第5話 10連無料召喚①

 ……どのくらい寝ていただろうか。


 目を覚ますと、まだ明るかったことから、そこまで時間は経っていないように思える。

 スマホに表示されている時間をみると14:03となっていたが、この世界の時間を表示しているかどうかはわからないので気にしないことにした。


 さて、うっかり寝てしまったが、この後はどうしようか……

 太陽の位置的にまだ暗くなるまでに時間はある気はするけど、できればここで夜を過ごしたくはないな。

 となると、移動するしかないんだけど、見渡す限り一面草原だし、どの方向に行けばいいのやら。

 とりあえず、移動や今後の生活に役立つアイテムやスキルが入手できるかもしれないから、10連召喚無料チケットを使っておくか。


 俺はそう考え、早速10連召喚をするために【女神の楽園】を立ち上げると【召喚】をタップした。


 すると、チケットを入手する前には表示されていなかった【10連無料召喚】というアイコンが新たに表示されていたことから、俺はそのアイコンをタップしてみた。


【10連無料召喚】の画面が表示されると、他の召喚の時と同じように、当選するアイテムやスキルのイラストや名前が表示された。


 アイテム等の当選確率を確認してみると、☆3から☆7までのレア度のアイテムが排出される仕様であり、それぞれの当選確率については


 ☆3 60%

 ☆4 30%

 ☆5  7%

 ☆6 2.5%

 ☆7 0.5%


であり、アイテムとスキルの排出率の内訳についてはアイテム8:スキル2の割合であった。


 初回限定召喚の時とは違い、☆3、4のアイテム等も排出されるのか。

 まあ、☆5以上しか排出しなかったら逆に☆7のありがたみがなくなるからガチャとしては妥当だな。

 むしろ、☆1、2が当たらないだけマシかもしれない。

 しかし、初回限定召喚とは違い、やはりレア度の高いアイテムは排出率が低く設定されているな。

 ☆5以上は合わせても10%にしかならないから、10連で☆5以上が1つ当たれば御の字か。

 それでも、伝説級なアイテムやスキルが手に入る可能性があるだけでも恵まれているかもしれないな。


 俺がはまっていた某スマホゲームだと提供割合が3%なのに100連しても1枚もレアなキャラが出ずに、出たと思ったらピックアップすり抜けなんてザラであったから当選確率の表記は正直信用していない。

 最終的には普通に当てるのは諦めて、ガチャ用のアイテムを貯め込んでまとめて使用することでレアアイテムが確定で当たるようになる天井まで回してたからな。

 初回限定召喚では運が良いことに☆7を引き当てたが、この10連召喚ではどうなることやら。

 とりあえず、☆7じゃなくてもいいから便利なアイテムかスキルが当たってくれ……


 俺はそんなことを思いながら、画面下に表示されていた【チケット使用】のアイコンをタップした。


 するとデイリー召喚や初回限定召喚をした時とは違い、目の前の空中に幾重もの魔法陣が描かれ、それらが回転しながら立体に重なり合い、ひとつの球体を作り出し、黄色やオレンジ、白色の光等、様々な色の光を放出した。


「おぉー! これはすごいな!」


 俺が目の前の幻想的な光景に目を奪われていると、数十秒程で光が収まり魔法陣が消滅した。

 すると、それと同時にポンッという音を立てて色々なアイテムや武器らしきものが地面に出現した。


 おぉー! 10連だとまとめて当選アイテムが召喚されるのか。

 《創生》スキルの時と同じような本やポーションっぽいものまで色々あるな。

 早速、何が当たったか確認してみるか。


 俺は当選アイテムについて確認するため、スマホの画面を見ると


 ☆3 《鉄の剣》

 ☆3 《解体》

 ☆3 《回復ポーション》

 ☆3 《マカポーション》

 ☆3 《魔力up(中)》

 ☆4 《土魔法》

 ☆4 《水魔法》

 ☆4 《マジックリング》

 ☆5 《隠密》

 ☆6 《霊薬エリクシル》


と表示されていた。


 さすがに☆7は出なかったか……

 まあ、☆6が出ただけマシかな。

 とりあえずレア度の低いものから確認していくか。

 

 まず、俺はスマホ画面に表示されていた☆3《鉄の剣》をタップしてみると、『鉄製の片手剣。両刃で切れ味はそれなり』との説明文が表示された。


 扱えるかどうかは別として武器が手に入ると安心感が増すな。

 この草原にももしかすると危険な生物が生息しているかもしれないから、何かしらの武器は欲しかったんだよな。

 

 俺は試しに鉄の剣を右手に持ってみると、刃渡り60cm程の長さであったが、ずっしりと重く感じられた。


 うーん、やっぱり上手く扱えそうもないな。

 《片手剣》とか《剣術》みたいなスキルが手に入れば扱えるようになるのかもしれないけど……

 いや、どうせなら、スキルに頼らないで扱えるようにしたいよな。

 剣術の形は知らないけど、とりあえず毎日振ってみるか。

 

 俺は剣の素振りを日課に加えることを心に決めると、次に☆3《解体》の確認をすることにした。

 

 スマホに表示された説明文をみてみると『動物、建造物などの解体をする際の技術等が向上するパッシブスキル。スキルレベルに応じて効果上昇』と表示されており、説明文の下には


 Lv.1 小動物及び驚異度1の魔物の解体知識取得。解体技量上昇、解体素材の劣化防止(微up)

 Lv.2 ???

 ……

 ……

 Lv.10 ???


と今のところLv.1の効果しか判明しなかったが、スキルレベル毎の効果が表示される仕様になっていた。


 うーん、思わぬところでこの世界に魔物がいることが判明したな。

 スキルレベル的にたぶん驚異度1は弱い魔物なんだろうけど。

 しかし戦闘なんかしたことないから、できればこの付近に魔物がいないでくれると助かるんだが……

 

 俺はそんな淡い期待をしながら、実物の《解体》スキルを確認すると《創生》スキルの時と同様に本として出現したが、前に出現した本と比べると装飾が少なく、本自体も薄くなっており、レア度に応じて豪華さが変わるのだと思われた。


 また、ダミーブックになっているんだろうな。

 

 そう思いながら本を手に取ると、思ったとおりダミーブックとなっており、内容を確認すると本の中央に【習得】のボタンがあるだけで使用方法等の記載はされていなかった。


 この習得方法も創生スキルの時と同じだな。

 スキルが手に入った時は全てこんな感じなんだろうか。

 とすると【習得】ボタンを押すと、本が光に変化して俺の体に吸い込まれるのかもしれないな。


 俺はそんな予想をしながら、【習得】ボタンを押してみると、思ったとおり本が光に変化し、俺の体に吸い込まれてしまった。


 これで《解体》スキルを取得できた筈なんだが、特に解体の知識が増えたり、解体方法が閃いたりしないんだがどうなっているんだ?

 もしかすると、実際に解体してみないと効果が実感できない感じか?

 まあ、急ぎで確認する必要もなさそうなスキルだから機会があれば解体にチャレンジしてみるか。


 俺はそう考え、とりあえず他のアイテムやスキルの効果を確認するのであった。

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