中から始めることができないのはデメリットでもあるとも感じられた。
家のアイコンの右脇には宝箱のアイコンがあり、そこで入手アイテム等を確認することができるらしい。
《3D》で入手したアイテムも《2D》と同じく【所持品】に収納されるみたいなので、所持数の拡張はやっぱり必須みたいだ。
アイテムの入手方法なんかについては、ありがたいことに何らかに使える素材なんかは青白く光るらしいので、そこに行ってボタンを押せば簡単にアイテムを入手できるらしい。
物によっては斧やツルハシ等の装備を使わなくては入手できないアイテムもあるらしいが、その辺は他のゲームでも当たり前なのであまり気にならなかった。
また、魔物を倒した場合、倒した魔物に近づくと魔物そのものを収納するか、いくつかのアイテムに自動変換するか選べるらしい。
前者のメリットは魔物の素材を無駄にせずに済むことで、デメリットは自分で解体するか、解体してくれる場所を見つける必要があること。
後者のメリットは解体する手間が省けること、デメリットは入手できる素材が少なくなってしまうこと等。
一応、《解体》スキルを入手はしたが、実際に解体したこともないし、手間暇をかけている時間も勿体無いので、もし魔物を倒したら自動変換させてしまうとするか。
……
その後もいくつかの説明をよみ終えるとチュートリアルが終了し、自分で3Dモデルを操作できるようになった。
さて、いよいよ実際にこの3Dモデルを操作する時がきたな!
一体、どんなアクションをできることやら……
俺はわくわくしながら3Dモデル動かすべくスマホを操作するのであった。
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