第7話 10連無料召喚③
10連無料召喚で当選したアイテムやスキルの確認も残るは二つ。
思ったよりも、アイテムやスキルの確認に時間を取られてしまっているが、今後のことを考えるとアイテムやスキルの把握は大事だからしょうがない。
決して、魔法が使えるようになったのが楽しくて、無駄に色々と検証してしまったわけではないのだ。
とりあえず気を取り直して、まずは☆5《隠密》の確認をするか。
《隠密》スキルの説明文を読むと《気配察知、気配遮断、痕跡消去の効果がある複合スキル。暗殺や潜入捜査にうってつけ。パッシブスキルからアクティブスキルに切替可能》とあり、スキルレベルによる効果は
Lv.1 半径25m以内の気配を察知。半径500m以上離れた相手から認識されない。指紋が残らない。
Lv.2 ???
……
……
Lv.10 ???
とあった。
効果範囲はまだ微妙だが、性能は流石☆5スキルってところか。
3つの効果がある複合スキルとかありがたすぎる。
スキルレベルが上がれば、段ボールに隠れての潜入ミッションもこなせそうだ。
まあ、実際にやることはないだろうけど……
この世界に魔物がいることを考えると、このスキルはかなり役立ちそうだな。
早速、習得してみると感覚が鋭敏になったといえばよいのかわからないが、今まで気付かなかった小動物っぽい気配が少し離れた茂みの中に感じられた。
おぉ、あそこに何かいるのがわかるな。
たしか半径25m以内が効果範囲だったはずだから、試しに少し離れてみるか。
隠密の効果範囲を確かめるために、小動物の気配がした場所から少しずつ離れていくと、それまで感じることができていた小動物の気配がいきなり感じられなくなった。
なるほど、距離に応じて効果が薄れるというよりは、スキルの範囲外になるといきなり効果がなくなるタイプか。
これなら効果範囲内に生き物が近づけば、後ろから接近されてもわかるので不意打ちを防げそうだが、隠密スキルに含まれている気配遮断のようなスキル持ちもいるだろうし、遠距離攻撃には効果がなさそうだから気をつけないとな。
このように気配察知の効果は実感できたが、気配遮断の効果については、相手がいないと確かめようがないし、半径500mも離れていないと効果がないので今は気にしないことにした。
また、指紋が残らないという痕跡消去の効果も今のところ役に立ちそうにないが、一応スマホのロック認証を指紋認証にすれば試せるのではないかと思い、試してみたところ全く指紋が認証されずにロックが解除されなかったので効果があることはわかった。
その際にパッシブスキルからアクティブスキルへの切り替えも試してみたが、心の中で念じるだけで切替可能であったため、人混みが多い町中なんかに行ったときにすぐに切り替えができそうでありがたかった。
《隠密》スキルの確認も終え、残る未確認アイテムは☆6《霊薬エリクシル》
いよいよ、レア度☆6のアイテムか……
霊薬エリクシルって名称だから、たぶん回復アイテムだとは思うんだけど、どんな効果があるのやら。
早速、説明文を確認すると『全ての怪我、病気を完治することができる霊薬。軽症であれば1ml。重症は3ml。体の欠損は5ml。不治の病なら1本飲み干せば完治できる。消費期限なし。容量20ml』とあった。
うわぁ、流石☆6アイテム……
名称的に不老不死になるような効果があるかとも思ったが、さすがにそこまでの効果ははないようだな。
しかし、体の欠損や不治の病が治るって充分すぎる効果だよな。
しかも、不治の病以外の怪我等なら一度だけでなく何度か使えそうでありがたい。
目の前には植物の蔦のような装飾がなされた小さなガラス瓶に入った金色に輝く液体。
小分けできるように容量1mlのスポイトも付属されていた。
俺はゲームでは希少な使用アイテムを入手しても、もったいなくてラスボス戦でさえ使用しなかったが、この世界では果たしてケチらないで使用することができるのだろうか……
軽症や重症程度なら他のポーションでも何とかなりそうだから使いたくないな。
使うとしたら、考えたくないが体の一部を失う等、命の危機に瀕したときだと思うけど、その状況に陥った時に果たして俺はこの薬を飲むほどの余裕はあるのだろうか……
うーん、考えてもしょうがないな。
ありがたいことに消費期限はないみたいだから大切に保管しておこう。
俺はそう心に決めると、霊薬をどこか厳重な場所に保管しようと思ったが、ズボンのポケット位しか仕舞う場所が無いことに気づき、俺はガラス瓶が割れてしまわないか内心ひやひやとしながらも、しょうがなくポケットに仕舞うのであった。
……
よし、10連召喚で手に入れたアイテムの確認は終ったけど、ついでに異世界召喚記念として配布された《サバイバルセット》も確認しておくか。
何が入っているか気になるもんな。
それにしても、どうやって取り出せばいいんだ?
ホーム画面に【所持品】のアイコンがあったから、そこから出し入れするのかな?
もし、出し入れできるなら10連召喚で手に入ったアイテムも収納したいよな。
貴重な霊薬は容器が壊れる心配があるから持ち歩きたくないのは当然だし、ポーション類も同様の心配があるため仕舞っておきたい。
俺は《サバイバルセット》とその辺のシステムの確認をするため、【女神の楽園】のホーム画面に戻ると早速【所持品】のアイコンをタップしてみるのであった。
【所持品】の画面が表示されると【収納可能アイテム】と【収納アイテム】の2つのインベントリがあり、【収納可能アイテム】には先程10連召喚で手に入れた《霊薬エリクシル》、《鉄の剣》等の他にデイリー召喚で入手した《飲料水1ℓ》や俺が着用している《スーツ上着》、《革靴》等もアイテムとして表示されていた。
それらのアイテムは五十音順に表示されており、アイテム名の左脇にはチェックボックスが設けられており、試しに《創生》スキルで創り出した《カビたパン》の左脇にあるチェックボックスをタップしてみるとチェックマークが挿入された。
チェックマークが挿入された後、右下に表示されていた【収納】と【売却】の2つの選択肢のうち、【収納】をタップしてみると、地面に置いていた《カビたパン》が目の前から消えてしまったので、多分収納することができたのだろうと思い、【収納アイテム】のインベントリを開いてみると、思ったとおり《カビたパン》が収納されており、異世界召喚記念として配布された《サバイバルセット》もここに収納されていた。
ただ、【収納可能アイテム】の時とは違い、画面右上に2/10と数字が表示されており、左側の数字が現在のアイテム収納数、右側が最大収納数を表しており、今の段階では10種類のアイテムしか収納することができないことがわかった。
収納数が少ないのは残念だが、この【所持品】システムは非常に便利だと感じられた。
荷物を持ち運ぶ手間が減るし、これで壊れる心配があった霊薬やポーションも安心してしまっておける。
しかし、これだけ便利なんだからどうにかして拡張できないかな……
あまりにも収納可能数が少なすぎるから拡張できると思うんだけど。
試しに収納数のところをタップしてみると、【5枠拡張 魔結晶100個】と表示され、魔結晶を消費することで拡張できることがわかった。
おぉ、やっぱり拡張できるんだな。
しかし、所持数を拡張できるのはありがたいけど、魔結晶の消費は痛いな。
できれば結晶は召喚に使いたいんだよな……
しかし、収納数の拡張も便利すぎる。
とりあえず、今はそこまでアイテムがないから拡張しないでおいて、必要に応じて少しづつ拡張していくか。
もしかするとアイテムを出し入れできるようなスキルやアイテムもあるかもしれないから、そこまで拡張はしないでも済むかもしれないしな。
俺はそんなことを考えながら、《カビたパン》、《サバイバルセット》の二つをチェックした後、右下に表示されていた【取出】と【売却】のうち、【取出】をタップすると、目の前にカビたパンと40ℓサイズの黒色のリュックが出現した。
サバイバルセットはリュックになっているのか。
さてさてリュックの中にはどんなものが入っていることやら……
できれば数日分の食べ物や水なんかが入っているといいんだが。
俺はそんな淡い期待をしながら、サバイバルセットを確認するのであった。
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